2017年4月13日木曜日

MEDTEC JAPAN 2017に出展






マスターコントロール/HOYAサービス展示ブース
ブース番号:4510(医療用エレクトロニクス展内)

公式WEBサイト : http://www.medtecjapan.com/

東京ビッグサイトにて開催される医療機器製造・設計に関するアジア最大級の展示会「MEDTEC JAPAN 2017」に、マスターコントロール公式パートナーであるHOYAサービス株式会社と共同で出展いたします。

本展示会では、最新バージョンの「MasterControl Version 11.6」を利用した文書管理や教育管理、品質管理の製品展示を予定しています。また、HOYAサービス株式会社で提供しているERPシステム「Microsoft Dynamics 365」の医療機器向けテンプレートやCRMシステムなど、医療機器を扱うHOYAグループのシステム開発・運用を担い培ってきた独自のサービス・ソリューションもご紹介していますので、あわせてご覧ください。

⦅展示予定製品⦆

  • MasterControl Documents
  • MasterControl Training
  • MasterControl Process
  • MasterControl Audit
  • Microsoft Dynamics 365

ICH GCP及びEU規制における大幅な改定

Laurie Meehan
Social Media Manager, Polaris Compliance Consultants

EU地域も対象に含めた国際臨床試験に関する法規制の改定が審議されています。
業務への影響とその時期は?

国際臨床試験のGCP規則について、審議中の改定点とは?

改正の内容は?
改正の主なポイントは2つ挙げられます。

2015年の年初に、 ICH E6(R2)「医薬品の臨床試験の実施に関する基準のガイドラインの補遺(案)」がICH*で発表され、20年ぶりの国際的ガイドラインの大幅な改定と言われています。当該ガイドラインの実施とおおよそ同時期に、新しいClinical Trial Regulation (CTR) 563/2014が、制定から久しい現行のEU Directive 2001/20に代わって適用されることになります。



資料ダウンロード:


ICH GCP E6 (R2)
経緯:
ICH E6ではそもそも、治験依頼者による技術革新に高い柔軟性をもたらすことが意図されていましたが、時に誤った解釈をされ、革新の支障となってしまうことがあると、ICHのビジネスプランで述べられています。新しい補案ではこうした点が修正され、「臨床試験のデザイン、実施、監督、記録、報告アプローチの改善と効率化」が図られます。

RQA (旧 BARQA)のDr. Colin Wilsherが補遺(案)に関する詳しい分析を執筆しており、ガイダンスにおける変更点と臨床試験において所見の多くを占めている「最新の話題」との関連付けを行っています。

補遺(案)の内容
ICH E6(R2) の内容は次のとおりです。


  • 原資料に関する要件 – ALCOAの綴りはCがひとつか2つか(Wilsherの分析参照)。ICH E6でALCOAが取り上げられるのは初めてのことです。
  • 効果的なプロトコルデザイン及び重要な情報のみの収集を含む品質管理の定義
  • リスクに基づく臨床試験管理のガイダンス(リスクに基づくモニタリング(RBM:Risk-Based Monitoring)を含む)
  • 臨床試験のコンピュータ化が進む現状に則した「コンピュータシステムバリデーション“CSV”」を重視
  • 電子記録及び必須文書に関する基準
  • PIによる監督業務責任の追加


ICH E6(R2)の今後
ICHでは、欧州、米国、日本、カナダ、スイスを対象に規制当局への意見・情報を募集しています。最終合意ガイドラインの公表は2016年11月に予定されています。

EU Clinical Trial Regulation 536/2014
経緯:
欧州連合加盟国の臨床試験許可制度は大幅に遅れをとっていると言われています。新しい指令では、被験者の安全性に対して高い基準を維持しつつ、臨床試験実施地域として欧州連合国が魅力的なものとなるように設計され、効率化が図られています。

新規則の内容:
Dr. Martine Dehlinger-Kremer (SynteractHCR社メディカル及び薬事部門グローバルVP) による60分間のウェブセミナーでは、EUにおける新しい規則全般の概要が取り上げられています。

