2018年9月7日金曜日
FDA、製造拠点に対する査察の優先度に関する見解を発表
FDA(米国食品医薬品局)は、査察対象とする製造拠点の選定に関するマニュアルを発表しました。これは米国内外の両方を対象とした内容となっており、2017年に対象となっていた5,063施設の中で、実際には1,453施設(内762施設は海外)に対して査察が実施されましたが、リスクベースで進めていく上で対象となるリスクに関する説明等が記載されています。また、EUとのMRA(Mutual Recognition Agreement (MRA)も施設選定において関連しています。
※原文はこちら
Understanding CDER’s Risk-Based Site Selection Model (PDF - 83KB)
Mutual Recognition Agreement (MRA)
https://www.fda.gov/InternationalPrograms/Agreements/ucm598735.htm
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Y. Uchino
2018年7月6日金曜日
FDA、 2018 Quality Metrics Site Visit Program等を発表
FDAは、Quality Metrics Feedback Program及び2018 Quality Metrics Site Visit Programを発表しました。Quality Metrics Feedback Programは、FDAとの打ち合わせを通じて、行政として医薬品を監督する新しいアプローチに対する評価を目的としており、特定の品質情報やGMPにおける製造プロセスなどが対象となります。Quality Metrics Site Visit Programは、FDAのQuality Metrics Programの開発に携わるFDAの担当者への教育を目的としており、参加企業側にもQuality Metrics Programの導入による利点等の説明を受ける機会を意図しています。原文は下記のサイト上段の「Update」よりアクセスが可能です。
FDA:Quality Metrics for Drug Manufacturing https://www.fda.gov/drugs/developmentapprovalprocess/manufacturing/ucm526869.htm
本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。
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Y. Uchino
2018年6月8日金曜日
FDA、Q-Submissionプログラム更新版のドラフトを発表
FDA(米国食品医薬品局)は、申請予定等の医療機器を開発する企業がFDAに相談する際の更新版ガイダンスを発表しました。IDEやHDE、510 (k)などを予定している申請者に対して、疑問に対するFDAからの公式な回答を得ることが可能となり、また、Q-Subプログラム対象外の質問の場合でも対応指針が記載されています。Appendix(付録)には、送付時のチェックリストや質問例も記載されていますので、あわせてご参考ください。
Requests for Feedback and Meetings for Medical Device Submissions: The Q-Submission Program - Draft Guidance for Industry and Food and Drug Administration Staff https://www.fda.gov/downloads/MedicalDevices/DeviceRegulationandGuidance/GuidanceDocuments/UCM609753.pdf
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Y. Uchino
2018年5月30日水曜日
FDA、Cures Actで医療機器対象外のソフトウェアに関する意見募集
FDA(米国食品医薬品局)は、2016年12月に制定したCures Actのセクション3060にて対象外としたソフトウェアに関して、利点及びリスクに関する情報を募集すると発表しました。Cures Actでは、「1. ヘルスケア施設の運営管理、2. 健康的なライフスタイルの維持、3. 電子的な患者情報、4. データの転送や保管、フォーマットの変更、表示、5. (治療方法などの)決定の一部を補助」の5種類は、医療用ソフトウェアであってもCures Actの対象外であると記載されており、2017年12月にFDAが発表した2つのガイダンスでは、デジタルヘルスケアにおけるFDAの役割や関わりが不要と考えられる分野等についての記載もあります。今回の募集の結果を経て、FDAは安全性等に関するレポートの発表を2018年12月までに予定しており、以後、2年ごとの更新を予定しています。
FDA発表記事:Development of 21st Century Cures Act Section 3060 Required Report: Request for Input
https://www.regulations.gov/contentStreamer?documentId=FDA-2018-N-1910-0001&contentType=pdf
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Y. Uchino
2017年11月20日月曜日
UDI(機器固有識別子): ルールが十分であるとはいえない現状
![]() | ||
| FDAがUDIの形式及び内容に関する ドラフトガイダンスを発表 |
Hyman, Phelps & McNamara, P.C
医療機器(クラス II)へのUDI適用が義務付けられる期日の2カ月前である2016年7月26日、UDIの形式及び内容という最も基本的な概念に関連したドラフトガイダンスが発表されました。具体的には、業界及びFDA認定の発行機関に対し、UDIの形式及びその内容を「明確化すること」及び「UDI発行システムから生成されたUDIが、ルールに準拠していることをより確実なものとすること」を目的とすることが述べられています。
2013年9月にUDIルールが最終化されるとまもなく、第一号となる発行機関がFDAによって認定されています。それ以降、発行機関は、製造業者と協力してクラス III及びクラス IIのUDI発行に関する取り組みを実施してきました。不適合とみなされるUDIが発行されていることをFDAが認識しているといった記載はドラフトガイダンスにはありませんが、それがこのドラフトガイダンスの含意ではないかと思われます。例えば、ドラフトガイダンスには「FDA認定各UDI発行機関は、UDI付与を目的とするシステムの開発及びオペレーションに際し、製造業者がFDA認定発行機関のシステムを使用することにより、UDI表示要求事項に準拠するUDIを作成することが確実となることが至って重要である」という内容が示されています。
ウェブセミナー: Working on a Post-Inspection FDA
認定UDI発行機関からUDIを取得済である製造業者には、ドラフトガイダンスにおける上記内容が、UDIの表示要求事項を満たしていないUDIが実際に発行されていると読み取れることから、不安を抱くこともあるかもしれません。しかしドラフトガイダンスでは、製造業者に発行されたUDIの適合性を確認すべきだとか、要件を満たしていないUDIが発行されているといった内容をFDAが認識しているとの記載もありません。万が一、基準を満たしていないUDIをFDAが認識しているのであれば、ガイダンスにそのような内容が記載され、不十分なUDIの是正方法に関してもう少し、直接的なガイダンスを製造業者及びUDI発行機関に向けて示すはずです。
また、ドラフトガイダンスには、UDIルールの最終化以降に発表されたルールやガイダンスでは述べられていない新しいコンセプトが紹介されています。しかし、「データデリミター(Data Delimiter)」や「UDIキャリア(UDI Carrier)」などが紹介されている一方で、これらは発行機関が既に使用されているものなのか、それともUDIの形式及び内容の生成における全く新しい方法であるのかは、明確ではありません。しかし、既に発行済のUDIの順守状況を踏まえて、FDAが認識している課題に対する是正方法として、このようなコンセプトが現段階で紹介されているのかもしれません。しかし、このような点について、ドラフトガイダンスでは明確には述べられていません。
FDAは、このような最終段階においてガイダンスを発行した理由や、法規制を満たしていないUDIの可能性、新しい用語が導入された理由について、もう少し明確に説明する必要があると思います。また、製造業者が発行機関から取得したUDIが要求事項を満たしていない場合、それらの対応に要する猶予期間をFDAは与えるべきであり、UDIの取得に積極的に取り組んできた企業に対する法的措置は取るものではないと思います。
※本記事は著者の許可を得て、転載しています。
著者のご紹介
Jennifer D. Newberger
クライアントである医療機器メーカーの薬事戦略構築や製品アプリケーションの準備、ラベリング、広告、プロモーションに関する法令順守、強制措置などでサポートを行っています。ヒト組織に由来する製品に関するFDA規制の専門家として、コンビネーション製品に関する問題にも取り組んでいます。また、FDAに対する薬事スケジュールや契約、対応に関するコンサルティングを行い、医療機器メーカーを代表してFDAとの話し合いに出席するといった活動にも携わっています。薬事分野では、IDEや510(k)、de novo 、PMA申請、ファイリングの準備、法令遵守では、MDRやリコールQSRに関し企業へのアドバイス、大企業から中小企業まで、事業の立ち上げをサポートしています。前職では、FDAのCDRH(Center for Devices and Radiological Health)でポリシーアドバイザーとしての経験を有していたことから、当局内部のプロセス及びプライオリティを熟知しており、医療機器に関するルールが発令された際に、このような行政側の視点を意識したアドバイスを提供しています。
関連記事:
"Need Help Navigating UDI? FDA Can Help"
"The Future of Medical Device Registries"
本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。
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Y. Uchino
2017年5月2日火曜日
FDA査察における指摘事項への対応 ~反論もOK!?~
Martin Browning, President, EduQuest, Inc.
法制化策定及びFDAの査察官としての22年
FDAは限定された人材での運用に追われながらも、法規制対象にある企業への査察は継続しており、査察報告書(Form 483)や警告文書が発行されています。
2014年の1年間を通じて実施されたFDAの査察件数は38,000件を超え、発行された8,457件のForm 483には、査察官の判断で業務や製品がFDA要求事項に適合していないことを示す指摘事項が記載されています。
経験を積んだ査察官の世代交代の中、この年間査察件数を維持するため、FDAでは新たな査察官の雇用にも取り組んでいます。もちろんベテランの査察官も残留していますが、経験の浅い査察官が担当することになる可能性も高いのです。
業界特有の知識が不十分な新米査察官が、馴染みのない製品やプロセスに関する説明を理解し受け入れるということは難しいことかもしれません。ですから、もしForm 483の所見に納得できない場合には、議論を大きくしすぎないためにも、効果的かつ責任のある回答手段を認識し講じるべきだと考えます。
査察終了後のプロセスの一例
Form 483への回答は、規制当局の上層部(ワシントンの法執行部を含む)が関与する前に企業側のストーリーを伝えることのできる最高のチャンスです。
驚く企業の方もいるかもしれませんが、Form 483の記載内容で企業が適切ではないと考える点については、査察官が企業を去ってしまう前に、企業側の責任で査察官に働きかける、あるいは少なくとも意見を伝えることが求められています。
査察後の最終確認会議では、査察官がForm 483の指摘事項をひとつずつ説明し、企業の回答や査察期間中に実施された是正措置を記録する義務があります。
指摘事項に対して100%の自信をもって回答できるのであれば、たとえ反論であっても回答すべきでしょう。しかし、どのように回答すべきか浮かばない場合は、指摘への回答は書面にてFDAに送付する旨を査察官に伝えるほうが得策です。
口頭で回答したとしても、フォローアップとして書面での回答を迅速にFDAに提出することが極めて重要となります。理由は次のとおりです。
企業に出向き、査察が終了してから10営業日以内に指摘事項を要約した、施設査察報告書(EIA:Establishment Inspection Report)をスーパーバイザーに提出することが、FDA査察官には義務付けられています。FDAでは警告文書を発行するのか、あるいはその他の法的措置を講じるのかについては、EIRの提出を受けたときから動き始めることになっています。
FDAからは15日以内にForm 483の指摘事項への回答を提出するよう求められますが、私は査察官が査察報告書を最終化するまでのスケジュールに合わせて、10日以内の回答提出をお勧めします。早めに回答を行うことで、FDAの上層部に企業側の意見が伝わるチャンスは最大限に広がります。
そうすれば、企業からの回答は、Form 483に記載される指摘事項に対し警告文書の発行が必要か否かの判断を下す査察官のスーパーバイザー(通常は地域コンプライアンス担当者)やその他の法執行機関の当局者を含む全ての関係者の目に触れることになるのです。
回答が適切であると判断されれば、企業から提案された是正措置が認められ警告文書の発行に至らずに済んだことを示す文書を受領します。しかし、これで終わったわけではありません。もし、再査察の際に、是正措置が実施されていなかった、または効果がなかったことが判明すれば、初回の査察で警告文書の発行がされていたものと同様に再査察が行われることになります。
次に回答、特に書面による回答に含むべき内容をご紹介します。
企業の事業内容に精通していないFDA担当者が回答を読みますので、事業内容や製品、業務概要、企業の歴史などを盛り込むと良いでしょう。
指摘事項に同意しないのであれば、問題の背景となる情報を提示し、査察官からの指摘を受けた理由と、その指摘が妥当ではないとする根拠を説明してください。
的確な科学的根拠を準備しましょう。ご自身のプロセスや製品に伴う経験を討議すべきであって、査察官の経験や査察プロセスを侮辱するようなことはしてはいけません。そのような方法では当局との友好的な関係を築くことはできないでしょう。
書面または口頭で回答する場合、指摘を受けた状況に対し、基準を満たす製品であることを保障するために合理的かつ最大限の取り組みを企業の管理下で実施しているということをFDAに示すことが非常に重要となります。
次に、回答として不適切な内容を挙げます。
効果的な回答事例
ここで、実際にあった査察における指摘事項3例と、それに対する企業からの不適切な回答とそれに対する適切な回答例とをご紹介します。私が考えるより慎重で効果的な回答例もありますので、是非比較してご覧ください。
指摘事項 事例1:保管用冷蔵庫に記録表はないが、製品は保管条件の摂氏4~8°で保管されていた。
不適切回答例:冷蔵庫に記録表を設置する予定です。
適切な回答例:保管条件による製品への影響はないことを確認するために、実施済みの全試験を再度行い、冷蔵庫に保管された全製品の再調査を行う予定です。合格品質限界(Acceptable Quality Limited :AQL2.5)を用い、統計学的に裏付けされた抜き取り検査計画書に基づき、抜き取り検査を実施する予定です。不合格品が確認された場合、全ロットを破棄するか、可能であれば再加工することになっています。試験終了後、試験に関する文書の写しを2週間以内に提出する予定です。記録表は、30日以内に全ての冷蔵庫に設置する予定です。
指摘事項 事例2:冷凍乾燥器の取扱説明書では、機器のメンテナンスは6か月ごとに実施することとなっているが、現時点で冷凍乾燥器の定期メンテナンスは実施されていない。
不適切な回答:早急に冷凍乾燥器の製造元に連絡し、保守契約をお願いします。
適切な回答例:冷凍乾燥機には故障ベースの保守スケジュールが立てられています。20年間使用していますが、本冷凍乾燥機で冷凍乾燥された製品に問題があったことはありません。予防的にメンテナンスを行って冷凍乾燥機が正常に稼働しているか確認する必要はないと判断します。
指摘事項 事例3:電気的試験で記録された結果は定性的データのみで、定量的データはなかった。
不適切な回答:これらの試験の場合、社内標準作業手順書(SOP)では定量的データを記録することは要求されていませんので、FDA Form 483で扱われる問題ではないと考えます。
適切な回答例:査察官が必要と判断された定量的データは、実際、電導度の判断にのみに使用したものです。プロセス評価が実施されており、一定の傾向を示すと判断できるような情報を定量的データの記録から得ることはできません。このような試験では製品の仕様が満たされていることを担保するために定量的データは必要ないという理由を査察官がご存じではなかったので、こうした情報を査察官に説明しました。
「適切な回答」では具体的かつ積極的な姿勢が示されている点にご注目ください。また企業がどのように問題を理解し管理していることについても明確になっている点がお分かりいただけると思います。議論や意見を投げかけるのではなく、事実のみを提示しているのです。
