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2017年11月15日水曜日

ISO、複数の規格に対する変更を実施

B. Christine Park CQA, CQM/OE Consultant


様々なISO規格が改定、移行期日までに対応を


品質マネジメントシステムやその他の規格の改定に伴い、期限内での対応が求められています。ここ数年で改定された主な規格は以下の通りです。


これら3つの規格は、過去数年の間に改定され、多くの企業が用いる重要な規格です。規格が改定される場合、企業には新しい規格への移行期間として、通常は3年という期間が設けられています。上述の規格においても3年以内の移行が求められています。3年と聞くと時間は十分にあると思うかもしれませんが、実際にはそう長くありません。時は刻一刻と過ぎていきます!今すぐ自社の事業に関連する改定箇所や要求事項を確認してみましょう。

新ISO 9001:2015 及び他の規格は「全10章」の章立てになり、シンプルかつ標準化することを目的に再構成されました。一方で、ISO 13485:2016 の章立ての改定は容易ではなく、新しい規格の発行に間に合わないとされました。その為、ISO13485:2016の章立ては従来のままとなり、ISO13485技術委員会により本文書に新しい概念が数多く盛り込まれました。





注目すべき重要な改定点がいくつかあります。
  • QMSは、経営戦略及び事業目的と一致するものであること
    QMSは、ビジネス活動の一環であることが期待される一方で、これまでは一般的に、別の活動として管理されてきました。本アプローチによって、組織全体で一貫性が強化される契機となることが期待されます。品質を強化することは、より良い企業運営につながるものなのです。
  • 組織の状況の把握と判断
    「規模に見合った戦略の実践」:経営陣は、継続的に品質システムに対して取り組むことで、自社のマネジメントシステムの課題やニーズを把握することができます。
  • マネジメントシステムに対する経営陣のコミットメント
    経営陣は、品質の確保を目的として、QMS及び従業員へのコミットメントを示すことが要件となっています。経営陣が積極的に関わり、QMSが優れた企業運営の手法であると認識されていけば、コスト削減につながり、安定した企業運営が実現できます。
  • プロセスアプローチの適用
    不適切な運用管理の場合、業務間の連動が正しく機能しないケースも多く、結果として、再作業などの無駄が発生します。企業のQMSや経営手法にプロセスアプローチを導入することで、部門や個人の孤立化といった組織の細分化を防止し、安定した企業運営に繋げることができます。
  • マネジメントシステムと予防処置
    「予防処置」の考えは、リスクの特定や軽減といったマネジメントシステムの目的と並列であることから、是正処置とは切り離し、システム全体を対象とした活動に変更となりました。予防処置を例外として扱うのではなく、リスク評価と組み合わせた適切な管理体制が必要です。
  • 文書化した情報
    「文書化された手順」や「記録」という用語は、「文書化した情報」に変更されました。要求事項として求められているのは、手順書や作業指示書などの管理、または、実施した業務の証拠としての記録の管理です。ただ、「情報」という言葉の定義は広義な為、企業側で解釈を決めることができます(※この変更はISO 13485には含まれません)。
  • 改善機会の発見
    リスクベース思考に関連することですが、改善機会と想定結果をリスクベースで評価し、適切な判断をすることが期待されています。
  • QMSに対する変更の管理
    QMSの計画的な運用が求められており、その運用に影響を与えるような変更を実施する場合、必ずリスク評価を行い、変更内容が適切に導入されたことを保証できるような枠組みが必要となります。
  • 組織としての知識
    「組織としての知識」という概念が発表されました。これは、人や組織に変更があった場合でも、事業運営に影響を与えないよう、組織として知識を管理することが求められています。

QMSが既に確立されている企業でも、この機会を予備調査として、現在の対応状況をご確認いただければと思います。文書や記録を確認することで、この新規格にどの程度、準拠しているかを把握できます。また、あまり複雑化せず、シンプルに必要な作業だけを行い、対応を目指すという考えも重要です。そして、新規格への対応も実現し、企業戦略と一致したQMSが構築できれば、それは、事業運営として非常に有益な成果になることを確信しています。


著者のご紹介
Christine (Chris) Park

医療機器、IVD、バイオテクノロジー/医薬品分野におけるR&D及び製造の経験から、品質システムや品質管理(CAPAや苦情、監査など)に対するコンサルティングを提供している。また、薬事申請のサポートとして、技術書類の作成やレビュー、リスクアセスメント、変更管理なども直接的に支援している。現在は、AAMI TC210規格委員会のメンバーとして積極的に活動しながら、改訂版のISO 9001:2015やISO 13485:2016、FDAの連邦規則集改訂 (820、 210/211、食品)の導入や移行のための企業向けコンサルティングを行っている。