規制調和:Dr. Dehlinger-Kremerによると、現行の「指令(2001/20/EC)」の解釈は、細部では28加盟各国の裁量に委ねられており、国内で独自に異なった解釈で法化されていました。承認申請要件や、タイムスケジュール、安全性情報の取り扱いが異なっていることで、治験依頼者にとっては欧州諸国での臨床試験の計画は困難を極め、莫大な費用に繋がっています。(RQA GCP Committee は “gold-plating”と称される追加要件の義務化が各加盟国で取り決められていることについて言及しています)。新しい規則では、国別の解釈は不要となります。

新しいプロセスでは、単一の臨床試験許可申請の提出により試験に関連するEU全加盟国を網羅する一括申請が可能となります。審査はすべての関係加盟国(CMS:Concerned Member State)が行いますが、任命された参照加盟国(RMS:Reference Member State)が各国での審査を調整しますので、治験依頼者へは1つの成果文書が提示され、単一の審査報告書が作成され、全CMSに対し有効となります。新しい規則では、CMSから許可が下りないケースや治験施設独自の文書作成やプロセスなどの手順に関して限定的な条項はあるものの、EUポータルへの一括申請が可能になれば、これまでの各加盟国に対する申請手続きに係る作業量が劇的に軽減されることになります。

臨床試験許可申請と同様、安全性報告に関しても、欧州連合加盟国間で調整される予定です。

申請のタイムスケジュール:許可申請の審査までのタイムスケジュールは決められた日程で進むため、治験依頼者は確実なスケジュールに基づいて計画を進めることができます。しかしながら、タイムスケジュールがタイトな場合には、治験依頼者にとっては計画こそが重要になってきます。申請審査のプロセスとなる60日間には、申請者が詳細な回答を求められるタイミングが2回あります。回答は30日以内と決められているので、正確な情報を準備しておく必要があります。

透明性:新しい規則では、臨床試験結果の報告制度についての記述があり、研究に関する透明性の確保と知見の共有化といった業界の動向が反映されています。申請の取り下げや最終的に承認に至らないといった場合も、治験依頼者は「医療関係者以外の一般の人々にも分かりやすい」概要書を準備し、販売承認申請書と併せて治験の総括報告書(Clinical Study Report: CSR)の提出することが求められています。こうしたデータはEUの新しいデータベースに蓄積され公開される予定です。

柔軟性:新しい規則では、治験マスターファイル(TMF)の内容やモニタリング業務(RBMを考慮)の柔軟性を支持する条項が含まれています。

FDAとの重要な相違点:EUにおける新しい規則の下では、開始前のEUデータベースへの登録が義務付けられています。米国では治験者登録開始後 21 日以内と規定があります。さらに、EUでは第1相試験のEUデータベースへの登録が必要ですが、米国では第1相試験はClinicalTrials.gov(米国の臨床試験登録システム)への登録が規定されていません。治験依頼者がEUでの販売承認の裏付けに、米国での臨床試験で収集されたデータを使用したい場合には、米国で実施される試験もEUにおける新しい規則の登録要件を遵守しなければなりません。

CTR 536/2014の今後
当該規則は早ければ2016年5月に発効される可能性があります。実現的には、臨床試験の透明性の確保を目的とした管理データベース及び臨床試験許可制度のためのポータルサイトをともに6か月で実用化することが前提条件であり、これを満たす必要があります。

最後に、現行版への改定内容を統合し新しい内容を判り易いようにご配慮いただきましたことに関し、ICH エキスパートワーキンググループ (EWG)の皆様に深い感謝を述べさせていただきます。
新ICHガイドライン及びEU規則及び企業への影響を詳しく知りたい方、ご連絡お待ちしております。

*ICH = International Conference on Harmonization日米EU医薬品規制調和国際会議


著者の紹介
Laurie Meehan
Polaris Compliance Consultants, Incでソーシャルメディアマネージャーを務める。同社のブログやeNewsletterを執筆。ソーシャルメディアプラットフォーム上での顧客や働く仲間とコミュニケーションを図り、企業のSOPやトレーニングの管理などを行う。2008年Polaris入社前は、テレコミュニケーションR&Dの大手企業にて、テレコミュニケーションサービスにおけるコンサルティングやトレーニング業務に従事。La Salle Universityでコンピュータサイエンス学士及びDrexel Universityでコンピュータサイエンス学士取得。

本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。

CLIA vs QSR

説明を追加検査がどこで実施されるかに関わらず、被検者の臨床検査結果に精度、信頼性、適時性
を担保するために1988年アメリカで品質基準を確立する臨床検査機関改善修正法
(CLIA: Clinical Laboratory Improvement Amendment)が制定されました。