無回答のままにしておくのは賢い選択ではありません。
Form 483による査察指摘事項を受けた場合に最大の目標となることは、企業の経済的、法的損失の可能性を最小限にとどめることとなりますので、可能な限り迅速に指摘事項への対応に取り組まなければなりません。
Form 483に回答しなければならないという法的拘束はありません。しかし、Form 483の段階ではあくまでも指摘事項が査察官の意見であることを覚えておいてください。ですから、タイムリーかつ周到な回答することは、当局で追加的措置が検討される前に企業側のストーリーを伝えることができる最良で、おそらく最後のチャンスとなるでしょう。
ご存知のとおり、絶妙なバランスが存在します。自ら問題を取り上げる必要がありますが、もし、企業が当局やその職員を侮辱するような態度を示すようなことがあれば、より高額な費用がかかってしまうことになったり、悪い評判がたって経営が立ち行かなくなってしまうような追加的な法的措置を通じて、コンプライアンスの問題に直面することになるかもしれません。
こうした態度をとるのではなく、これ以上の法的措置の必要性はなく、企業は当局が指摘する問題を認識し解決に向けて取り組んでいることをFDAに示してください。そうすれば、当局はあなたの組織の進捗状況の監視を継続しながら、「より大きな問題」を抱える企業へと注目対象を移していくかもしれません。
確かなことは、Form 483の査察指摘事項への無回答、回答遅延や不十分な内容が、御社CEOのデスクに警告文書が届けられてしまう可能性を高めてしまうということです。
企業の回答に関するその他の情報:
Form 483や警告文書の発行に関するFDAのアプローチに関する詳しい情報を知りたい方は、次にご紹介するリンクにアクセスしてください。
FDAは査察の完全「戦略法」を納めた本を作成しています。「Investigations Operations Manual (IOM)」はfield investigator向けポリシーガイドで毎年更新されています。2015 年度版IOM のPDFファイルがEduQuest社から発行されており、ウェブサイトから無料でダウンロードできます。
著者のご紹介
Martin Browning
FDAに22年間、エキスパートField Investigatorとして、またFDAの薬事部門アソシエイトコミッショナーのスペシャルアシスタントとして従事。21 CFR Part 11規制を起草したメンバーの一員でもあり、品質システムに関する規制(21 CFR Part 820)の作成にも貢献。1995年にEduQuest社を共同で立ち上げ、FDAコンプライアンスエクスパートのグローバルメンバーの一員としてFDA模擬査察や薬事的アドバイス、FDAコンプライアンス関連のトレーニングプログラムを提供している。
本投稿に関するご質問は、EduQuest社Martin Heavner (martinheavner@eduquest.net, 301-874-6031)までご連絡ください。
本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。
法制化策定及びFDAの査察官としての22年
FDAは限定された人材での運用に追われながらも、法規制対象にある企業への査察は継続しており、査察報告書(Form 483)や警告文書が発行されています。
2014年の1年間を通じて実施されたFDAの査察件数は38,000件を超え、発行された8,457件のForm 483には、査察官の判断で業務や製品がFDA要求事項に適合していないことを示す指摘事項が記載されています。
経験を積んだ査察官の世代交代の中、この年間査察件数を維持するため、FDAでは新たな査察官の雇用にも取り組んでいます。もちろんベテランの査察官も残留していますが、経験の浅い査察官が担当することになる可能性も高いのです。
業界特有の知識が不十分な新米査察官が、馴染みのない製品やプロセスに関する説明を理解し受け入れるということは難しいことかもしれません。ですから、もしForm 483の所見に納得できない場合には、議論を大きくしすぎないためにも、効果的かつ責任のある回答手段を認識し講じるべきだと考えます。
査察終了後のプロセスの一例
Form 483への回答は、規制当局の上層部(ワシントンの法執行部を含む)が関与する前に企業側のストーリーを伝えることのできる最高のチャンスです。
驚く企業の方もいるかもしれませんが、Form 483の記載内容で企業が適切ではないと考える点については、査察官が企業を去ってしまう前に、企業側の責任で査察官に働きかける、あるいは少なくとも意見を伝えることが求められています。
査察後の最終確認会議では、査察官がForm 483の指摘事項をひとつずつ説明し、企業の回答や査察期間中に実施された是正措置を記録する義務があります。
資料ダウンロード: 21 CFR Part 11 Industry Overview
指摘事項に対して100%の自信をもって回答できるのであれば、たとえ反論であっても回答すべきでしょう。しかし、どのように回答すべきか浮かばない場合は、指摘への回答は書面にてFDAに送付する旨を査察官に伝えるほうが得策です。
口頭で回答したとしても、フォローアップとして書面での回答を迅速にFDAに提出することが極めて重要となります。理由は次のとおりです。
企業に出向き、査察が終了してから10営業日以内に指摘事項を要約した、施設査察報告書(EIA:Establishment Inspection Report)をスーパーバイザーに提出することが、FDA査察官には義務付けられています。FDAでは警告文書を発行するのか、あるいはその他の法的措置を講じるのかについては、EIRの提出を受けたときから動き始めることになっています。
FDAからは15日以内にForm 483の指摘事項への回答を提出するよう求められますが、私は査察官が査察報告書を最終化するまでのスケジュールに合わせて、10日以内の回答提出をお勧めします。早めに回答を行うことで、FDAの上層部に企業側の意見が伝わるチャンスは最大限に広がります。
そうすれば、企業からの回答は、Form 483に記載される指摘事項に対し警告文書の発行が必要か否かの判断を下す査察官のスーパーバイザー(通常は地域コンプライアンス担当者)やその他の法執行機関の当局者を含む全ての関係者の目に触れることになるのです。
回答が適切であると判断されれば、企業から提案された是正措置が認められ警告文書の発行に至らずに済んだことを示す文書を受領します。しかし、これで終わったわけではありません。もし、再査察の際に、是正措置が実施されていなかった、または効果がなかったことが判明すれば、初回の査察で警告文書の発行がされていたものと同様に再査察が行われることになります。
次に回答、特に書面による回答に含むべき内容をご紹介します。
- 査察官からの指摘事項の再記載-これは企業が問題を理解していることを示すことが目的です。
- 指摘を受けた理由について
- 製品仕様への影響はなかったこと(あるいは、今後影響しないこと)を確認するために講じられた措置について
- 指摘事項に対する取り組みの開始日とその方法について
企業の事業内容に精通していないFDA担当者が回答を読みますので、事業内容や製品、業務概要、企業の歴史などを盛り込むと良いでしょう。
指摘事項に同意しないのであれば、問題の背景となる情報を提示し、査察官からの指摘を受けた理由と、その指摘が妥当ではないとする根拠を説明してください。
的確な科学的根拠を準備しましょう。ご自身のプロセスや製品に伴う経験を討議すべきであって、査察官の経験や査察プロセスを侮辱するようなことはしてはいけません。そのような方法では当局との友好的な関係を築くことはできないでしょう。
書面または口頭で回答する場合、指摘を受けた状況に対し、基準を満たす製品であることを保障するために合理的かつ最大限の取り組みを企業の管理下で実施しているということをFDAに示すことが非常に重要となります。
次に、回答として不適切な内容を挙げます。
- 規制の解釈を争点にしないこと。たとえ経験の浅い査察官であっても、規制に関しては企業の皆さんが知っていることよりもっと細かなところまで査察官は熟知しているのですからFDA査察官に分があります。規制の解釈を当局と議論したところで、まず勝ち目はありません。
- 予定される是正措置の概要の記載がなく、単にForm 483を受領した旨だけの記載で済ませないこと。是正措置が示されていない場合、企業は問題を理解していない、またはその重要性が認識できていないと当局は判断します。
効果的な回答事例
ここで、実際にあった査察における指摘事項3例と、それに対する企業からの不適切な回答とそれに対する適切な回答例とをご紹介します。私が考えるより慎重で効果的な回答例もありますので、是非比較してご覧ください。
指摘事項 事例1:保管用冷蔵庫に記録表はないが、製品は保管条件の摂氏4~8°で保管されていた。
不適切回答例:冷蔵庫に記録表を設置する予定です。
適切な回答例:保管条件による製品への影響はないことを確認するために、実施済みの全試験を再度行い、冷蔵庫に保管された全製品の再調査を行う予定です。合格品質限界(Acceptable Quality Limited :AQL2.5)を用い、統計学的に裏付けされた抜き取り検査計画書に基づき、抜き取り検査を実施する予定です。不合格品が確認された場合、全ロットを破棄するか、可能であれば再加工することになっています。試験終了後、試験に関する文書の写しを2週間以内に提出する予定です。記録表は、30日以内に全ての冷蔵庫に設置する予定です。
指摘事項 事例2:冷凍乾燥器の取扱説明書では、機器のメンテナンスは6か月ごとに実施することとなっているが、現時点で冷凍乾燥器の定期メンテナンスは実施されていない。
不適切な回答:早急に冷凍乾燥器の製造元に連絡し、保守契約をお願いします。
適切な回答例:冷凍乾燥機には故障ベースの保守スケジュールが立てられています。20年間使用していますが、本冷凍乾燥機で冷凍乾燥された製品に問題があったことはありません。予防的にメンテナンスを行って冷凍乾燥機が正常に稼働しているか確認する必要はないと判断します。
指摘事項 事例3:電気的試験で記録された結果は定性的データのみで、定量的データはなかった。
不適切な回答:これらの試験の場合、社内標準作業手順書(SOP)では定量的データを記録することは要求されていませんので、FDA Form 483で扱われる問題ではないと考えます。
適切な回答例:査察官が必要と判断された定量的データは、実際、電導度の判断にのみに使用したものです。プロセス評価が実施されており、一定の傾向を示すと判断できるような情報を定量的データの記録から得ることはできません。このような試験では製品の仕様が満たされていることを担保するために定量的データは必要ないという理由を査察官がご存じではなかったので、こうした情報を査察官に説明しました。
「適切な回答」では具体的かつ積極的な姿勢が示されている点にご注目ください。また企業がどのように問題を理解し管理していることについても明確になっている点がお分かりいただけると思います。議論や意見を投げかけるのではなく、事実のみを提示しているのです。
無回答のままにしておくのは賢い選択ではありません。
Form 483による査察指摘事項を受けた場合に最大の目標となることは、企業の経済的、法的損失の可能性を最小限にとどめることとなりますので、可能な限り迅速に指摘事項への対応に取り組まなければなりません。
Form 483に回答しなければならないという法的拘束はありません。しかし、Form 483の段階ではあくまでも指摘事項が査察官の意見であることを覚えておいてください。ですから、タイムリーかつ周到な回答することは、当局で追加的措置が検討される前に企業側のストーリーを伝えることができる最良で、おそらく最後のチャンスとなるでしょう。
ご存知のとおり、絶妙なバランスが存在します。自ら問題を取り上げる必要がありますが、もし、企業が当局やその職員を侮辱するような態度を示すようなことがあれば、より高額な費用がかかってしまうことになったり、悪い評判がたって経営が立ち行かなくなってしまうような追加的な法的措置を通じて、コンプライアンスの問題に直面することになるかもしれません。
こうした態度をとるのではなく、これ以上の法的措置の必要性はなく、企業は当局が指摘する問題を認識し解決に向けて取り組んでいることをFDAに示してください。そうすれば、当局はあなたの組織の進捗状況の監視を継続しながら、「より大きな問題」を抱える企業へと注目対象を移していくかもしれません。
確かなことは、Form 483の査察指摘事項への無回答、回答遅延や不十分な内容が、御社CEOのデスクに警告文書が届けられてしまう可能性を高めてしまうということです。
企業の回答に関するその他の情報:
Form 483や警告文書の発行に関するFDAのアプローチに関する詳しい情報を知りたい方は、次にご紹介するリンクにアクセスしてください。
- Frequently Asked Questions about FDA Form 483s
- Chapter 4-1 of FDA’s Regulatory Procedures Manual
- Field Management Directive No. 120 (意図しないForm483の対応に関するガイダンス)
FDAは査察の完全「戦略法」を納めた本を作成しています。「Investigations Operations Manual (IOM)」はfield investigator向けポリシーガイドで毎年更新されています。2015 年度版IOM のPDFファイルがEduQuest社から発行されており、ウェブサイトから無料でダウンロードできます。
著者のご紹介
Martin Browning
FDAに22年間、エキスパートField Investigatorとして、またFDAの薬事部門アソシエイトコミッショナーのスペシャルアシスタントとして従事。21 CFR Part 11規制を起草したメンバーの一員でもあり、品質システムに関する規制(21 CFR Part 820)の作成にも貢献。1995年にEduQuest社を共同で立ち上げ、FDAコンプライアンスエクスパートのグローバルメンバーの一員としてFDA模擬査察や薬事的アドバイス、FDAコンプライアンス関連のトレーニングプログラムを提供している。
本投稿に関するご質問は、EduQuest社Martin Heavner (martinheavner@eduquest.net, 301-874-6031)までご連絡ください。
本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。
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Y. Uchino
2017年4月13日木曜日
CLIA vs QSR
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| 説明を追加検査がどこで実施されるかに関わらず、被検者の臨床検査結果に精度、信頼性、適時性 を担保するために1988年アメリカで品質基準を確立する臨床検査機関改善修正法 (CLIA: Clinical Laboratory Improvement Amendment)が制定されました。 |
本稿の内容は2部構成でお届けし、FDAからの注目度の高いCLIAラボの施設開発検査 (LDT: Laboratory Developed Test)について、その問題点と現状を考察していきます。CLIAラボで独自に行われる検査は、最近までFDAの未踏の領域でした。(気づいていなかったとは言っていないですが…)
発行後比較的間もないドラフトガイダンス「FDA Notification and Medical Device Reporting for Laboratory Developed Tests (LDTs); Oct 2014」では、FDAの関心がLDTにあり、業界のこの分野に目が向けられていることが改めて表明されています。
自動車メーカー、NASA、情報技術システムメーカを含む数多くの企業では、高い品質基準で製品が製造されることを目的として品質管理システム(QMS)の実装が義務化されています。
医療機器のような製品では、QMSによって高品質の製品、また意図する性能を発揮する「有効性」や使用目的における安全性が実現されることになります。
米国議会は、検査がどこで実施されるかに関わらず、被検者の臨床検査結果に精度、信頼性、適時性を担保するために臨床検査室を実施するすべての研究機関に対する品質基準を確立する臨床検査改善修正法案(CLIA: Clinical Laboratory Improvement Amendment)を1988年に通過させました。最終CLIA品質システム規制は、CDC(Centers for Disease Control and Prevention)及びCMS(Centers for Medicare & Medicaid Services)から発表され、2003年4月24日に施行されました。
臨床検査室における検査に関する規制が相次いで発行されるなか、1992年2月28日付けで米国保健福祉省(DHH S: Department of Health and Human Services)より、臨床検査室改善法基準(CLIA:1998)施行に係る臨床検査室標準規制(57 FR 7002)が発行されました(42 U.S.C. 263a)。こうした施行規則は42 CFR Part 493に集成されています。
CLIA規制では検査方法の複雑さに応じた品質基準を発表しており、FDAが医療機器メーカー向けに確立している品質システム要件に類似しながらも、それとは異なる臨床検査室向けの品質基準を確立しています。
検査システムが複雑になると、より厳しい基準が適用されるもので、検査の複雑度が「低度」「中度」「高度」に分類されます。そのため、特定検査の実施を予定する臨床検査室では、品質に関する新基準に適合すればCLIA規制に適合することができるものと考えられます。