本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。

2017年7月26日水曜日

「改善」は気づかい

同僚のホゼとピーターが改善の道へと
第一歩を踏み出す。
Dan Markovitz
Markovitz Consulting

ピーターとホゼは、長年一緒に働いています。パンチプレス機のオペレーションを任されているピーターは63歳ですが、一日の終わりにはビルの間を抜け、75ヤード離れたゴミ捨て場まで50ポンドの廃棄物を引きずって運んでいます。

ホゼはピーターより20歳ほど若いため、ピーターが腰を痛めないように、できるだけゴミは自分が運ぶようにしていますが、仕事上、毎回という訳にもいきません。

現在、この会社の改善に取り組んでいるのですが、まずはシンプルに困っていることから改善していきましょうと提案しています。いくつもの座学を受ける、5S活動を実践するなど、ビジネスを「大きく変える」ことにチャレンジするのではありません。ただ、昨日こうであったことが必ずしも今日もそうでなければならない!という必要はないということに気付いてもらいたいのです。誰もが状況をより良く、よりシンプルに変化させることができるのだということを知ることが、改善への第一歩だと思います。

ピーターとホゼは無口な人間です。キックオフミーティングやトレーニングプログラムにおいても、彼らが何かを発言することはありませんでした。変化を拒んでいるのか、あるいは長年のクロックパンチングに従事するなかで、仕事に関する最小限の要求以外、何かを求める気力を失ってしまっているのかもしれません。





ですから、掲示板に張り出されたホゼの改善案カードを見て私は驚きました。加工現場のごみ箱にキャスターを付けたいというのです。ホゼにこの提案について尋ねると、「ピーターが心配です。彼は63歳です。ごみ収集箱までゴミを引きずって腰を痛めて欲しくないのです」とだけ答えました。

節約経営の指導者や(私のような)節約に関するコンサルタントをしている者は、大抵、コスト低減、増収、リードタイムの短縮、品質の向上などについてをお話します。しかし、これらは日常業務とはかけ離れており、改善がそこでなぜ重要なのかという理由を働く人の視点から語られていなかったのです。企業の利益を第一に考えるよりも、より働きやすく人の役に立つ改善を考えることの方が、重要で嬉しいことでしょう。新郷重夫氏は、4つの改善の最終目標は、優先度の順に「よりシンプルに、より良い品質で、より早く、より安く」と述べています。

ホゼがゴミ箱に取り付けたキャスターは、企業業績への影響はゼロです。しかし、改善への第一歩です。そして、それよりも重要なことは、これは、ホゼの気づかいが示されているということだと思います。

複写厳禁 The Lean Post掲載記事

改善の道へ第一歩を踏み出せましたか?下のコメント欄にご意見をお寄せください。


著者のご紹介
Dan Markovitzは、リーン式の新しいアプローチの指導及び実践により、より迅速、より堅牢な組織運営のためのアドバイスをしている。長年、リーン方式の考えを伝えるためのトレーニング講師を務め、lean journeysへのアプローチ方法を開発し、企業がリーン式の実践を再び活発に行うためのサポートを行っている。米国及び欧州で活躍。WL Gore社、Abbott Vascular社、NYU Medical Center、the New York City Department of Health, CamelBak社、Clif Bar社、Industrial Revolution、Goodyear Tire社を顧客に持つ。

He is a faculty member at the Lean Enterprise Institute and teaches at the Stanford University Graduate School of Business, the Stanford Continuing Studies Program, and the Ohio State University’s Fisher School of Business.

Lean Enterprise Instituteの講師であり、Stanford University Graduate School of Business、 Stanford Continuing Studies Program及び Ohio State University’s Fisher School of Businessで教壇に立つ。
Shingo Research 賞受賞のA Factory of One 及びBuilding the Fit Organizationの著者でもある。Lean UK SummitやReykjavikで開催されたLean Island Conference、LEI Transformation Summit、 Shingo International Conference、その他数多くのAME Conferencesにて発表の経験を有す。

Markovitz氏は日本に4年在住した経験があり、日本語が堪能。Wesleyan University にてBAを取得、及びStanford University Graduate School of BusinessのMBAを取得しています。連絡先;dan@markovitzconsulting.com.

本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。

2017年1月16日月曜日

パフォーマンス エクセレンスを利用して品質を強化

Mickey Garcia
Segment Manager, Medical Devices, MasterControl Inc.


重要なのは「業務の品質」ですか、それとも「品質に係る業務」ですか?


品質とマネジメントの分野は、1950年代にW. Edwards Deming氏が先駆者として活躍して以降、著しい進化を遂げました。その後、トータルクオリティーマネジメント(TQM)やシックスシグマ、最近では「リーン○○方式(Lean)」など、各時代のベストプラクティスとして、意匠を凝らした名称が付けられた手法が誕生し続けました。このように、既に様々な手法が存在している中で誕生したのが「パフォーマンス エクセレンス(Performance Excellence)」ですが、単なる新しい業界用語の一つと見てしまう方も多いと思います。

しかし、手法として効果的な事例も現れてきており、「品質に係る業務」の先を見据えて、「業務の品質」を注視すべきというMikel Harry博士の考え方に関心が集まってきています。


なぜ「パフォーマンス」なのか?