本稿の内容は2部構成でお届けし、FDAからの注目度の高いCLIAラボの施設開発検査 (LDT: Laboratory Developed Test)について、その問題点と現状を考察していきます。CLIAラボで独自に行われる検査は、最近までFDAの未踏の領域でした。(気づいていなかったとは言っていないですが…)
発行後比較的間もないドラフトガイダンス「FDA Notification and Medical Device Reporting for Laboratory Developed Tests (LDTs); Oct 2014」では、FDAの関心がLDTにあり、業界のこの分野に目が向けられていることが改めて表明されています。


自動車メーカー、NASA、情報技術システムメーカを含む数多くの企業では、高い品質基準で製品が製造されることを目的として品質管理システム(QMS)の実装が義務化されています。
医療機器のような製品では、QMSによって高品質の製品、また意図する性能を発揮する「有効性」や使用目的における安全性が実現されることになります。
米国議会は、検査がどこで実施されるかに関わらず、被検者の臨床検査結果に精度、信頼性、適時性を担保するために臨床検査室を実施するすべての研究機関に対する品質基準を確立する臨床検査改善修正法案(CLIA: Clinical Laboratory Improvement Amendment)を1988年に通過させました。最終CLIA品質システム規制は、CDC(Centers for Disease Control and Prevention)及びCMS(Centers for Medicare & Medicaid Services)から発表され、2003年4月24日に施行されました。


臨床検査室における検査に関する規制が相次いで発行されるなか、1992年2月28日付けで米国保健福祉省(DHH S: Department of Health and Human Services)より、臨床検査室改善法基準(CLIA:1998)施行に係る臨床検査室標準規制(57 FR 7002)が発行されました(42 U.S.C. 263a)。こうした施行規則は42 CFR Part 493に集成されています。
CLIA規制では検査方法の複雑さに応じた品質基準を発表しており、FDAが医療機器メーカー向けに確立している品質システム要件に類似しながらも、それとは異なる臨床検査室向けの品質基準を確立しています。
検査システムが複雑になると、より厳しい基準が適用されるもので、検査の複雑度が「低度」「中度」「高度」に分類されます。そのため、特定検査の実施を予定する臨床検査室では、品質に関する新基準に適合すればCLIA規制に適合することができるものと考えられます。


1998年以降、臨床検査室ではLDT(laboratory developed test)と呼ばれる自家調整された検査法が開発されてきました。LDTは通常、アンメット・メディカル・ニーズ(未だ満たされていない治療のニーズ・未だ有効な治療法がない医療ニーズ)を満たす目的で、病院、大学、臨床検査室などの自施設内で用いられるもので、一般的に、被検者の迅速かつ正確な診断、モニタリング、治療方針の決定を目的として使用されます。
21世紀初頭、医学の進歩は目覚ましいものがあり、個別化医療という概念が急速な変化を遂げ、患者一人一人に応じた最適な薬剤を判断するためにLDTが発展していったのです。
こうした薬剤に特化したLDTは、通常、患者個人の薬剤への反応性を治療前に検査することをコンパニオン診断(またはCDx)と称されます。コンパニオン診断薬の進化に伴い、臨床での体外診断用医薬品(IVD)は、近年からFDAによる薬事法上の監視下に置かれるようになったのです。


これまで、CDx用医療機器として、開発あるいはFDA承認を取得した製品はほとんどありませんが、明確になってきている事実が一つあります。それは、LDTであっても、医療機器や医薬品に関する規制下で製品の管理を行うことをFDAがCDxメーカーに対し要求しているということです。
そのため、医薬品や医療機器に関するFDA規制に準拠したQMSの策定は差し迫った課題であり、現在は特定検査に対しては義務化されている状態です。しかし、既存のQMSがCLIAの水準に適合している多くの臨床検査施設では、FDAのQMS規制に十分に適合できるものと考えがちですが、一言で言うとそれは間違いです。
特に、CLIA認定ラボで導入されているQMSというものは、QMSの基礎的仕組みを築くためのもので、医療機器の品質システム規則である21 CFR Part 820と似てはいますが、「非常に良く似た別もの」です。 CLIA QMSの要求事項は、不十分な点が多く、さらに、近年のCDx用製品の承認により、医療機器のQSRに十分適合するようなQMSが臨床検査室においても導入されることが期待されています。
第1部では、一連のQMS要件の類似点及び相違点についてご説明します。また第2部では、(FDAの対応に不慣れな企業の皆様に向けて)規制準拠を目的とした適正な対応ができているかを正しく判断するための方法についてご説明いたします。