1998年以降、臨床検査室ではLDT(laboratory developed test)と呼ばれる自家調整された検査法が開発されてきました。LDTは通常、アンメット・メディカル・ニーズ(未だ満たされていない治療のニーズ・未だ有効な治療法がない医療ニーズ)を満たす目的で、病院、大学、臨床検査室などの自施設内で用いられるもので、一般的に、被検者の迅速かつ正確な診断、モニタリング、治療方針の決定を目的として使用されます。
21世紀初頭、医学の進歩は目覚ましいものがあり、個別化医療という概念が急速な変化を遂げ、患者一人一人に応じた最適な薬剤を判断するためにLDTが発展していったのです。
こうした薬剤に特化したLDTは、通常、患者個人の薬剤への反応性を治療前に検査することをコンパニオン診断(またはCDx)と称されます。コンパニオン診断薬の進化に伴い、臨床での体外診断用医薬品(IVD)は、近年からFDAによる薬事法上の監視下に置かれるようになったのです。
これまで、CDx用医療機器として、開発あるいはFDA承認を取得した製品はほとんどありませんが、明確になってきている事実が一つあります。それは、LDTであっても、医療機器や医薬品に関する規制下で製品の管理を行うことをFDAがCDxメーカーに対し要求しているということです。
そのため、医薬品や医療機器に関するFDA規制に準拠したQMSの策定は差し迫った課題であり、現在は特定検査に対しては義務化されている状態です。しかし、既存のQMSがCLIAの水準に適合している多くの臨床検査施設では、FDAのQMS規制に十分に適合できるものと考えがちですが、一言で言うとそれは間違いです。
特に、CLIA認定ラボで導入されているQMSというものは、QMSの基礎的仕組みを築くためのもので、医療機器の品質システム規則である21 CFR Part 820と似てはいますが、「非常に良く似た別もの」です。 CLIA QMSの要求事項は、不十分な点が多く、さらに、近年のCDx用製品の承認により、医療機器のQSRに十分適合するようなQMSが臨床検査室においても導入されることが期待されています。
第1部では、一連のQMS要件の類似点及び相違点についてご説明します。また第2部では、(FDAの対応に不慣れな企業の皆様に向けて)規制準拠を目的とした適正な対応ができているかを正しく判断するための方法についてご説明いたします。
誤った認識:いずれの品質管理システムも、構築されるシステムは同じである。
通常、QMSでは、業務の責任は階層型に定められ、プロセスや製造を安定的に継続するための手順を確立しています。
組織内の役割及び責任、QMSプロセスのモニタリング方法及びモニタリング後の改善方法、プロセスやシステムで不適合となる製品やアウトプットの同定、評価、適切な処分等を確実に行うための方法が文書化されています。
CLIA規制適合QMSとFDA規制適合QMSとの重要な相違点は、要求事項の適用範囲にあります。
現行のCLIA規制(42 CFR 493)のサブパートKでは、複雑度が「低度」以外(つまり「中度」または「高度」の場合)の検査を実施する臨床検査施設に対する品質システムに関する要求事項が定められています。
この規制では、適切な要員の資格認定、検査の生成前後及び最中における被検者の検査結果の生成及び管理方法に着目しており、被検者の検査結果を得るために用いられる検査システムの管理も含まれています。
サブパートKではこの他に、臨床検査施設の検査プロセスが規定に従って実施されていない場合や分析検査で予測値から外れてしまった場合に是正措置を講じ、既存品質管理システムにおける操作や処理手順の評価方法が規定されています。
しかし、重視している点は、被検者検体識別時の最終製品、被検者検体の取り扱い管理、検体の検査メソッド、最終結果報告となっています。
医療機器QSR (21 CFR 820)は、医療機器メーカーに適用されます。QSRに準拠する品質システムでは、機器の使用に疑問や不適切さが感じられる場合の管理や行動を含み、医療機器の設計、開発、製造、流通がどのように行われたかを重視しています。
QSR QMSで着目するのは、最終製品の性能だけではなく、すべてのプロセスがどのように遂行されたかである、とも言え、医療機器の最終ユーザーである医師や機器の使用を受けた患者に意図しない後遺症が残ってしまうことがないように規制しているのです。
QSR QMSでは、適切な管理と組織の仕組みを確保する目的で、要員、製品及びプロセスの継続的な改善方法、様々な段階におけるQMSのモニタリング方法に関する要件が定められています。
また、この基準には、医療機器の開発プロセスの要件や、製造プロセスの管理で期待される事項、不適合な品や不適合なプロセスの特定、評価及び廃棄に関する事項も定められています。
CLIAとQSRの相違点は、QSR QMSは、最終製品やQMSプロセスに着目している点で、単に製品自体に着目しているのではないということです。
品質システム要件の違いは、規制当局が異なる点と、規制上の着目点が異なる点です。 CLIA規制はCenters for Medicare and Medicaid Services (CMS)によるものですが、医療機器の品質管理に関する規制はFDAのCenters for Devices and Radiological Health (CDRH)が定めています。
いずれの規制当局も、第一に重要視しているのは被検者(及び、多くの場合に製品及び検査システムの使用者)の安全性ですが、CDRH規制21 CFR 820下のQMSでは、意図した製品性能の有効性に重点を置いています。
有効性は、機器を使用する度に同一の性能を示す、あるいは単回使用の医療機器の場合は、機器ごとに同一性能を示すことにより明らかになります。CDRHは、21 CFR820規制下では市販後の医療機器の安全性及び有効性の責任はメーカーにあるとしています。
CLIAラボがLDTを行い、特定の薬剤/生物学的製剤の技術、または医療機器の使用に当てはめようとした場合、製品の法律上の分類が異なる可能性があります。
明らかなことは、CDRHの下ではLDTは施行の自由裁量(enforcement discretion)がとられてきたのですが、最近発表されたコンビネーションプロダクトに関する21 CFR Part 4では、LDTがCDxとして医薬品・生物学的製品、または医療機器に並ぶものとして認識されています。
これは、LDTに対する施行の自由裁量を停止し、FDA規制下での積極的な監督の確立を行うものです。
さらに最も顕著なのは、薬剤/生物学的製品/医療機器に使用するLDTは、In Vitro Diagnostic(IVD)として知られる医療機器に分類されることが定められています。
これらの医療機器は、最近では2014年10月3日発行のFDAガイダンス(案)「Framework for Regulatory Oversight of Laboratory Developed Tests (LDTs) (検査室開発検査(LDT)に関する薬事法上の枠組みの概要)」で分類されている通り、21 CFR820規制下のQSR QMSモデルへの適合が求められています。
当初、CLIA認証と一致する簡略化されたシステム構成となることを推測していましたが、CLIAラボに関する最近の事例によると、こうした考え方は誤りであることがわかります。ガイダンスには、LDTの監督に対応するリスクベースのフレームワークに関する記載があり、LDTを「製造」する臨床検査室を対象としたガイダンスが示されています。
また、検査施設に対しFDAがどのように、医療機器メーカーとして検査施設に関連する規制の施行を適用しようとしているかが示されています。
ガイダンスは、包括的な内容を記述した構成ではありませんが、明確な方向性と何から始めるべきか判りやすい枠組みが示されています。
繰り返しになりますが、品質システムで着目する点が異なることから、CLIA QMSでは、CDxやIVDとして使用するためのLDTの開発、つまり「製造」における臨床検査施設の活動のごく一部分だけが対象範囲となっています。
CLIAは被検者の検査結果の出し方に関連するプロセスに着目しているのに対し、QSRでは検査(例えば医療機器等)の設計及び製造プロセスに着目しているということです。
CLIAラボが気をつけるべき点は、今後検査で被検者検体を使用する前段階のLDT「作成」時の行動に説明責任があるということです。
例えば、ELISAゲルを調整して測定する場合、LDT製造プロセスというは、試薬の受け入れや材料の組み合わせ手順を含む範囲になるわけです。
QSRにおける検証の目的がCLIAラボにとって、わかりにくいことが何度もありました。臨床検査施設の検査の「検証」活動では、臨床検査施設において検査を実施するプロセスと被検者の検査結果を出すプロセスは一致するところも多く、まったく同じプロセスで実施されてしまうことさえもあります。
こうした場合、被検者の検査結果生成という行為は、製造したものを直ちに使用するもので、「検証」の対象物が何も残されないことになります。
しかしながら、FDAの見解では、試薬に対する試験などの開発プロセス、または被検者検体の検査で使用する機器の管理は「製造」活動の一部であり、手順やプロセスの文書化は必須で、これらのプロセスが予見されうるパフォーマンスを発揮しなかった場合に措置を講じることも含め、設計・開発・管理されなければなりません。
次回トピック:How to work with the FDA to establish a compliant system
許可なく本稿を複写することを禁止します。本稿は、Med Device Onlineに掲載されたものです。第2部も本サイトでお楽しみください。
Sharon Kvistad
Navigant’s Healthcare and Life Sciences Disputes, Regulatory, Compliance, and Investigations (HLS DRCI) practiceアソシエイトディレクター
米国内及び国外において医療機器の薬事関連業務に30年以上携わる。FDA規制プロセスを導入した企業の設立及び事業展開に関するアドバイザーとしても活躍し、薬事戦略の開発及び実施や、当局への臨床及び販売承認申請に係る業務が専門。国内においては、IDE、 PMA、PMA/S、HUD/HDE、510(k)の申請経験を有する。
また、製品開発においては薬事部門の要員として参加し、FDAや関連規制当局と、クライアント代理として交渉に当たる。手順書の作成や導入、エンジニアリング、製造、マーケティング、販売部門要員のトレーニングプログラムにおける経験が豊富。これまでに携わった製品には、心臓インターベンション製品、短期及び長期植え込み型の心臓関連製品及びアクセサリー、心臓カテーテル、植え込み型人工内耳、クラスI製品がある。
Paula Gray, RAC
Navigant’s Healthcare and Life Sciences Disputes, Regulatory, Compliance, and Investigations (HLS DRCI) practiceシニアコンサルタントとしてFDA規制関連に着目したサービスを提供している。
医療機器及び診断分野の法令遵守、品質システム、監査(社内及び購買先)に関する業務に15年間携わる。市販前及び市販後の法令遵守が専門で、品質管理及び品質保証、文書管理、設計管理、ソフトウエアに関する法令遵守関係、リスクマネジメント、不適合製品に関する取扱い、苦情処理、有害事象、CAPAなどの経験を有する。組合せ製品に関する経験も豊富。
著者のご紹介
Paula Gray, Navigant
連絡先:317-288-725
paula.gray@navigant.com
Sharon Kvistad, Navigant
連絡先:317-228-8715
sharon.kvistad@navigant.com
本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。
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投稿者
Y. Uchino
FDAの歴史には詳しいですか?
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| 有効かつ安全なプロダクトの実現に向けた努力は 300年も前に始まっていたのです。 |
by Lisa Weeks
Marketing Communications
MasterControl
Editor’s note:本稿は二部構成の第一部となります。
秋真っ盛り。新学期の始まりです。
子供の頃、私は新学期が好きでした。 それは新たなスタートであり、新しい先生や新しい服、新しい文具を意味するものであったからです。あの頃初登場したTrapper Keeper®が最高のブランドだったことを思い出します。
ご存知のない方のために説明いたしますと、Trapper Keeperは80年代の文具の必需品で、カバー(キーパー)付きの3穴バインダーで、光沢のある原色のフォルダ(トラッパー)が中に収納されており、カバーは折り畳み式のマジックテープで留められるような構造になっていました。
私が持っていた、雲や虹やハートが描かれた美しい柄を今でも鮮明に思い出すことができます。そしてそれと同時に中学1年生の時、私が大好きだったMr. Wardの歴史クラスへと向かうときのあのわくわくするような気持ちが私の心に蘇ってくるのです。
ですが、悲しいことに子供たちには、私の学校や歴史そしてTrapper Keepersに感じている愛おしさなど伝わりません。「なんで僕たちがそんなことを知らなきゃいけないの?」「昔のことでしょ。訳わかんない」など不平を言うのです。
「楽しいじゃない」「面白いでしょ」と繰り返しても子供たちにはまだよくわからない様子で、おかしなことを言う人を見るような目で私を見ます。
最終的に「過去から学ばない人々が同じ過ちを繰り返す運命なのよ」と古い格言を言ってみると、興味を引いたのは『運命』という言葉だったようですが、彼らの注意をようやく引くことができたという次第です。
品質やライフサイエンスに関連する文書を読み書きする人がこの格言を聞くとドキっとしてしまいます。我々の業界では、確実に望ましい結果を得ること、あるいは望ましくない結果を回避することが経験や歴史が研究によって証明されているベストプラクティスの概念やテクニック・方法論といったものを糧にしているからです。
FDAは、あらゆる面においてベストプラクティスの管理人的な存在です。継続的改善や誤りから学習することの重要性を常に我々に思い出させてくれる役割をも担っています。
もしその重要性を我々が忘れてしまえば、危険な時に破滅的な状況に陥ってしまうのです。
FDAの起源
FDAは1930年に現在の名称となりました。
1906年6月23日に純正食品薬事法(Pure Food and Drugs Act)が通過し、現在のFDAの薬事的な業務が行なわれるようになりました。成立に四半世紀もの歳月を要したこの法律によって、不純物の混入や表示に誤りのある食品・医薬品の国内商取引が禁止されたのです。
(1)この法律制定以前は数多の怪しい治療薬や、様々な物質が混入する効果のない調剤、そして麻薬やアルコールが規制されることなく、どこでも誰でも購入可能な状況でした。
成分が記載されたものや誤使用に関する表示がある調剤はほとんど存在しない状態だったのです。したがって、人々は「薬剤師」から伝えられる言葉や経験から薬に関する情報を得なければならない状況にありました。
Pure Food and Drugs Act法案成立とFDAの設立は、第26代米国大統領Theodore Roosevelt氏と農務省化学局長(chief chemist of the Bureau of Chemistry in the Department of Agriculture)Harvey W. Wiley氏の功績です。
(2)1862年、Abraham Lincoln大統領やWiley氏の前任者であるCharles Wetherillが現代の食品及び医薬品に関する規制の種をまいたと言う人もいます。Roosevelt氏もWiley氏も、かつて存在していなかった消費者保護という局面に尽力し、その実現の一端を担った人物たちでした。
Pure Food and Drugs Actが施行日と同日に、Upton Sinclairの著書「The Jungle(シカゴ精肉業業界の暴露本)」を受けて、Roosevelt氏は連邦食肉検査法(Federal Meat Inspection Act;FMIA)に署名しました。
この法律により検査の権限が農務長官(Secretary of Agriculture)に付与され、不良(adulterated)や不当表示(misbranded)のある肉やその加工品が食用として販売されることを避け、肉やその加工品が衛生管理下で食肉処理、加工されることが定められたのです。
(3)FMIAの規制に従うことはとても簡単そうに思えますが、この法律により米国内の製造施設の現状がどのような状況にあるのか、またそれに対し施設責任者の目が配られていないという驚くような状況が白日の下になったのでした。悲しいことにこうした不適切な状況と人の目を欺むいた行為は、なんと300年間も続けられてきたのです。
・初期の食品及び医薬品に関する規制
初の植民地法: 1646 Massachusetts Bread Law
パン製造業というのは、ニューワールドに生まれた最初の商業でした。ほどなくして不誠実なパン屋は利益率を挙げる目的で、白亜や挽いた豆類といった安価な材料等を使用するようになったのです。本法律では「パン一斤」の価格は1ペニーと規定し、重量に応じて単価が下がる仕組みがとられました。査察官は施設に立ち入り「light(重量の軽いパン)」を押収していたのです。
*(lite(糖質やカロリーなどが低い)は当時存在していませんでした)
こうしたことは、はたして現代にまで何らかの影響を及ぼしているのでしょうか?
私はもちろん影響があると考えています。
(4)2007年中国のペットフードメーカーがタンパク質の代わりに、試験により模造可能な石炭誘導体メラミンを使用していたことが発覚しました。何千匹もの動物が腎不全に苦しみ死んでいきました。さらに酷いことに、2008年には中国の乳児用粉ミルクメーカーにより同様の不正が行われていたのです。確認されただけで少なくとも、乳児6人が死亡し、30万人が健康被害を受ける問題に発展したのでした。
・初の州法: 1785年、マサチューセッツ法Unwholesome Provisions Law
この法律は、特定の製品(パン等)だけでなく、食品全般に適用されるのは州で初めての法律でした。
FDA規則を読み解くのは大変だという皆さんのために、1785年の法律からの抜粋を以下に示します。
「…強欲や不正利得といった動機から悪意を持った者が、公衆衛生や平和を著しく害するような有病、腐敗、伝染、不衛生な食品を販売した場合」
なんてことでしょう!Form483やwarning lettersのことは忘れてください。
この法律の違反者は、「さらしもの」にされました。法を犯した者は数時間公の場にさらされたのです。
・初の連邦法:1789 Act of Laying a Duty on Imported Goods, Wares, and Merchandise
この法律には米国に輸入されている商品の品質管理を支援する目的で品質に関する条項が盛り込まれた収益創出を目的とする法令でした。
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| 過去の食物及び医薬品に関する違反者への処罰 |
現代の食品及び医薬品に関する規制
1900年代初頭、Pure Food and Drugs Actが食物と医薬品の販売のための安全性および有効性に関し、その改善に大きな役割を果たしたものの、米国ではまだその取り組みは始まったばかりでした。法律の網をくぐり、特許権取得医薬品としてではなく「処方薬」として、悪徳業者は広告戦術を変えただけで怪しい薬の販売を継続し、近所の薬局に「あふれて」いる状態でした。
嘘の効能で最も多いのは現在も続いているダイエット製品でした。
(5)1906年の法律では、医薬品に対しその効果や純度の基準を設けるに留まっており、市販前にFDAへの医薬品情報の提出が義務化されていなかったため、健康詐欺が横行していました。
裏付ける医学的根拠のない癌のためのJohnson’s Mild Combination Treatmentのような「特効薬」が販売されることは完全に合法であると言えます。
米国政府対ジョンソン社の裁判で最高裁は、製品の有効性について1906法令の範囲を逸脱しているといった判決が下されました。
(6) ・1912年Sherley Amendment
米国対ジョンソンとの判決結果を受け議会は、Sherley Amendmentを立法化し医薬品の虚偽の効能記載が禁止されました。
Sherleyは、正しい目的への第一歩を踏み出したものの、理想からはかけ離れたものでした。
医薬品のラベリングに誤りやまぎらわしい記載であることの立証責任は政府にあり、その多くが立証困難な事例でした。
雑草のスギナから作られた偽糖尿病薬Banbarで多くの死亡事故が発生したケースでは、この薬品を服用した糖尿病患者の死亡診断書を政府が作成できたという事実や、薬製造業者が元シャツのセールスマンであったという事実にもかかわらず、陪審員が下したのは、医薬品メーカー側にとって有利な判決だったのです!
当然、2,000人以上の申込者の中から1907年に選ばれた最初の食品及び医薬品の検査官28名は、厄介な仕事を抱えることになったのです。
(7)・1914年Harrison Narcotic Act
特許権取得医薬品の乱用で最も悲惨な出来事には、赤ちゃんを泣き止ませるために与えられた「鎮静シロップ」の中毒がありました。当時一般的となった「鎮静剤」には、モルヒネやヘロイン・アヘン・アヘンチンキ(アルコールとアヘンの混成物)といった成分が含有されていたのです。
1906年の法律では内容物である麻薬(narcotics)の名称と用量の表示のみが義務付けられていました。このため、薬剤師が店頭で強力かつ常用性のある麻薬シロップを販売することが可能だったのです。
米国医師会と全国雑誌による反アヘン運動による圧力を受けて、1914年Harrison Narcotic Actが可決され、店頭での薬剤師による麻薬含有シロップの販売が禁止されたのです。
(8)・1938年Food Drug and Cosmetic Act
実際の変化は、S.E. Massengill社からエチレングリコール(不凍液)とトリメチレングリコールの副産物として生成されたジエチレングリコールが添加されていたエリキシール(スルファニルアミド)の製造及び販売に対する人々の抗議によって起こりました。エリキシールによる中毒が発生し、児童を中心に100名以上の患者が不幸にして死亡しました。人々は怒り、その後この溶媒を考案した化学者が自殺しました。
ある悲しみに打ちひしがれた母親が、6才の娘の死についてFranklin D. Roosevelt大統領に宛てて書いた痛ましい手紙の一文です。
「彼女との思いでは…小さい体が震え、小さい声で痛みを訴える姿であり、その思い出には悲しみがいっぱいで、私はとても正気ではいられませんでした。命を奪い、こうした苦しみを死後に残してしまう薬の販売をどうか停止してください… 」
(9)1937年のスルファニルアミドの悲劇が起こったことで、1906年の法律の全般的な見直しの必要性が明らかとなりました。この時、食品・医薬品・化粧品法(別名FD&C法及びFFDCA)が可決され、1938年6月25日にFranklin D. Roosevelt大統領が法案に署名しました。
消費者への販売前に医薬品の安全性を証明することが、初めて製造者に義務付けられたのです。1906年のPure Food and Drug Act が改正され1938年に本法律が成立しました。Sherley Amendmentも廃止され、有毒物質の安全性や耐性、認可された製造施設の査察などが盛り込まれました。
さてその後は? 引き続き、第二部もお楽しみください。
FD&C規制の改正は度々行われていますが、米国の食品及び医薬品の安全性に関する規制で中核となる法律は他にも存在します。第二部では関連する出来事も含めFD&C規制の重要な改正内容をご紹介いたします。
第二部には面白いクイズもあるのでFDAに関するあなたの知識を試してみてください。
歴史を語るのはやっぱり楽しいですね!
MasterControl社 品質部門マネージャーのLillian Erickson女史からの多大なるご協力いただきましたことに、心より感謝申し上げます。
著者のご紹介
Lisa Weeks
MasterControl社マーケティングコミュニケーションスペシャリスト。テクノロジーやライフサイエンスや規制に関連する業務など、広範囲のテーマで執筆活動を行っている。
McNeil Pharmaceuticals、SAP AG、SCA Mölnlycke、Crozer-Keystone Health Systems、 NovaCare Rehabilitation/Select Medなどの企業のマーケティング及び広告に関する業務を20年間行ってきた経験を有する。Medical Product Manufacturing NEWS (MPMN)、Medtech Pulse、Risk Insights, MD+DI、Pharmaceutical Processing、Genetic Engineering & Biotechnology News (GEN)、PharmaTechなど多くの業界紙においてそのスキルが発揮されている。
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投稿者
Y. Uchino
2017年3月7日火曜日
FDAが21世紀に果たすべき役割
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| 現在の医療市場は、1906年FDA設立時から大きく変わっています。 |
Executive Director, Rothman Institute of Innovation & Entrepreneurship
現在の医療市場は、FDA法の基本的事項が可決された頃のものから大きく変わっています。
テクノロジーは著しい発展を遂げ、患者の新薬・医療機器に対する要求は益々高まっているにも関わらず、FDAは医薬品承認のために法的に定められる安全性や有効性の基準から大幅に反れてしまいました。
現在、FDAは販売承認の要件として生存率や疾病の転帰を含む臨床的有用性の立証を求められることが多くあります。しかし、臨床的有用性における決定的証拠となるデータを得るのは、たとえラベルに安全性や有効性が明確に記載される医薬品であっても定義しにくいものとなります。このような理由により安全かつ有効な医薬品の承認を阻むことよりも、医師や患者が転帰重視の意思決定ができるようになることが必要なのです。
そして、医療市場を通じて医師が実世界において高い臨床的有用性をで安全かつ有効な医薬品の導入を促進していくことです。
本調査では、新しい医薬品に対するFDAの現行のポリシーについて評価を行い、FDAが医薬品・医療機器の安全性及び有効性の監視役としての役割に戻るべきであると結論付けています。
公衆衛生に関するFDAの責務が議会の意図していないやり方で行われているため、健康に関する民間の判断にFDAは深く介入するようになってしまっています。医薬品の最善の使用法を決定できる環境に医師や患者が身を置けるよう促し、市場に置かれた医薬品の安全性及び有効性の確保に徹底するのではなく、FDAはベネフィットとリスクに関し医師や患者がどのような判断を下すのかという結果をコントロールすることへの関心を高めてしまっているのです。
新しい医療の市場では、安全性や有効性に関しFDAに再び焦点を当て、医薬品のベネフィット及びリスクの評価や判断はその使用経験に基づいて、患者や医師が行うことが可能であるべきだと考えます。
著者のご紹介
Dr. Joseph Gulfo
Dr. Joseph Gulfo
Fairleigh Dickinson 大学でRothman Institute of Innovation & Entrepreneurshipのエグゼクティブディレクターを務め、患者の立場に立った改革をイニシアティブする手法(Initiative for Patient Centered Innovation) を確立。バイオ医薬品及び医療機器業界で25年の経験を有する。2012年には、最優秀ビジネス大賞American Business Awardsを受賞し、Ernst & Young Entrepreneurとして最終選考に残る。大学院にて癌生物学の教鞭をとる。過去にはMELA Sciencesで社長兼CEOを務め(2004-2013)、取締役会長(2011-2013)でもあった。近年では、Homeland Security and Government Affairs Committeeで"Connecting Patients to New and Potential Life Saving Treatments”に関して証言を行い、同氏の取り組みはWall Street Journal、Forbes、CNBC、US News & World Report、その他の国内の出版物でも取り上げられている。The Hillへ定期的に寄稿。
最新の出版物には、2016年9月13日出版予定の同氏の最新本「Care Quotient: Transforming Business Through People」は、予約注文が可能である。
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投稿者
Y. Uchino
2017年1月16日月曜日
パフォーマンス エクセレンスを利用して品質を強化
Mickey Garcia
Segment Manager, Medical Devices, MasterControl Inc.
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| 重要なのは「業務の品質」ですか、それとも「品質に係る業務」ですか? |
品質とマネジメントの分野は、1950年代にW. Edwards Deming氏が先駆者として活躍して以降、著しい進化を遂げました。その後、トータルクオリティーマネジメント(TQM)やシックスシグマ、最近では「リーン○○方式(Lean)」など、各時代のベストプラクティスとして、意匠を凝らした名称が付けられた手法が誕生し続けました。このように、既に様々な手法が存在している中で誕生したのが「パフォーマンス エクセレンス(Performance Excellence)」ですが、単なる新しい業界用語の一つと見てしまう方も多いと思います。
しかし、手法として効果的な事例も現れてきており、「品質に係る業務」の先を見据えて、「業務の品質」を注視すべきというMikel Harry博士の考え方に関心が集まってきています。
しかし、手法として効果的な事例も現れてきており、「品質に係る業務」の先を見据えて、「業務の品質」を注視すべきというMikel Harry博士の考え方に関心が集まってきています。
なぜ「パフォーマンス」なのか?
最初に、従来の「品質」を意味する言葉として、なぜ、「パフォーマンス」という用語を使うのかという理由について考えてみましょう。一般的に「品質」と言えば、「製品の品質」であると考える方が多く、出荷した製品の品質であれば、その認識で正しいでしょう。しかし、企業活動における品質について言及する場合は、「品質」という用語だけでは、その意味の一部を伝えられたとしても、企業活動における品質全てとしては伝わらない可能性があります。
この場合、「品質」の代わりに「パフォーマンス」という用語を使用することで、最終製品に関する「品質」に限定せず、バリュー・チェーンにおける様々な企業活動の「パフォーマンス」を意味することが可能となります。
この場合、「品質」の代わりに「パフォーマンス」という用語を使用することで、最終製品に関する「品質」に限定せず、バリュー・チェーンにおける様々な企業活動の「パフォーマンス」を意味することが可能となります。
「パフォーマンス」という用語を使用するもう一つの理由として、一般的に「品質」という用語は、品質管理や品質保証部門が管理するシステムやプロセスを意味している点があります。
規制要件でも、「品質業務とは組織内で別個かつ独立した業務であるべき」と義務づけている為、こうした意味合いが強いのです。しかし、現代の企業運営において品質を企業活動に組み入れることは、全ての部門で全社員の責任で行われるべきとされています。幸いなことに、「業績(Business Performance)」は、品質管理や品質保証部門のみの責務とはなっていません。最終的な確認は品質管理や品質保証部門で行うとしても、それは組織全体の責務であると考えられています。
規制要件でも、「品質業務とは組織内で別個かつ独立した業務であるべき」と義務づけている為、こうした意味合いが強いのです。しかし、現代の企業運営において品質を企業活動に組み入れることは、全ての部門で全社員の責任で行われるべきとされています。幸いなことに、「業績(Business Performance)」は、品質管理や品質保証部門のみの責務とはなっていません。最終的な確認は品質管理や品質保証部門で行うとしても、それは組織全体の責務であると考えられています。
本記事に関連するホワイトペーパー
また、品質と業績は敵対関係にあるという考えを持つ方も多いです。
「より優れた品質を常に確保すべきか?」という質問には、模範解答としては当然、「Yes!」となるでしょう。しかし、良く熟考して回答してみると、答えは「No」となるはずです。私たちが住む世界に存在するリソースは限られていて、その限りあるリソースを使用して最高の品質を確保する方法を考える必要があります。規制当局も、品質向上を実現する手法として、「リスクベースアプローチ」を推進しています。これは、品質向上やリスク低減活動に対して限られたリソースを割り当て、投資に見合った価値を生むことを推進しているのです。
「より優れた品質を常に確保すべきか?」という質問には、模範解答としては当然、「Yes!」となるでしょう。しかし、良く熟考して回答してみると、答えは「No」となるはずです。私たちが住む世界に存在するリソースは限られていて、その限りあるリソースを使用して最高の品質を確保する方法を考える必要があります。規制当局も、品質向上を実現する手法として、「リスクベースアプローチ」を推進しています。これは、品質向上やリスク低減活動に対して限られたリソースを割り当て、投資に見合った価値を生むことを推進しているのです。
パフォーマンス エクセレンスは、「優れた品質」に限定せず、より広義的な「成果」に言及しているのが特長です。この手法で考えている最悪のケースとは、限られたリソースを使って品質を最大限に高め、優れた成果を得ることです。一方で、最高のケースとは、Philip Crosby氏が述べるように、企業活動のスピードと対応を加速させ、「様々な不適合にかかる支出」を削減するといった、品質改善を活かしながら優れた成果に導くという形です。
なぜ「エクセレンス」なのか?