誤った認識:いずれの品質管理システムも、構築されるシステムは同じである。
 
通常、QMSでは、業務の責任は階層型に定められ、プロセスや製造を安定的に継続するための手順を確立しています。
組織内の役割及び責任、QMSプロセスのモニタリング方法及びモニタリング後の改善方法、プロセスやシステムで不適合となる製品やアウトプットの同定、評価、適切な処分等を確実に行うための方法が文書化されています。
CLIA規制適合QMSとFDA規制適合QMSとの重要な相違点は、要求事項の適用範囲にあります。





現行のCLIA規制(42 CFR 493)のサブパートKでは、複雑度が「低度」以外(つまり「中度」または「高度」の場合)の検査を実施する臨床検査施設に対する品質システムに関する要求事項が定められています。
この規制では、適切な要員の資格認定、検査の生成前後及び最中における被検者の検査結果の生成及び管理方法に着目しており、被検者の検査結果を得るために用いられる検査システムの管理も含まれています。
サブパートKではこの他に、臨床検査施設の検査プロセスが規定に従って実施されていない場合や分析検査で予測値から外れてしまった場合に是正措置を講じ、既存品質管理システムにおける操作や処理手順の評価方法が規定されています。
しかし、重視している点は、被検者検体識別時の最終製品、被検者検体の取り扱い管理、検体の検査メソッド、最終結果報告となっています。


医療機器QSR (21 CFR 820)は、医療機器メーカーに適用されます。QSRに準拠する品質システムでは、機器の使用に疑問や不適切さが感じられる場合の管理や行動を含み、医療機器の設計、開発、製造、流通がどのように行われたかを重視しています。
 QSR QMSで着目するのは、最終製品の性能だけではなく、すべてのプロセスがどのように遂行されたかである、とも言え、医療機器の最終ユーザーである医師や機器の使用を受けた患者に意図しない後遺症が残ってしまうことがないように規制しているのです。
QSR QMSでは、適切な管理と組織の仕組みを確保する目的で、要員、製品及びプロセスの継続的な改善方法、様々な段階におけるQMSのモニタリング方法に関する要件が定められています。
また、この基準には、医療機器の開発プロセスの要件や、製造プロセスの管理で期待される事項、不適合な品や不適合なプロセスの特定、評価及び廃棄に関する事項も定められています。
CLIAとQSRの相違点は、QSR QMSは、最終製品やQMSプロセスに着目している点で、単に製品自体に着目しているのではないということです。


品質システム要件の違いは、規制当局が異なる点と、規制上の着目点が異なる点です。 CLIA規制はCenters for Medicare and Medicaid Services (CMS)によるものですが、医療機器の品質管理に関する規制はFDAのCenters for Devices and Radiological Health (CDRH)が定めています。
いずれの規制当局も、第一に重要視しているのは被検者(及び、多くの場合に製品及び検査システムの使用者)の安全性ですが、CDRH規制21 CFR 820下のQMSでは、意図した製品性能の有効性に重点を置いています。
有効性は、機器を使用する度に同一の性能を示す、あるいは単回使用の医療機器の場合は、機器ごとに同一性能を示すことにより明らかになります。CDRHは、21 CFR820規制下では市販後の医療機器の安全性及び有効性の責任はメーカーにあるとしています。