では、品質について語る場合に、なぜエクセレンスという用語を好んで用いているのでしょう。この質問に答える前に、まず、「品質とは何か」ということを考えてみましょう。
品質マネジメントシステムが企業に導入され始めた頃、「品質」とは設計仕様に準拠することであると定義されていました。現在においても、この定義は製造部門の運用における「品質」を示すものであり、また多くのケースにおいて、製品仕様は顧客要求事項の要約として考えることができます。製品仕様とは対象が限定されたものですので、この解釈の中では、「完璧な品質」を実現することも可能となります。
ただ、「品質」という言葉の定義は常に変化しており、現代では、「顧客要求事項への適合」という考え方が重視されています。この定義に沿った場合、「完璧な品質」を実現することは、非常に難しいことであるという現実に直面します。顧客からの要望とは、性質上、常に増え続けるものであり、仕様として定義しようにも無限大なのです。例えば、栓抜きのような単純な製品でさえも、価格や耐久性、利便性、携帯性などの改善が常に求められます。そのような性質を踏まえると、品質マネジメントシステムが目指すべきゴールとは、「許容できる品質」と捉えることができます。つまり、「完璧な品質」といった理想は実現できない為、許容範囲を予め定義し、それを基準に判断することになります。ただ、この「許容できる品質」も、「分散の管理」と「継続的改善」という現代の品質に欠かせない2つの要素が無視されており、直感的には間違っているように思えます。
タグチメソッドやシックスシグマから学んだように、「許容できる品質」に収まるだけでは不十分で、品質が限りなく完璧に近づくよう積極的に努力する必要があります。従って、品質という言葉は、単に「許容できる品質」に留まらず、より高いレベルを探求するという意味を包含していることが多いのです。
また、「許容できる品質」と「継続的改善」は、お互いが対立する立場にある概念です。「継続的改善」とは、その言葉が示す通り、終わりのない考え方です。それは終わりのない旅のようなもので、絶えず新しいことにチャレンジする必要があります。つまり、今日はその品質で許容されたとしても、明日は許容されないかもしれないのです。
この2つの概念を踏まえると、現代における「品質」のゴールとは、「完璧な品質」でも、「許容できる品質」でもなく、それは、「高い品質」でありながら、目標に辿り着けず中途半端な位置づけに存在しているものなのです。このような状況がある為、単に「品質」という言葉を用いるのではなく「エクセレンス」という用語が適していると考えられる理由となります。実際、ウェブスター辞典では、エクセレンスを「非常に優れた品質」と定義しています。つまり、品質マネジメントシステムの目的が「高い品質」であると強調したい場合には、エクセレンスという用語を使用する方が使いやすいのです。
パフォーマンス エクセレンスという用語は、単に製品の仕様を満たすというレベルから、「バリュー・チェーン全体を通じて大きな成果を生み出し、顧客の期待に応える」という考え方にシフトする上で、非常に重要な概念となります。なぜなら、それは「品質に係る業務」から「業務の品質」へ注目すべきポイントへシフトしているからです。
パフォーマンス エクセレンスは新しく誕生した用語のようにみられますが、実際は、そうでもありません。例えば、1951年初版の「Juran’s Quality Handbook」の現在の副題は、「The Complete Guide to Performance Excellence」です。また、優れた品質に与えられる「Malcolm Baldridge National Quality Award」は、「Achievements in Performance Excellence(パフォーマンス エクセレンスにおける著しい業績)」に対して授与されるものと紹介されています。今こそ、パフォーマンス エクセレンスという用語の概念を、より明確に打ち出していく時期なのではないかと私は思います。
著者のご紹介
Mickey Garciaは、University of Floridaにてメディカルエンジニアリング学士号、Stanford UniversityにてMBAを取得後、Johnson & Johnson社で製造部門オペレーション及びシステムエンジニアとしてキャリアをスタートし、自動化生産システムの設計やバリデーションの責任者として活躍、また、シックスシグマブラックベルト品質改善プロジェクトも主導しました。その後、ライフサイエンス分野のソフトウェア企業において、QMSやECM、MES、 PLMなどの製品戦略もリーダーとして主導しました。2014年からマスターコントロールに入社し、現在は、Product Managerとして、医療機器業界向けソリューションの戦略立案や企画を担当しています。
本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。
2016年11月7日月曜日
教育の有効性 ~QbD(Quality by Design)アプローチ~
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| 様々な教育が社内では展開されていますが、 その有効性はどのように検証していますか? |
HDS Consulting
コンサルタントという立場だと、クライアント全体で何が効果的に機能しているのか、共通の問題点とは何かを把握できるという利点があります。そのため、事例のガイダンスや共有する問題を回避するための実践的アドバイスの提供を目的として、プロジェクトにご一緒させて頂く機会が多くあります。
最近の例として、「教育の有効性を検証するための最善の方法とは何ですか?」といった質問をクライアントから受けました。「教育の有効性をどのように定義していますか?」と、コンサルタント的には定番の返事を返したところ、「はっきりとは分からないのですが、さまざまな監査で指摘されます」との回答がありました。
教育の有効性とは何か?
では、教育の意味を掘り下げて、定義するところから始めてみましょう。「効果的な教育」というと、担当者が教育で新たなスキルや知識を学んで、業務などを改善・向上することが頭に浮かびます。
基本的には、教育の有効性とは、教育を実施した結果、組織内における担当者の知識やスキル、行動パターンがどの程度、改善されたかで図ります。
簡単に言えば、教育の目的が実際に達成されているかということです。教育で予定された内容をすべて習得できているか?参加した担当者は、教育で学んだことを翌日の業務から活かすことができているか?ということなのです。
特に、GMP規制を受ける環境下では、教育の有効性が頻繁に取り上げられています。しかし、曖昧な部分が多いともいえます。いわゆる、教育の有効性が何であるか、どのように導入すればいいのか、有効な教育というものに対し規制当局は何を求めているかといった内容を、誰もが明確に理解できずにいるのです。規制の内容を見ても(後述する規制をご参照ください)非常に漠然としています。内容を要約すると、「組織は教育の有効性を定期的に評価するプログラムを持つこと」といった内容が述べられており、解釈する上でかなり曖昧な部分があります。この点に加えて、概念の実践に関しては、限られた実用的情報しかない点、また監査で指摘されたが内容は不明確であるといった現状を加味して、考えていきましょう。
本記事に関連するホワイトペーパー
教育の有効性についての認識
規制要件の観点からみた傾向
規制当局による教育の有効性への注目度は高くなっています。しかしながら、FDAが教育の有効性について指摘することは、組織の再教育(所見の結果やCAPA関連の場合が通常)が機能していないと再三に渡って実証される場合を除き、ほとんどありません。以下に示すサイクルについては、ご存じだと思います。
1. 監査の所見で、根本原因は人為的要因によると指摘を受ける。
2. 該当人員の再教育を実施する。
3. 逸脱が再発する。
4. 根本原因は人為的要因によると特定される。
5. 再教育を再び実施する。
6. そしてまた逸脱が再発というサイクルが繰り返される。
このような場合の典型として、根本原因の適切な分析が行われていないことが推測できますが、これは別のトピックとしましょう。
最近、元FDA担当者に、「製薬企業が有効な教育を行っているというデータの根拠や証言を示す資料として何を求め、何を以って適合との判断を下しているのでしょうか」といった質問をしてみました。その回答は、「根本原因である人為的要因の発生率が少しずつ低減され、安定していることです」というものでした。つまりこれは、査察で焦点になるのは、結果がベースになっており、教育関連の頑健なプロセスが構築されているかではないということです。
品質上の観点からみた傾向
ISO9000の旧バージョンでは、当初、教育ニーズの特定、教育の実施、記録の保管(適格性の一部として)に焦点が当てられていました。しかしながら、最新版では、力量及び教育の有効性に関する文言が追加されています。「6.2.2 力量、教育・訓練及び認識」では次のような記述があります。
組織は、次の事項を実施しなければならない:
- 製品要求事項への適合に影響がある仕事に従事する要員に必要な力量を明確にする。
- 該当する場合には、その必要な力量に到達することができるように教育・訓練を行うか、又は他の処置をとる。
- 実施した処置の有効性を評価する。
この文言は、規制当局と同様、ISO9000で注目すべき対象は、プロセスから成果へと移行していることを示唆しています。
過程から成果への移行
適切な担当者を対象に、妥当性のある教育が実行されていると示すプロセスや、文書化が整備されていることなどを証明するだけでは通用しません。こうした基本的な要件に翻弄されている企業も多いことかと思います。自身の業務や役割とは無関係な作業手順書(SOP)を読まなければならない状況に陥っている担当者に聞けば、きっとこの意見に賛同することでしょう。つまり、実施した教育に対する「有効性を定期的に評価」することが求められているのです。しかし、これは具体的には何を意味しているのでしょうか?
こうした規制上の要求事項をどのように解釈したらいいのか、役立つガイダンスがあれば良いのですが、残念ながら何もありません。定着しているカークパトリックの評価法を用いて、教育の有効性を測定することは可能です。カークパトリックの評価方法は優れたモデルですが、プロセスだけでなく成果においても整合性を確保することが求められる環境にどれだけ当てはまるでしょうか。施設レベル及び大規模な組織全体で教育を見渡し、「確かに整合性を確保しつつ、高い品質の教育を運用し、その結果として技能と適格性を有する人員を確保し、結果的に事業に対してより品質の高い成果(臨床データ、患者の安全性、医薬品など)を生み出しています」と言えるためにはどうすべきなのでしょうか?
何から手をつけたらいいかわからない方のために、教育の有効性評価へ簡単に適用できる方法をご紹介したいと思います。
教育の有効性への2段階アプローチ
教育の有効性の確保
組織は、教育の設計、開発、提供方法の最善策・事例における重点実施項目から教育の有効性を確保することが可能です。これはまさにQuality by Designアプローチであり、担当者が教育に参加するより前のタイミングで発生します。
- 方法は?
成人対象の学習や教育の設計、開発、提供におけるベストプラクティスを標準の教育方法論に組み込むことで、組織は「適切なタイミングで適切な人員に対し、適切な指導者による適切な教育を実施し、その結果として適切な成果を挙げる」といった目標を達成することが可能となります。
- どのようなもの?
Quality by Designアプローチの例を以下に示します。
*注:これはすべての教育プロセスの総合的な知見を示すものではありません。
教育の有効性の評価
組織は、教育完了後、教育の定期的なレビューを通じて、その有効性を評価することができます。
- 方法は?
定期的な評価は、個々の施設レベルで実施されることが多いのですが、複数の施設を有する大規模なグローバル組織を見越した密接な連携のもとで実施することもできます。教育の有効性の評価は、担当者が教育に参加した後に実施し、特定の定期的レビューに位置付けることができます。
- どのようなもの?
- 選ばれた教育に対し監査を実施
- レビュー結果を文書に記録
- 教育の有効性確保のための継続的改善
重要事項:最低限実施しなければならない評価の定義
定期的レビューの実施前に、特に組織の拠点が複数の場合には、必要最低限実施すべき評価項目を明確にしましょう。 例として、教育の有効性を評価する施設/場所/組織が、最低限採用している評価方法を以下に示します。
個人的には、このように必要最低限の評価を用いることで、教育の有効性の是非を実感できると思っていますが、より多くのデータを示すための評価方法は他にもあります(フォローアップ評価、担当者の技能証明、年1回行う達成度(パフォーマンス)の評価など)。注意点としては、やりすぎないということです。
選ばれた教育に対し監査を実施
評価法を定め定期的レビューを行う準備が整ったら、どの教育を評価すべきでしょうか。私は、監査のアプローチを推奨しています。監査のアプローチでは、定期的レビューの際に、多大な労力を費やすことなく教育の有効性について、極めて正確な判断をすることができるからです。定期的レビューで実施例を挙げてみましょう。
1. 有効性の評価に合理的と思われる教育のパーセンテージまたは最小値を決定します。教育は、各種を織り交ぜるよう(最低ハイリスクやハイインパクトトピック向けの講師主導型の教育を1つと自修型教育を1つ等)にしてください。脚注:* Read and Understand (AKA Read & Sign) “Training” is not considered a self-study.
2. 最低限の評価にて教育の有効性を評価する。「担当者の評価完了」に関する2番目の測定に移りましょう。アプローチの例は次の通りです。
1. 有効性の評価に合理的と思われる教育のパーセンテージまたは最小値を決定します。教育は、各種を織り交ぜるよう(最低ハイリスクやハイインパクトトピック向けの講師主導型の教育を1つと自修型教育を1つ等)にしてください。脚注:* Read and Understand (AKA Read & Sign) “Training” is not considered a self-study.