CLIAラボがLDTを行い、特定の薬剤/生物学的製剤の技術、または医療機器の使用に当てはめようとした場合、製品の法律上の分類が異なる可能性があります。
 明らかなことは、CDRHの下ではLDTは施行の自由裁量(enforcement discretion)がとられてきたのですが、最近発表されたコンビネーションプロダクトに関する21 CFR Part 4では、LDTがCDxとして医薬品・生物学的製品、または医療機器に並ぶものとして認識されています。
これは、LDTに対する施行の自由裁量を停止し、FDA規制下での積極的な監督の確立を行うものです。
さらに最も顕著なのは、薬剤/生物学的製品/医療機器に使用するLDTは、In Vitro Diagnostic(IVD)として知られる医療機器に分類されることが定められています。
これらの医療機器は、最近では2014年10月3日発行のFDAガイダンス(案)「Framework for Regulatory Oversight of Laboratory Developed Tests (LDTs) (検査室開発検査(LDT)に関する薬事法上の枠組みの概要)」で分類されている通り、21 CFR820規制下のQSR QMSモデルへの適合が求められています。
当初、CLIA認証と一致する簡略化されたシステム構成となることを推測していましたが、CLIAラボに関する最近の事例によると、こうした考え方は誤りであることがわかります。ガイダンスには、LDTの監督に対応するリスクベースのフレームワークに関する記載があり、LDTを「製造」する臨床検査室を対象としたガイダンスが示されています。
また、検査施設に対しFDAがどのように、医療機器メーカーとして検査施設に関連する規制の施行を適用しようとしているかが示されています。
ガイダンスは、包括的な内容を記述した構成ではありませんが、明確な方向性と何から始めるべきか判りやすい枠組みが示されています。


繰り返しになりますが、品質システムで着目する点が異なることから、CLIA QMSでは、CDxやIVDとして使用するためのLDTの開発、つまり「製造」における臨床検査施設の活動のごく一部分だけが対象範囲となっています。
CLIAは被検者の検査結果の出し方に関連するプロセスに着目しているのに対し、QSRでは検査(例えば医療機器等)の設計及び製造プロセスに着目しているということです。
CLIAラボが気をつけるべき点は、今後検査で被検者検体を使用する前段階のLDT「作成」時の行動に説明責任があるということです。
例えば、ELISAゲルを調整して測定する場合、LDT製造プロセスというは、試薬の受け入れや材料の組み合わせ手順を含む範囲になるわけです。
QSRにおける検証の目的がCLIAラボにとって、わかりにくいことが何度もありました。臨床検査施設の検査の「検証」活動では、臨床検査施設において検査を実施するプロセスと被検者の検査結果を出すプロセスは一致するところも多く、まったく同じプロセスで実施されてしまうことさえもあります。
こうした場合、被検者の検査結果生成という行為は、製造したものを直ちに使用するもので、「検証」の対象物が何も残されないことになります。
しかしながら、FDAの見解では、試薬に対する試験などの開発プロセス、または被検者検体の検査で使用する機器の管理は「製造」活動の一部であり、手順やプロセスの文書化は必須で、これらのプロセスが予見されうるパフォーマンスを発揮しなかった場合に措置を講じることも含め、設計・開発・管理されなければなりません。

次回トピック:How to work with the FDA to establish a compliant system

許可なく本稿を複写することを禁止します。本稿は、Med Device Onlineに掲載されたものです。第2部も本サイトでお楽しみください。

Sharon Kvistad
Navigant’s Healthcare and Life Sciences Disputes, Regulatory, Compliance, and Investigations (HLS DRCI) practiceアソシエイトディレクター
米国内及び国外において医療機器の薬事関連業務に30年以上携わる。FDA規制プロセスを導入した企業の設立及び事業展開に関するアドバイザーとしても活躍し、薬事戦略の開発及び実施や、当局への臨床及び販売承認申請に係る業務が専門。国内においては、IDE、 PMA、PMA/S、HUD/HDE、510(k)の申請経験を有する。

また、製品開発においては薬事部門の要員として参加し、FDAや関連規制当局と、クライアント代理として交渉に当たる。手順書の作成や導入、エンジニアリング、製造、マーケティング、販売部門要員のトレーニングプログラムにおける経験が豊富。これまでに携わった製品には、心臓インターベンション製品、短期及び長期植え込み型の心臓関連製品及びアクセサリー、心臓カテーテル、植え込み型人工内耳、クラスI製品がある。

Paula Gray, RAC
Navigant’s Healthcare and Life Sciences Disputes, Regulatory, Compliance, and Investigations (HLS DRCI) practiceシニアコンサルタントとしてFDA規制関連に着目したサービスを提供している。
医療機器及び診断分野の法令遵守、品質システム、監査(社内及び購買先)に関する業務に15年間携わる。市販前及び市販後の法令遵守が専門で、品質管理及び品質保証、文書管理、設計管理、ソフトウエアに関する法令遵守関係、リスクマネジメント、不適合製品に関する取扱い、苦情処理、有害事象、CAPAなどの経験を有する。組合せ製品に関する経験も豊富。

著者のご紹介
Paula Gray, Navigant
連絡先:317-288-725
paula.gray@navigant.com
Sharon Kvistad, Navigant
連絡先:317-228-8715
sharon.kvistad@navigant.com

本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。

FDAの歴史には詳しいですか?

有効かつ安全なプロダクトの実現に向けた努力は
300年も前に始まっていたのです。
by Lisa Weeks
Marketing Communications
MasterControl

Editor’s note:本稿は二部構成の第一部となります。

秋真っ盛り。新学期の始まりです。 
子供の頃、私は新学期が好きでした。 それは新たなスタートであり、新しい先生や新しい服、新しい文具を意味するものであったからです。あの頃初登場したTrapper Keeper®が最高のブランドだったことを思い出します。

ご存知のない方のために説明いたしますと、Trapper Keeperは80年代の文具の必需品で、カバー(キーパー)付きの3穴バインダーで、光沢のある原色のフォルダ(トラッパー)が中に収納されており、カバーは折り畳み式のマジックテープで留められるような構造になっていました。

私が持っていた、雲や虹やハートが描かれた美しい柄を今でも鮮明に思い出すことができます。そしてそれと同時に中学1年生の時、私が大好きだったMr. Wardの歴史クラスへと向かうときのあのわくわくするような気持ちが私の心に蘇ってくるのです。

ですが、悲しいことに子供たちには、私の学校や歴史そしてTrapper Keepersに感じている愛おしさなど伝わりません。「なんで僕たちがそんなことを知らなきゃいけないの?」「昔のことでしょ。訳わかんない」など不平を言うのです。 
「楽しいじゃない」「面白いでしょ」と繰り返しても子供たちにはまだよくわからない様子で、おかしなことを言う人を見るような目で私を見ます。

最終的に「過去から学ばない人々が同じ過ちを繰り返す運命なのよ」と古い格言を言ってみると、興味を引いたのは『運命』という言葉だったようですが、彼らの注意をようやく引くことができたという次第です。


資料ダウンロード: Working on a Post-Inspection FDA Response


品質やライフサイエンスに関連する文書を読み書きする人がこの格言を聞くとドキっとしてしまいます。我々の業界では、確実に望ましい結果を得ること、あるいは望ましくない結果を回避することが経験や歴史が研究によって証明されているベストプラクティスの概念やテクニック・方法論といったものを糧にしているからです。
FDAは、あらゆる面においてベストプラクティスの管理人的な存在です。継続的改善や誤りから学習することの重要性を常に我々に思い出させてくれる役割をも担っています。
もしその重要性を我々が忘れてしまえば、危険な時に破滅的な状況に陥ってしまうのです。

FDAの起源
FDAは1930年に現在の名称となりました。
1906年6月23日に純正食品薬事法(Pure Food and Drugs Act)が通過し、現在のFDAの薬事的な業務が行なわれるようになりました。成立に四半世紀もの歳月を要したこの法律によって、不純物の混入や表示に誤りのある食品・医薬品の国内商取引が禁止されたのです。

(1)この法律制定以前は数多の怪しい治療薬や、様々な物質が混入する効果のない調剤、そして麻薬やアルコールが規制されることなく、どこでも誰でも購入可能な状況でした。
成分が記載されたものや誤使用に関する表示がある調剤はほとんど存在しない状態だったのです。したがって、人々は「薬剤師」から伝えられる言葉や経験から薬に関する情報を得なければならない状況にありました。
Pure Food and Drugs Act法案成立とFDAの設立は、第26代米国大統領Theodore Roosevelt氏と農務省化学局長(chief chemist of the Bureau of Chemistry in the Department of Agriculture)Harvey W. Wiley氏の功績です。