2. 最低限の評価にて教育の有効性を評価する。「担当者の評価完了」に関する2番目の測定に移りましょう。アプローチの例は次の通りです。
- 選択された教育別に全セッションを通じた参加者総数の25%(あるいは、各組織で適切な割合)に対し評価スコアを抽出する。
- 評価スコアをチェックする。
- 次の考察を行う
- チェックした担当者評価スコアの内、目標達成率について、達成期待値未満である割合は?この場合、組織のスコアから不適合状態であると考えられます。
- 25%以上か
- 特定の教育で不適合評価の割合が25%以上であれば、その理由を特定します。
- 根本原因分析を行い、施設内でどのように、誰が、いつまでに修正するかについて文書に記録します。
必ずしもこの手順に従って評価する必要はありません。1つの例ですが、この例では、教育の有効性の評価が、部分的ですが見えるようになります。次のステップでは、監査や教育の結果、その後のアクションを文書に記録し、これらを用いて継続的改善プロセスへ反映します。
成熟した教育管理が有効性には必要
現実的に、教育の有効性には教育管理の成熟度が考慮されます。「教育の有効性を確実にする」という記載で、標準的な教育の方法があると言ったことを覚えているでしょうか?方法は、完全なものである必要はありませんし、フレキシブルであって良いのですが、一貫性と基準の採用が要求されます(例、維持に関する基準 – 担当者に期待する読み込み、理解する手順書の数の制限、教育時間の制限)。組織は、教育プロセスの完成度を十分に高める必要があります。最善の方法に繋がるような完成度の高い教育機能が欠けているにも関わらず、なぜ、教育の定期評価の構築に多大な労力を費すのでしょうか?そこからは常に同じ結果、つまり非効果的な教育が導かれるしかないのです。
【結論】
事前に十分な時間を費やし、教育の設計、開発及び提供を行ってください。これにより担当者は成果を挙げてくるはずです。教育の有効性を最も良く示す方法として、逸脱の減少になります。
教育の有効性を確保するうえで、成果に基づいたアプローチが欠けていては、担当者の業務レベルは向上・改善されず、品質もまた同じ道筋を辿ることになるでしょう。
法規制に関する参照- GMP
オーストラリア
Therapeutic Good Administration (TGA) - Australian code of good manufacturing practice for human blood and blood components, human tissues and human cellular therapy products Section 208.
「継続的教育を行うこと。 実践的有効性を定期的に評価すること。」https://www.tga.gov.au/book/personnel-and-training
European Union
The Rules Governing Medicinal Products in the European Union
Volume 4 – EU Guidelines for Good Manufacturing Practice for Medicinal Products for Human and Veterinary Use, Chapter 2: Personnel
Section 2.11 Training
“GMPの理論及び実践に関する基本訓練以外に、新規雇用人員は彼らに割り当てられた職責に対し適切な訓練を受けること。継続的教育を実施しその実践的有効性を定期的に評価すること。教育プログラムが準備されており適宜製造部門の長または品質管理部門の長のいずれか一方が承認していること。訓練記録は保存しなければならない。」
European Medicines Agency – EMA(欧州医薬品庁)
COMMISSION DIRECTIVE 2003/94/EC, Article 7
Personnel
「人員は、特に品質保証及びGCPについて必要な場合は、治験中の医薬品の製造のための特定の要求事項に関し、その概念及び適用について、導入時または実施中教育を受けること、そして教育の有効性について検証すること。」
Health Canada(カナダ保健省)- GMP
C.02.06 Personnel
1. 「継続して行われる教育の有効性を定期的に評価すること。」
World Health Organization(世界保健機関)(WHO)
WHO – Annex 2 - WHO good manufacturing practices for pharmaceutical products: main principles
Section 10: Training
“10.2 GMPの理論および実践に関する基本訓練以外に新規雇用人員は割り当てられた職責に対し適切な訓練を受けること。継続的に訓練も実施し、実効性は定期的に評価されること。承認された教育プログラムが準備されていること。”
Holly Deiaco-Smithは、企業診断に関するコンサルティングを20年に渡って従事してきた経験により、クライアントの皆様がさらなる成功を実現させるために、改善の支援を行っています。Big 4でAccenture及びIBMグローバルサービスのコンサルティングを経験し、最善方法論、最先端の実践手法、クライアントコンサルティング業務に関する基礎を築きました。Holly女史は、教育的技術でMSを取得、Six Sigmaに精通し、 Myers-Briggs Type Indicators Steps I & II.の管理及び解釈の認定を受けています。
戦略的な計画、工程改善など、主に、最先端の実践手法、組織改革、大人を対象にした学習の設計・開発と行動変化管理などの経験を有しています。企業にとって、優秀な人材開発の必要性が必須となっている現在、クライアントの学習戦略における定義や改善の支援を行っています。
クライアントと共に共同で考えるユニークな手法と管理改善への注目度の高さによって、秀逸なサービスと結果を提供しています。お問い合わせは、610-871-2316 またはhjdeiaco-smith@hdsconsulting.comをご利用ください。HPアドレスwww.hdsconsulting.com
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2016年2月9日火曜日
FDA査察における3つのポイント『準備、管理、フォローアップ』
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| 適切な準備を査察に対して行うことで、実際の査察も スムーズに受けることができます。 模擬査察を活用して適切な準備を行いましょう。 |
Atlantic Validation
FDAの査察を無事に終えることは、cGMPへの順守及び事業の成功において極めて重大です。堅牢な品質システムを運用・維持することは、FDA査察を突破する上で欠かせないポイントの1つですが、それが全てではありません。査察に対する準備及びマネジメントも同様に重要です。適切なマネジネント戦略があれば、コンプライアンス違反に対する指摘を受けるリスクを軽減することもできます。ここでは、査察官に対する知識、実際の査察準備及び管理方法、査察の終了時に必要なフォローアップ、ならびに、実際の現場から得た教訓についてお話したいと思います。
査察官に対する知識
査察官の一番の懸念は患者の安全性であるため、その点に関しては十分な根拠とデータをもって説明する必要があります。労力のかかる作業ですが、決定意思を得るためには多くのデータを用意しておくことが重要となります。2011年のプロセスバリデーションガイダンス(Process Validation Guidance)及びICH Q9に従って、より科学的な裏付けが重要視され、査察官は科学的意義の追及によりオープンな姿勢を示すようになりました。ただし、査察官は決して悪意があるわけではなく、彼らはプロの懐疑論者であり、事業場においてあらゆる危険性や有害性の特定を含む全てのチェック項目が、データに基づいた強い根拠によって裏付けされ、それが支持されることを期待しています。
正しい決定が下されているとの結論に査察官が至るよう説得力のある方法でデータを提示することが、品質保証管理者及び内容領域専門家(SME, subject matter expert)の責務となります。査察官に対し反対の意見を述べることが可能である点にも注意することが重要です。もちろん、常に礼儀正しく接し、好戦的な態度は回避すべきです。基本的には、製造プロセスが十分に理解されていること、また品質管理システムがどうのように設計されているか、そしてこの2つがどのように連携してコンプライアントシステムを構築しているかについての説得が必要となります。
本記事に関連するホワイトペーパー
さらに、進行中の品質システムの改善策を示すことも、cGMPコンプライアンスの維持に取り組んでいることを印象付けることができるでしょう。品質システムの改善の例としては、定期的な品質マネジメントレビュー(QMR)、CAPAの記録や継続的改善プロジェクトを通じて示すことができるのではないでしょうか。
査察官は、限られた時間の中で査察を完了しなければなりません。査察官が無駄な時間を費やすことはかえって悪印象です。
最低限の時間で限りなく査察を進めやすいよう努めましょう。
査察準備
査察準備は、企業の財源に匹敵する価値があります。査察を受ける際の準備を事前に行っておくことで、安心して査察当日を迎えられることができるでしょう。最初に行うべきことは、「査察の管理」SOPの作成です。SOPには、FDAの施設訪問時の対応担当者を明記します。まず、施設の品質部門長、業務責任者及びその代理に通知します。ここで、査察官が施設を訪問する旨を、関係従業員全体に知らせる方法についても説明します。SOPに対するトレーニングは全従業員を対象に行い、トレーニング実施に関する記録を文書で残します。尚、受付係や警備員なども、査察官と最初に接することからトレーニングの対象と考えられます。SOPでは、以下のトピックを取り上げてください。
- 情報に対するFDAのリクエストした記録方法についての説明
- 査察官から写真やビデオの提示がリクエストされた場合の対処方法
- SOPで写真やビデオ撮影の禁止が規定されている場合でも、FDAの査察官には撮影の権利があります。
- Operations2014年のInvestigations Operations Manual(IOM;査察実施マニュアル)のセクション5.3参照
- 企業の品質管理手順に反するFDAリクエストへの対応方法についての説明
- 作業中のクリーンルームへの入場が制限されている場合などでも、査察官を案内する必要があること
- 就業時間に関する記載。
十分な計画を立てることが重要であり、これにより査察の管理における労力が軽減します。
そのためには、どの会議室を査察官に割り当て、どの会議室を監査のサポートルーム(別名「War room(戦略的な決定をする部屋)」)として使用するかを事前に決定しておくことも重要です。これらの2つの部屋は近すぎてもいけません。War roomは使用中、特にSMEが査察官のリクエストに対する戦略を練っている場合には、雑踏と喧騒の渦中に置かれます。従って、査察官の控室として使用する会議室は、人の行き来の多いエリアから離れた場所が適しています。また、できれば製造現場やQC臨床検査にも近すぎない場所が望ましいです。
計画過程の一部として、誰がSMEを務めるのか、また治験実験計画書や逸脱の提示に関する担当者は誰なのかをあらかじめ決定しておきます。SOP(標準作業手続き)、逸脱、トレンド報告やバリデーション(検証)の正当性を主張する練習の機会を設けることで、誰が査察官訪問時の対応に適しているかを判断する良い機会となります。さらに重要なこととして、模擬査察を実施することで、品質管理責任者が査察時対応すべきではない人物を認識できる機会でもあります。規制当局からの査察官への資料の提示には、ある意味スキルを要します。誰でも、このスキルがあるというわけではありません。人によっては神経質になり過ぎたり、問題について語り過ぎる場合があります。そのためSMEとのテストを実施することは、査察を無事完了する目的において重要な要素となるのです。
資料を提示する者が、資料の内容について知識と自信を持っていることだけでなく、建物の内部も外部も査察の準備が整っていることが大切です。
不動産用語の「curb appeal(外見上の魅力)」という言葉を思い浮かべてください。施設の屋外にメンテナンスが行き届いている様子が窺える場合、その中で行われている作業も同様に良好な状態であるということを裏付けてくれるものです。
施設の外見上の魅力と共通のコンセプトに、文書の系統化や視覚的表現があります。これは、cGMPの文書管理が実施され、遵守されているという良いイメージを査察官に植え付けるうえでとても重要です。プロトコール(治験実施計画書)及びレポートの系統化に、目次やビジネスプランの要点をまとめた事業計画書(エクゼクティブサマリ)を用いるのも良好な方法です。これらの文書は非常に厚い場合がありますが、査察官は限られた時間で多くの資料をチェックしなければならないため、サマリがよく検討され、まとまっている場合にはそれだけがレビューの対象となる場合があります。裏付け文書をすべて揃えたパッケージを準備しておくと、フォローアップの際に裏付け文書の提示を求められることを避けることができます。レポートで逸脱やCAPAといった文書が参照される場合、そのような記録のレビューも可能なように準備しておきます。査察における精密な調査に耐え得る補足文書パッケージの例を下記に示します。
- サマリーレポート
- 署名済みのプロトコール
- 逸脱及び不一致に関する記録
- 裏付け付属書類
これを瞬時にこなすことは非常に難しいことですが、演習により、よりスムーズにこなせるようになります。
実際の査察の管理
まず、査察官に証明書の提示を要求し、実施される査察内容を確認します。施設の品質部門長、業務責任者及びその代役に、査察官の訪問を直ちに通知します。
監査開始会議(オープニングミーティング)では、実施される査察の種類に関する情報を得ることが重要です。原因を追求するための追加査察(for-cause inspection)ではルーティンに実施されるサーベイランス査察とはアプローチが異なるため、どのタイプの査察が実施されるのかを把握することが重要となります。証明書が提示されたら、所定の会議室に査察官を案内します。査察が進行中である旨を施設全体に通知します。査察準備チームは、所定の待機室準備計画を自動的に実行します。プリンタ、コンピュータ、電話、査察リクエストログ、幹事役及び書記が、査察のサポートには必要となります。
最初のプレゼンテーションを行うことも可能ですが、簡単に済ませます。組織図、人数、就業時間と施設のレイアウト図を見せ、施設見学にも案内します。通常1日目までにここまでを行います。清掃が見学に先立ってきちんと実施されていることを確認してください。開いているダンボール箱や通常のゴミやほこりを取り除いておくことで、清掃手順についての質問は回避できるでしょう。見学の前に、査察官に施設案内図のコピーを渡しておきます。人と設備の流れについて明確に示しておきます。
見学の際に、査察官は設備の番号と人員の名前に注目します。見学が完了すると、この情報をもとにメンテナンス、較正及びトレーニングの記録がリクエストされます。資料提示に関するリクエストはすべて記録し、監査サポートルームに伝えます。査察官にはリクエストされた資料の送付に関し現実的なタイムフレーム(物事を行うための必要な時間)を伝えてください。
監査フォローアップ
資料の提示を繰り返し求めなくてはならないような場合には、査察官も気分の良いものではありません。非常に合理的な所要時間の提示が想定される為、各リクエストの内容をきちんと理解していることを確認してください。質問または資料提示に関するリクエストの内容についての不明点は、査察官に遠慮なく質問してみてください。査察テクニックの1つとして、どんな情報が提供されるかを確認するために、故意に漠然とさせることがあります。質問には常に誠実に回答してください。誤った説示または不正行為は、意図的かにかかわらず、確実に悪影響を及ぼすものです。明るみになった場合の査察官の反応を考慮してみてください。
一日一日終了時に、その日のオブザベーション(指摘)についての簡単な報告を査察官に求めてみてください。また、この時間から翌日の査察の方向性を知ることができます。それによってスタッフは就業時間後に翌日必要となる資料を準備することができます。文書が準備され、いつでも提示できる状態にあることで、査察はよりスムーズになります。
査察官の技術
査察中、追加情報を得るため査察官が用いるテクニックがいくつかにあります。1つには先に述べた、意図的な曖昧さを用いるテクニックがあります。この場合、リクエストの内容を明確化するための質問をし、正確に理解できているか確認します。
もう一つの査察テクニックは、長時間にわたる沈黙です。人は、沈黙を埋めるために発言が増える傾向があります。質問への回答が終了したら、次の質問が尋ねられるまで、安心して静かに座っていて大丈夫です。査察官が妥当性を審理するためにデータまたは結論についての質問が尋ねられる可能性がある点に注意することが重要です。この一連の質問は、そのままアプローチに対する異論を意味するものでも、裏付けデータに基づいてなされた決定事項を擁護するものでもありません。
短時間にかなりの情報量がリクエストされるという事態も起こりうるのです。このテクニックの目的は、資料がどれくらい簡単に検索可能かについて確認することであり、実際にすべての文書業務をチェックすることではありません。合理的な所用時間も提示します。
監査のフォローアップ