(2)1862年、Abraham Lincoln大統領やWiley氏の前任者であるCharles Wetherillが現代の食品及び医薬品に関する規制の種をまいたと言う人もいます。Roosevelt氏もWiley氏も、かつて存在していなかった消費者保護という局面に尽力し、その実現の一端を担った人物たちでした。
Pure Food and Drugs Actが施行日と同日に、Upton Sinclairの著書「The Jungle(シカゴ精肉業業界の暴露本)」を受けて、Roosevelt氏は連邦食肉検査法(Federal Meat Inspection Act;FMIA)に署名しました。
この法律により検査の権限が農務長官(Secretary of Agriculture)に付与され、不良(adulterated)や不当表示(misbranded)のある肉やその加工品が食用として販売されることを避け、肉やその加工品が衛生管理下で食肉処理、加工されることが定められたのです。

(3)FMIAの規制に従うことはとても簡単そうに思えますが、この法律により米国内の製造施設の現状がどのような状況にあるのか、またそれに対し施設責任者の目が配られていないという驚くような状況が白日の下になったのでした。悲しいことにこうした不適切な状況と人の目を欺むいた行為は、なんと300年間も続けられてきたのです。

・初期の食品及び医薬品に関する規制

初の植民地法: 1646 Massachusetts Bread Law
パン製造業というのは、ニューワールドに生まれた最初の商業でした。ほどなくして不誠実なパン屋は利益率を挙げる目的で、白亜や挽いた豆類といった安価な材料等を使用するようになったのです。本法律では「パン一斤」の価格は1ペニーと規定し、重量に応じて単価が下がる仕組みがとられました。査察官は施設に立ち入り「light(重量の軽いパン)」を押収していたのです。
*(lite(糖質やカロリーなどが低い)は当時存在していませんでした) 
こうしたことは、はたして現代にまで何らかの影響を及ぼしているのでしょうか? 
私はもちろん影響があると考えています。

(4)2007年中国のペットフードメーカーがタンパク質の代わりに、試験により模造可能な石炭誘導体メラミンを使用していたことが発覚しました。何千匹もの動物が腎不全に苦しみ死んでいきました。さらに酷いことに、2008年には中国の乳児用粉ミルクメーカーにより同様の不正が行われていたのです。確認されただけで少なくとも、乳児6人が死亡し、30万人が健康被害を受ける問題に発展したのでした。

・初の州法: 1785年、マサチューセッツ法Unwholesome Provisions Law
この法律は、特定の製品(パン等)だけでなく、食品全般に適用されるのは州で初めての法律でした。
FDA規則を読み解くのは大変だという皆さんのために、1785年の法律からの抜粋を以下に示します。

「…強欲や不正利得といった動機から悪意を持った者が、公衆衛生や平和を著しく害するような有病、腐敗、伝染、不衛生な食品を販売した場合」
なんてことでしょう!Form483やwarning lettersのことは忘れてください。
この法律の違反者は、「さらしもの」にされました。法を犯した者は数時間公の場にさらされたのです。

・初の連邦法:1789 Act of Laying a Duty on Imported Goods, Wares, and Merchandise
この法律には米国に輸入されている商品の品質管理を支援する目的で品質に関する条項が盛り込まれた収益創出を目的とする法令でした。


過去の食物及び医薬品に関する違反者への処罰


現代の食品及び医薬品に関する規制
1900年代初頭、Pure Food and Drugs Actが食物と医薬品の販売のための安全性および有効性に関し、その改善に大きな役割を果たしたものの、米国ではまだその取り組みは始まったばかりでした。法律の網をくぐり、特許権取得医薬品としてではなく「処方薬」として、悪徳業者は広告戦術を変えただけで怪しい薬の販売を継続し、近所の薬局に「あふれて」いる状態でした。
嘘の効能で最も多いのは現在も続いているダイエット製品でした。

(5)1906年の法律では、医薬品に対しその効果や純度の基準を設けるに留まっており、市販前にFDAへの医薬品情報の提出が義務化されていなかったため、健康詐欺が横行していました。
裏付ける医学的根拠のない癌のためのJohnson’s Mild Combination Treatmentのような「特効薬」が販売されることは完全に合法であると言えます。
米国政府対ジョンソン社の裁判で最高裁は、製品の有効性について1906法令の範囲を逸脱しているといった判決が下されました。

 (6) ・1912年Sherley Amendment
米国対ジョンソンとの判決結果を受け議会は、Sherley Amendmentを立法化し医薬品の虚偽の効能記載が禁止されました。

Sherleyは、正しい目的への第一歩を踏み出したものの、理想からはかけ離れたものでした。

医薬品のラベリングに誤りやまぎらわしい記載であることの立証責任は政府にあり、その多くが立証困難な事例でした。
 雑草のスギナから作られた偽糖尿病薬Banbarで多くの死亡事故が発生したケースでは、この薬品を服用した糖尿病患者の死亡診断書を政府が作成できたという事実や、薬製造業者が元シャツのセールスマンであったという事実にもかかわらず、陪審員が下したのは、医薬品メーカー側にとって有利な判決だったのです!

当然、2,000人以上の申込者の中から1907年に選ばれた最初の食品及び医薬品の検査官28名は、厄介な仕事を抱えることになったのです。

(7)・1914年Harrison Narcotic Act
特許権取得医薬品の乱用で最も悲惨な出来事には、赤ちゃんを泣き止ませるために与えられた「鎮静シロップ」の中毒がありました。当時一般的となった「鎮静剤」には、モルヒネやヘロイン・アヘン・アヘンチンキ(アルコールとアヘンの混成物)といった成分が含有されていたのです。

1906年の法律では内容物である麻薬(narcotics)の名称と用量の表示のみが義務付けられていました。このため、薬剤師が店頭で強力かつ常用性のある麻薬シロップを販売することが可能だったのです。 
米国医師会と全国雑誌による反アヘン運動による圧力を受けて、1914年Harrison Narcotic Actが可決され、店頭での薬剤師による麻薬含有シロップの販売が禁止されたのです。

(8)・1938年Food Drug and Cosmetic Act
実際の変化は、S.E. Massengill社からエチレングリコール(不凍液)とトリメチレングリコールの副産物として生成されたジエチレングリコールが添加されていたエリキシール(スルファニルアミド)の製造及び販売に対する人々の抗議によって起こりました。エリキシールによる中毒が発生し、児童を中心に100名以上の患者が不幸にして死亡しました。人々は怒り、その後この溶媒を考案した化学者が自殺しました。

ある悲しみに打ちひしがれた母親が、6才の娘の死についてFranklin D. Roosevelt大統領に宛てて書いた痛ましい手紙の一文です。

「彼女との思いでは…小さい体が震え、小さい声で痛みを訴える姿であり、その思い出には悲しみがいっぱいで、私はとても正気ではいられませんでした。命を奪い、こうした苦しみを死後に残してしまう薬の販売をどうか停止してください… 」 

(9)1937年のスルファニルアミドの悲劇が起こったことで、1906年の法律の全般的な見直しの必要性が明らかとなりました。この時、食品・医薬品・化粧品法(別名FD&C法及びFFDCA)が可決され、1938年6月25日にFranklin D. Roosevelt大統領が法案に署名しました。
消費者への販売前に医薬品の安全性を証明することが、初めて製造者に義務付けられたのです。1906年のPure Food and Drug Act が改正され1938年に本法律が成立しました。Sherley Amendmentも廃止され、有毒物質の安全性や耐性、認可された製造施設の査察などが盛り込まれました。
さてその後は? 引き続き、第二部もお楽しみください。

FD&C規制の改正は度々行われていますが、米国の食品及び医薬品の安全性に関する規制で中核となる法律は他にも存在します。第二部では関連する出来事も含めFD&C規制の重要な改正内容をご紹介いたします。
第二部には面白いクイズもあるのでFDAに関するあなたの知識を試してみてください。
歴史を語るのはやっぱり楽しいですね!

MasterControl社 品質部門マネージャーのLillian Erickson女史からの多大なるご協力いただきましたことに、心より感謝申し上げます。


著者のご紹介
Lisa Weeks
MasterControl社マーケティングコミュニケーションスペシャリスト。テクノロジーやライフサイエンスや規制に関連する業務など、広範囲のテーマで執筆活動を行っている。
McNeil Pharmaceuticals、SAP AG、SCA Mölnlycke、Crozer-Keystone Health Systems、  NovaCare Rehabilitation/Select Medなどの企業のマーケティング及び広告に関する業務を20年間行ってきた経験を有する。Medical Product Manufacturing NEWS (MPMN)、Medtech Pulse、Risk Insights, MD+DI、Pharmaceutical Processing、Genetic Engineering & Biotechnology News (GEN)、PharmaTechなど多くの業界紙においてそのスキルが発揮されている。

本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。