品質管理責任者の目的は、査察からのオブザベーション(指摘)をゼロにすることです。そして、もしオブザベーションが発見された場合には、指摘事項(finding)すべてに回答することです。コミットメントはすべて徹底的に検討し、タイムリーに実施可能かを確認します。規制当局に提出されたコミットメントに対する逸脱は、タイムリーにその正当性を示し、伝達する必要があります。計画に変更がつきものであることは規制当局側も理解していますので、必ず計画を伝達するようにしましょう。
最後に
有効な査察の準備計画を策定し、実行することは、より良好な結果を導くとともに、査察における労力も軽減します。事前に計画することによって、文書の提出期間を短縮することができ、SMEのプレゼンテーションスキルも向上し、査察官が抱く品質システムに対する信頼感も増します。
著者のご紹介
Kelly Thomasは、医薬、生物工学及び医療機器業界に18年の経験を有し、cGMP事業に影響を及ぼすすべての品質保証活動及び品質管理活動の策定、実行、管理を専門領域としています。コンプライアンスストラテジー(法令遵守計画)が企業の戦略的ミッション、顧客満足度及び規制要求事項と整合する品質システムの開発及び実施もその一部に含まれます。
Thomas氏は、East Carolina Universityで生物学を専攻し修士号を取得、その後Meredith CollegeのMBAを取得しています。またAmerican Society for Quality (ASQ-米国品質協会)から複数の認定資格も取得しています。
本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。
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投稿者
Y. Uchino
2015年4月16日木曜日
FDA査察 vs EU査察:類似点と相違点
Marie E. Dorat, CQA, CAA
IPRF, LLC
RA/QA Consulting & International Product Registration
【EU-FDA共同イニシアチブ】
米国食品医薬局(FDA)と欧州医薬品庁(EMA)によるGCP(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)イニシアチブは、2009年9月に査察共同イニシアチブをスタートさせました。この査察プログラムは、米国及び欧州連合(EU)の治験実施施設、治験依頼者及び医薬品開発業務受託機関(CRO)を対象としたものです。
GCP査察共同実施は、欧州委員会、欧州医薬品庁(EMA)及びFDAの3機関で締結されています。このイニシアチブにより、査察及び所見に関する情報の共有化が整備され、共同査察の円滑な実施が可能となります。最終的な目的は、欧州連合(EU)及びFDAの査察官が同一施設に関して同じ情報を共有することです。
【では、ここで求められているものとは何なのでしょうか?】
FDAによる治験実施施設の査察は、医薬品、生物製剤または医療機器など製品固有な内容で実施されます。治験分担医師は、具体的には21 CFR 312(Investigational New Drug Application)及び21 CFR 812(Investigational Device Exemption)の規制を含むFDA規則を順守しなければなりません。治験依頼者、CRO及びモニターが対象の査察の場合には、治験依頼者やCROによって実施された業務と手順についてFDAへの申請で定めた内容との比較が行われます。
EUの場合、監督はEMAのGCP査察実施部門(GCP Inspection Services Group)が担っています。EMA査察は、部門からの要求時、特定製品への関心が高い場合や、あるいは単にGCP要求事項への順守を確認するために実施されます。査察官は、共同実施イニシアチブを通じて加盟国間での整合性を図り、欧州諸国間において治験に対し認知される取り決めとの適合性を確認します。EUにおける臨床試験実施要求事項には、GCP、GMP(医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令)及び査察が含まれており、臨床試験指令(指令2001/20/EC)、GCP指令(指令2005/28/EC)及び関連するガイダンスにより実施されます。
【査察準備】
担当者の準備という観点から、模擬査察を実施されることを強く推奨します。ICH/GCP Consolidated Guidanceを使用しての包括的なチェックリストの作成、特に必須文書(Essential Documents)に関するチェックリストの作成について検討すべきだと思います。
模擬査察では担当者と実際に面接を行い、誰が何について説明するか決定します。質問に対する回答の練習を行ってみてください。査察官からの質問事項に対する回答内容について話し合い、次の事項について徹底していきます。
査察の通知を受理したら、査察の準備に取り組みましょう。行動順序を考え整理していきます。
IPRF, LLC
RA/QA Consulting & International Product Registration
【EU-FDA共同イニシアチブ】
米国食品医薬局(FDA)と欧州医薬品庁(EMA)によるGCP(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)イニシアチブは、2009年9月に査察共同イニシアチブをスタートさせました。この査察プログラムは、米国及び欧州連合(EU)の治験実施施設、治験依頼者及び医薬品開発業務受託機関(CRO)を対象としたものです。
GCP査察共同実施は、欧州委員会、欧州医薬品庁(EMA)及びFDAの3機関で締結されています。このイニシアチブにより、査察及び所見に関する情報の共有化が整備され、共同査察の円滑な実施が可能となります。最終的な目的は、欧州連合(EU)及びFDAの査察官が同一施設に関して同じ情報を共有することです。
【では、ここで求められているものとは何なのでしょうか?】
FDAによる治験実施施設の査察は、医薬品、生物製剤または医療機器など製品固有な内容で実施されます。治験分担医師は、具体的には21 CFR 312(Investigational New Drug Application)及び21 CFR 812(Investigational Device Exemption)の規制を含むFDA規則を順守しなければなりません。治験依頼者、CRO及びモニターが対象の査察の場合には、治験依頼者やCROによって実施された業務と手順についてFDAへの申請で定めた内容との比較が行われます。
本記事に関連するホワイトペーパー
『Managing Change Control to Comply with FDA and EU Regulations』
『Managing Change Control to Comply with FDA and EU Regulations』
EUの場合、監督はEMAのGCP査察実施部門(GCP Inspection Services Group)が担っています。EMA査察は、部門からの要求時、特定製品への関心が高い場合や、あるいは単にGCP要求事項への順守を確認するために実施されます。査察官は、共同実施イニシアチブを通じて加盟国間での整合性を図り、欧州諸国間において治験に対し認知される取り決めとの適合性を確認します。EUにおける臨床試験実施要求事項には、GCP、GMP(医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令)及び査察が含まれており、臨床試験指令(指令2001/20/EC)、GCP指令(指令2005/28/EC)及び関連するガイダンスにより実施されます。
【査察準備】
担当者の準備という観点から、模擬査察を実施されることを強く推奨します。ICH/GCP Consolidated Guidanceを使用しての包括的なチェックリストの作成、特に必須文書(Essential Documents)に関するチェックリストの作成について検討すべきだと思います。
- 施設におけるすべての証拠資料(Documentation)の確認
- 担当者とのGCP要求事項及びプロトコールの確認
- 治験依頼者やIRBから適切な認可をすべて取得しているかの確認
- 権限移譲に関する責務の対応がなされているかの確認
- 証拠資料(Documentation)に対する正確性及び法令順守の観点からの確認
- 矛盾の有無を確認し、修正可能な場合は修正、この時点で修正できない項目は明確化を図る(通常は“Note to File”)。
- 記録の欠落の特定
- 可能な場合、未解決の問題や未処理の問題を解決
- 原資料と症例報告書(CRF)の入力値を比較し、データ入力の正確性を確認
- 薬事関連ファイルを見直し、現行の必須文書が含まれていることを確認
- 同意取得を得るための同意説明文書フォーム及び手順の確認
模擬査察では担当者と実際に面接を行い、誰が何について説明するか決定します。質問に対する回答の練習を行ってみてください。査察官からの質問事項に対する回答内容について話し合い、次の事項について徹底していきます。
- 簡潔であること。問題とされている内容に対してのみ回答する。
- 回答は正直かつ率直に。
- 任意の情報提供は行わない。
- 推測や憶測を述べない。
- 議論しない。
査察の通知を受理したら、査察の準備に取り組みましょう。行動順序を考え整理していきます。
- 査察官用に個室を予約。
◦ また必須文書ファイルも用意しておきましょう。
◦ アクセス制限のかかった一時的なパスワードを設定し、利用可能な状態にしておきます。
◦ データベースの内容に関するクィックリファレンスガイド(早見用手引き)を準備しておきま
しょう。
【査察当日】
FDA査察官が身分証明書及び署名のあるFDA Form 482(Notice of Inspection)原本を監査対象企業の一番の責任者(通常管理責任者)に提示し、査察が開始されます。一方、EUの場合、査察開始時に提示するために発行される公式文書はありません。その代わりに、オープニングミーティングで査察の目的、期待内容、必要な文書や面接が必要な担当者などについて、口頭で説明が行われます。
FDA及びEUの査察官はいずれも、企業から要求される文書への署名義務はありません。FDA査察官は、FDAのフォーム以外のものへは署名しないように指示されていますが、こうした要求は書面による施設査察報告書(EIR)への報告の対象となります。この点に関してはEMAもFDAと同様です。
FDA査察官及びEU査察官の両者は施設の確認を行い、リソース、要員、また施設全体が実施予定の治験に対し適切であるか否かを確認し、評価するための質問を投げ掛けます。見学の際には、手順書及びその他の文書(製品保管場所の温度管理/記録など)が求められる場合があります。
EU査察官は、要求し受領したすべての文書の追跡記録を保持します。すべてのリクエストが文書により記録されていることを確認する目的で、この文書は査察実施施設へ提出されます。一方、FDAの場合には文書の正式な要求は口頭のみで行われます。引き続き査察官に立ち会い要求、質問事項及びコメントをすべて記載する担当者を決めます。また、査察官に提示する全ての文書に『Confidential』のスタンプを押してください。可能な限り、査察官に提示するコピーから被験者の識別情報は削除しておきます。
【査察終了時クロージングミーティング】
査察の終了時に、FDA査察官から書面によるFDA Form 483(List of Objectionable Conditions)が被査察施設に渡されます。これは査察時の重要な査察所見の報告書であり、製品やプロセスに関連する重要な所見や、FD&C法及び関連法への違反の有無が記されています。FDAの場合、重要且つ認可対象の製品または被査察プロセスに関連する所見のみがリストされます。前回査察時の所見が修正されていない事項や、再発している事項がある場合にはFDA-483に記載されます。
EU査察官の場合、査察の終了時に問題ありと判断された所見の書面によるリストは提示されず、その代わりにクロージングミーティングにおいて口頭で所見に関する説明が行われます。EMAからは、各被査察施設に対し査察報告書及び総合査察報告書(IIR)が提供されます。監査報告書は、英語で作成されます。施設査察では、治験実施者と治験実施責任者に報告書の写しが提供されますが、CRO/治験実施責任者の査察は被監査組織にのみ写しが提供されます。
クロージングミーティングでは、査察官からのコメントや査察官との協議内容をすべてメモします。監査の際の是正事項については説明を行ってください。所見についての査察官の解釈に異議があれば話し合ってください。可能な限り、どのような問題も査察官と対面している間に明確にしておきましょう。明確、正直、そして万全な準備というキーワードを忘れないでください。
Marie E Dorat
法令順守/維持に取り組む企業を支援する薬事/品質管理コンサルティング会社IPRF社のCEOを務める。IPRF社は、国際製品登録書類の合法化にかかる時間を2か月から2~5日に短縮するといった費用効果に優れたシステムを提供し、競合他社よりも一歩早い製品の市場投入を実現する支援を行っております。医療機器及び生物薬剤/製薬業界における品質管理の現場でその専門スタッフとして13年間在籍。品質管理システムに関する並外れた知識と規制に関する高度な専門知識を備え、さらに、バリデーション、ギャップ分析、CAPA、変更管理、監査及びトレーニングにおいて豊富な経験を有しております。cGxPsガイドラインの順守、ISO規格、国際的な規制への順守を確実にし、クライアント品質管理システム/eQMSを開発、適用し、運用しています。360Predict eQMSシステムのSMEも務め、その開発を支援しています。
本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。
- 査察官が到着するまでに適切なファイルにアクセスできるように、コンピューターの設定を行う。
◦ アクセス制限のかかった一時的なパスワードを設定し、利用可能な状態にしておきます。
◦ データベースの内容に関するクィックリファレンスガイド(早見用手引き)を準備しておきま
しょう。
- 近くにコピー機を準備する。
【査察当日】
FDA査察官が身分証明書及び署名のあるFDA Form 482(Notice of Inspection)原本を監査対象企業の一番の責任者(通常管理責任者)に提示し、査察が開始されます。一方、EUの場合、査察開始時に提示するために発行される公式文書はありません。その代わりに、オープニングミーティングで査察の目的、期待内容、必要な文書や面接が必要な担当者などについて、口頭で説明が行われます。
FDA及びEUの査察官はいずれも、企業から要求される文書への署名義務はありません。FDA査察官は、FDAのフォーム以外のものへは署名しないように指示されていますが、こうした要求は書面による施設査察報告書(EIR)への報告の対象となります。この点に関してはEMAもFDAと同様です。
FDA査察官及びEU査察官の両者は施設の確認を行い、リソース、要員、また施設全体が実施予定の治験に対し適切であるか否かを確認し、評価するための質問を投げ掛けます。見学の際には、手順書及びその他の文書(製品保管場所の温度管理/記録など)が求められる場合があります。
EU査察官は、要求し受領したすべての文書の追跡記録を保持します。すべてのリクエストが文書により記録されていることを確認する目的で、この文書は査察実施施設へ提出されます。一方、FDAの場合には文書の正式な要求は口頭のみで行われます。引き続き査察官に立ち会い要求、質問事項及びコメントをすべて記載する担当者を決めます。また、査察官に提示する全ての文書に『Confidential』のスタンプを押してください。可能な限り、査察官に提示するコピーから被験者の識別情報は削除しておきます。
【査察終了時クロージングミーティング】
査察の終了時に、FDA査察官から書面によるFDA Form 483(List of Objectionable Conditions)が被査察施設に渡されます。これは査察時の重要な査察所見の報告書であり、製品やプロセスに関連する重要な所見や、FD&C法及び関連法への違反の有無が記されています。FDAの場合、重要且つ認可対象の製品または被査察プロセスに関連する所見のみがリストされます。前回査察時の所見が修正されていない事項や、再発している事項がある場合にはFDA-483に記載されます。
EU査察官の場合、査察の終了時に問題ありと判断された所見の書面によるリストは提示されず、その代わりにクロージングミーティングにおいて口頭で所見に関する説明が行われます。EMAからは、各被査察施設に対し査察報告書及び総合査察報告書(IIR)が提供されます。監査報告書は、英語で作成されます。施設査察では、治験実施者と治験実施責任者に報告書の写しが提供されますが、CRO/治験実施責任者の査察は被監査組織にのみ写しが提供されます。
クロージングミーティングでは、査察官からのコメントや査察官との協議内容をすべてメモします。監査の際の是正事項については説明を行ってください。所見についての査察官の解釈に異議があれば話し合ってください。可能な限り、どのような問題も査察官と対面している間に明確にしておきましょう。明確、正直、そして万全な準備というキーワードを忘れないでください。
Marie E Dorat
法令順守/維持に取り組む企業を支援する薬事/品質管理コンサルティング会社IPRF社のCEOを務める。IPRF社は、国際製品登録書類の合法化にかかる時間を2か月から2~5日に短縮するといった費用効果に優れたシステムを提供し、競合他社よりも一歩早い製品の市場投入を実現する支援を行っております。医療機器及び生物薬剤/製薬業界における品質管理の現場でその専門スタッフとして13年間在籍。品質管理システムに関する並外れた知識と規制に関する高度な専門知識を備え、さらに、バリデーション、ギャップ分析、CAPA、変更管理、監査及びトレーニングにおいて豊富な経験を有しております。cGxPsガイドラインの順守、ISO規格、国際的な規制への順守を確実にし、クライアント品質管理システム/eQMSを開発、適用し、運用しています。360Predict eQMSシステムのSMEも務め、その開発を支援しています。
本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。
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Y. Uchino
2015年1月13日火曜日
FDAによるデータの完全性に関する新たなQ&Aの発表
Jamie Colgin(Colgin Consulting, Inc.)著
先日、発表されたFDAの新たなQ&Aは、GMPを対象にするものですが、信頼性保証に従事する誰もが活用できる7つの質疑応答から構成されています。
FDAは新たに7つの質疑応答を公表しました。その中で、データの完全性及び電子署名に関して3つの質問が取り上げられています。また、Q&AはGMPを対象に作成されていますが、他の分野でも学べることの多い内容となっています。
・ システムにて作成された電子記録を保持する:紙媒体の印刷物はこれと同等ではない
・ コンピュータシステムのアカウントは共有しない:アクションの属性から個人を特定できるこ
・ 電子署名を使用する:署名者の特定を確実とする方法を文書に記録すること
先日、発表されたFDAの新たなQ&Aは、GMPを対象にするものですが、信頼性保証に従事する誰もが活用できる7つの質疑応答から構成されています。
FDAは新たに7つの質疑応答を公表しました。その中で、データの完全性及び電子署名に関して3つの質問が取り上げられています。また、Q&AはGMPを対象に作成されていますが、他の分野でも学べることの多い内容となっています。
・ システムにて作成された電子記録を保持する:紙媒体の印刷物はこれと同等ではない
・ コンピュータシステムのアカウントは共有しない:アクションの属性から個人を特定できるこ
・ 電子署名を使用する:署名者の特定を確実とする方法を文書に記録すること
その他の質疑では、監査報告書の破棄、原材料の判定及び対処、化学物質、試薬、溶液及び溶剤の使用期限の設定、システム適合性試験への実サンプルの使用に関する内容が取り上げられています。
最初の2つの質問に関しては、FDAがここ3年間に発行したWarning Letterでも頻繁に取り上げられている内容です。
この記事はホワイトペーパー「Managing Change Control to Comply with FDA and EU Regulations」に関連しています。詳細はフリーコピーをダウンロードしてください。
データの完全性及び電子署名に関する3つの質問をさらに掘り下げていきましょう。
ただその前に、GCPについて簡単に触れたいと思います。残念なことに、米国規則ではGCPに対しては、GLPまたはGMPほど白黒はっきりとした区別がありません。生データの定義さえも明確にされていない状態です。手短に言えば、GCPとは「販売承認に関する法令基準を満たすことができるデータ」を提供し、治験責任医師に対し「十分かつ正確な病歴」の維持を要求するものであります。新薬の製造及び販売を可能にする意思決定を裏付ける目的でヒト対象者から得た信頼性の高い試験施設データは、非臨床及び製造の試験施設データと同じデータの完全性という特性を有するべきであるということにご同意いただけると思います。
【試験機器データ】
最初のデータ完全性に関する質疑では、Part 11及び関連規則要件をどのように「コンピュータ化されたラボラトリーシステムにより作成された電子記録及び医薬品の製造及び試験に使用され印刷されたクロマトグラムによって作成される電子記録に適用する」のかについて取り上げられています。
FDAは、印刷された記録を必ずしも電子記録の「本当のコピー」や「正確かつ完全な」コピーとはみなさないとしています。電子記録は、「インジェクションの順序、計測器法、インテグレーションの方法、または監査証跡」など「クロマトグラムを作成するために使用した」情報または有効性の確立に使用される情報を含みます。従って、「コンピュータ化されたラボラトリーシステムにより作成された電子記録は、これらの要件に基づき維持されなければなりません。」
GLP試験に関しては、Part 58においてすべての生データの保持が要求されており、生データ及び正確なコピーの定義を規定しています。しかしながら、GLP及びGCPの試験施設で使用される大部分の計器に関しては、FDAの回答で記述される同じ理由から、印刷された記録は電子記録の「正確なコピー」とはならないのです。
では、我々は何をすべきなのでしょうか? GLP及びGCPで使用される計測システムによって作成される電子記録を維持します。紙媒体の印刷物はこれと同等とはみなされません。
【共有ログインアカウント】
第2のデータ完全性に関する質問は、「なぜ、FDAはコンピュータシステムへの共有ログインアカウントの使用を問題にするのか?」について取り上げています。
本件に関するFDAの回答は、「ログイン認証情報が共有され、ログインを通して特定の個人の識別が不可能な場合には、CGMP要件を満たしていないと見なします」というものでした。
Part 58では、ユーザーを「データ入力時に識別」すること及びデータの変更時の監査証跡が求められています。
では、我々は何をしたらよいのでしょう? それはコンピュータシステムのアカウントを共有しないことです。つまり個々のアクションから個人を特定することが可能でなければなりません。
【電子署名】
最後に、「標準製造指図及び管理記録における電子署名は手書き署名の代わりに使用することができますか?」という質問です。
それに対するFDAの回答は「Yes」であり、「記録に対し電子的な署名を行った特定人物の識別を確実にするために使用した管理方法を文書化すること」を企業に推奨しています。この質問では、FDAの査察官がいったい何を見ているかということを改めて考えさせられました。
我々は、何をすべきなのでしょうか? それは進んで電子署名を使用することです。そして署名者を識別する方法を記録しておくことです。
Jamie Colgin著。統合コンピュータシステム・コンプライアンス監査に精通。他のCSVコンサルタントや監査員とは異なり、彼女の包括的なアプローチは、リスク及び問題の所在を明らかにすることにより、GLP及びGCP規制要件にリンクさせ、社内のエグゼクティブチームまたはスポンサーの視覚的な解釈を促しコミュニケーションの向上を図ることを特徴とします。御社の有望なスタッフに向けた監査、模擬査察、改善または職場内訓練に関する支援が必要な場合には、是非お問合せください。
本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。
最初の2つの質問に関しては、FDAがここ3年間に発行したWarning Letterでも頻繁に取り上げられている内容です。
この記事はホワイトペーパー「Managing Change Control to Comply with FDA and EU Regulations」に関連しています。詳細はフリーコピーをダウンロードしてください。
データの完全性及び電子署名に関する3つの質問をさらに掘り下げていきましょう。
ただその前に、GCPについて簡単に触れたいと思います。残念なことに、米国規則ではGCPに対しては、GLPまたはGMPほど白黒はっきりとした区別がありません。生データの定義さえも明確にされていない状態です。手短に言えば、GCPとは「販売承認に関する法令基準を満たすことができるデータ」を提供し、治験責任医師に対し「十分かつ正確な病歴」の維持を要求するものであります。新薬の製造及び販売を可能にする意思決定を裏付ける目的でヒト対象者から得た信頼性の高い試験施設データは、非臨床及び製造の試験施設データと同じデータの完全性という特性を有するべきであるということにご同意いただけると思います。
【試験機器データ】
最初のデータ完全性に関する質疑では、Part 11及び関連規則要件をどのように「コンピュータ化されたラボラトリーシステムにより作成された電子記録及び医薬品の製造及び試験に使用され印刷されたクロマトグラムによって作成される電子記録に適用する」のかについて取り上げられています。
FDAは、印刷された記録を必ずしも電子記録の「本当のコピー」や「正確かつ完全な」コピーとはみなさないとしています。電子記録は、「インジェクションの順序、計測器法、インテグレーションの方法、または監査証跡」など「クロマトグラムを作成するために使用した」情報または有効性の確立に使用される情報を含みます。従って、「コンピュータ化されたラボラトリーシステムにより作成された電子記録は、これらの要件に基づき維持されなければなりません。」
GLP試験に関しては、Part 58においてすべての生データの保持が要求されており、生データ及び正確なコピーの定義を規定しています。しかしながら、GLP及びGCPの試験施設で使用される大部分の計器に関しては、FDAの回答で記述される同じ理由から、印刷された記録は電子記録の「正確なコピー」とはならないのです。
では、我々は何をすべきなのでしょうか? GLP及びGCPで使用される計測システムによって作成される電子記録を維持します。紙媒体の印刷物はこれと同等とはみなされません。
【共有ログインアカウント】
第2のデータ完全性に関する質問は、「なぜ、FDAはコンピュータシステムへの共有ログインアカウントの使用を問題にするのか?」について取り上げています。
本件に関するFDAの回答は、「ログイン認証情報が共有され、ログインを通して特定の個人の識別が不可能な場合には、CGMP要件を満たしていないと見なします」というものでした。
Part 58では、ユーザーを「データ入力時に識別」すること及びデータの変更時の監査証跡が求められています。
では、我々は何をしたらよいのでしょう? それはコンピュータシステムのアカウントを共有しないことです。つまり個々のアクションから個人を特定することが可能でなければなりません。
【電子署名】
最後に、「標準製造指図及び管理記録における電子署名は手書き署名の代わりに使用することができますか?」という質問です。
それに対するFDAの回答は「Yes」であり、「記録に対し電子的な署名を行った特定人物の識別を確実にするために使用した管理方法を文書化すること」を企業に推奨しています。この質問では、FDAの査察官がいったい何を見ているかということを改めて考えさせられました。
我々は、何をすべきなのでしょうか? それは進んで電子署名を使用することです。そして署名者を識別する方法を記録しておくことです。
Jamie Colgin著。統合コンピュータシステム・コンプライアンス監査に精通。他のCSVコンサルタントや監査員とは異なり、彼女の包括的なアプローチは、リスク及び問題の所在を明らかにすることにより、GLP及びGCP規制要件にリンクさせ、社内のエグゼクティブチームまたはスポンサーの視覚的な解釈を促しコミュニケーションの向上を図ることを特徴とします。御社の有望なスタッフに向けた監査、模擬査察、改善または職場内訓練に関する支援が必要な場合には、是非お問合せください。
本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。
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Y. Uchino
2014年11月18日火曜日
米FDA、Office of Regulatory AffairsのQMSソフトウェアのアップグレードを決定
グローバルに品質マネジメントシステム向けのソフトウェアとサービスを提供するMasterControl Inc.(本社:米国ユタ州、CEO:ジョナサン・ベクストランド、以下 マスターコントロール)は、提携パートナーのi4DM社と、FDA(米国食品医薬品局)のOffice of Regulatory Affairs(規制業務部、以下 ORA)に導入しているソフトウェアのアップグレードを発表しました。
FDAの現場活動(輸入監視、査察、既製品のサンプル分析等)を主導する立場を担うORAでは、品質責任者がORAの業務やプロセスを均一に監視することが可能なツールとして、2009年にマスターコントロールのソフトウェアを採用しました。そして今回、MasterControl All Accessへのアップグレードを通じて、システムの利用範囲を拡大していくことを決定しました。
ORAは、規制対象の製品や製造業社に対する査察やサンプル分析、米国向け輸出製品の検査等を通じて、7つのFDAのプロダクトセンターをサポートしています。ORAのビジネスユニットは、マスターコントロールのシステムを主に下記の業務に対して利用しています。また、i4DM社では、プログラムマネジメントやセキュリティ管理、他システムへの連携サービスを提供しています。
【Matt Lowe, MasterControl Exectuive Vice President コメント】
「マスターコントロールは、消費者と公共衛生を守るというFDA ORAの目的を支援できることを誇りに思っています」
マスターコントロール株式会社について
MasterControl Inc.(マスターコントロール米国法人)は、日本をはじめとする諸外国企業の競争に対応し、アメリカの製造業界において「品質マネジメントの標準化」採用の動きが広がった、1993年に設立されました。ソリューションは、製造業に限らず、コンプライアンス業界全般に対応しており、米国食品医薬品局(FDA)などの行政機関も含めて、組織全体の品質管理や品質保証を支援するソリューションとして採用されています。また、世界の製薬会社トップ20社の半数以上に、文書管理[MasterControl Documents(TM)]や教育管理[MasterControl Training(TM)]、品質イベント管理[MasterControl Process(TM)]、品質保証部門の監査業務管理向けソフトウェア[MasterControl Audit(TM)]などのソフトウェアを提供しています。
現在のマスターコントロールは、アメリカ本社をはじめ、イギリス、ドイツ、そして日本の4拠点から世界中の様々な企業へソリューションを提供しており、組織全体をサポートする品質マネジメントシステムを支援するソフトウェアとして、また、グローバルコンプライアンス対策として世界中に適用可能なソリューションとして、多くのお客様からご利用いただいています。
本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。
FDAの現場活動(輸入監視、査察、既製品のサンプル分析等)を主導する立場を担うORAでは、品質責任者がORAの業務やプロセスを均一に監視することが可能なツールとして、2009年にマスターコントロールのソフトウェアを採用しました。そして今回、MasterControl All Accessへのアップグレードを通じて、システムの利用範囲を拡大していくことを決定しました。
ORAは、規制対象の製品や製造業社に対する査察やサンプル分析、米国向け輸出製品の検査等を通じて、7つのFDAのプロダクトセンターをサポートしています。ORAのビジネスユニットは、マスターコントロールのシステムを主に下記の業務に対して利用しています。また、i4DM社では、プログラムマネジメントやセキュリティ管理、他システムへの連携サービスを提供しています。
- 文書管理
- 品質記録の管理
- マネジメントレビュー
- 監査
- 不適合プロセスや製品の管理
- 継続的改善
- 是正措置
- 予防措置
- 苦情とフィードバック
- カスタムプロセスのトラッキング
【Matt Lowe, MasterControl Exectuive Vice President コメント】
「マスターコントロールは、消費者と公共衛生を守るというFDA ORAの目的を支援できることを誇りに思っています」
マスターコントロール株式会社について
MasterControl Inc.(マスターコントロール米国法人)は、日本をはじめとする諸外国企業の競争に対応し、アメリカの製造業界において「品質マネジメントの標準化」採用の動きが広がった、1993年に設立されました。ソリューションは、製造業に限らず、コンプライアンス業界全般に対応しており、米国食品医薬品局(FDA)などの行政機関も含めて、組織全体の品質管理や品質保証を支援するソリューションとして採用されています。また、世界の製薬会社トップ20社の半数以上に、文書管理[MasterControl Documents(TM)]や教育管理[MasterControl Training(TM)]、品質イベント管理[MasterControl Process(TM)]、品質保証部門の監査業務管理向けソフトウェア[MasterControl Audit(TM)]などのソフトウェアを提供しています。
現在のマスターコントロールは、アメリカ本社をはじめ、イギリス、ドイツ、そして日本の4拠点から世界中の様々な企業へソリューションを提供しており、組織全体をサポートする品質マネジメントシステムを支援するソフトウェアとして、また、グローバルコンプライアンス対策として世界中に適用可能なソリューションとして、多くのお客様からご利用いただいています。
本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。
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