最初に、従来の「品質」を意味する言葉として、なぜ、「パフォーマンス」という用語を使うのかという理由について考えてみましょう。一般的に「品質」と言えば、「製品の品質」であると考える方が多く、出荷した製品の品質であれば、その認識で正しいでしょう。しかし、企業活動における品質について言及する場合は、「品質」という用語だけでは、その意味の一部を伝えられたとしても、企業活動における品質全てとしては伝わらない可能性があります。
この場合、「品質」の代わりに「パフォーマンス」という用語を使用することで、最終製品に関する「品質」に限定せず、バリュー・チェーンにおける様々な企業活動の「パフォーマンス」を意味することが可能となります。

「パフォーマンス」という用語を使用するもう一つの理由として、一般的に「品質」という用語は、品質管理や品質保証部門が管理するシステムやプロセスを意味している点があります。
規制要件でも、「品質業務とは組織内で別個かつ独立した業務であるべき」と義務づけている為、こうした意味合いが強いのです。しかし、現代の企業運営において品質を企業活動に組み入れることは、全ての部門で全社員の責任で行われるべきとされています。幸いなことに、「業績(Business Performance)」は、品質管理や品質保証部門のみの責務とはなっていません。最終的な確認は品質管理や品質保証部門で行うとしても、それは組織全体の責務であると考えられています。




また、品質と業績は敵対関係にあるという考えを持つ方も多いです。
「より優れた品質を常に確保すべきか?」という質問には、模範解答としては当然、「Yes!」となるでしょう。しかし、良く熟考して回答してみると、答えは「No」となるはずです。私たちが住む世界に存在するリソースは限られていて、その限りあるリソースを使用して最高の品質を確保する方法を考える必要があります。規制当局も、品質向上を実現する手法として、「リスクベースアプローチ」を推進しています。これは、品質向上やリスク低減活動に対して限られたリソースを割り当て、投資に見合った価値を生むことを推進しているのです。

パフォーマンス エクセレンスは、「優れた品質」に限定せず、より広義的な「成果」に言及しているのが特長です。この手法で考えている最悪のケースとは、限られたリソースを使って品質を最大限に高め、優れた成果を得ることです。一方で、最高のケースとは、Philip Crosby氏が述べるように、企業活動のスピードと対応を加速させ、「様々な不適合にかかる支出」を削減するといった、品質改善を活かしながら優れた成果に導くという形です。


なぜ「エクセレンス」なのか?

では、品質について語る場合に、なぜエクセレンスという用語を好んで用いているのでしょう。この質問に答える前に、まず、「品質とは何か」ということを考えてみましょう。

品質マネジメントシステムが企業に導入され始めた頃、「品質」とは設計仕様に準拠することであると定義されていました。現在においても、この定義は製造部門の運用における「品質」を示すものであり、また多くのケースにおいて、製品仕様は顧客要求事項の要約として考えることができます。製品仕様とは対象が限定されたものですので、この解釈の中では、「完璧な品質」を実現することも可能となります。

ただ、「品質」という言葉の定義は常に変化しており、現代では、「顧客要求事項への適合」という考え方が重視されています。この定義に沿った場合、「完璧な品質」を実現することは、非常に難しいことであるという現実に直面します。顧客からの要望とは、性質上、常に増え続けるものであり、仕様として定義しようにも無限大なのです。例えば、栓抜きのような単純な製品でさえも、価格や耐久性、利便性、携帯性などの改善が常に求められます。そのような性質を踏まえると、品質マネジメントシステムが目指すべきゴールとは、「許容できる品質」と捉えることができます。つまり、「完璧な品質」といった理想は実現できない為、許容範囲を予め定義し、それを基準に判断することになります。ただ、この「許容できる品質」も、「分散の管理」と「継続的改善」という現代の品質に欠かせない2つの要素が無視されており、直感的には間違っているように思えます。

タグチメソッドやシックスシグマから学んだように、「許容できる品質」に収まるだけでは不十分で、品質が限りなく完璧に近づくよう積極的に努力する必要があります。従って、品質という言葉は、単に「許容できる品質」に留まらず、より高いレベルを探求するという意味を包含していることが多いのです。

また、「許容できる品質」と「継続的改善」は、お互いが対立する立場にある概念です。「継続的改善」とは、その言葉が示す通り、終わりのない考え方です。それは終わりのない旅のようなもので、絶えず新しいことにチャレンジする必要があります。つまり、今日はその品質で許容されたとしても、明日は許容されないかもしれないのです。

この2つの概念を踏まえると、現代における「品質」のゴールとは、「完璧な品質」でも、「許容できる品質」でもなく、それは、「高い品質」でありながら、目標に辿り着けず中途半端な位置づけに存在しているものなのです。このような状況がある為、単に「品質」という言葉を用いるのではなく「エクセレンス」という用語が適していると考えられる理由となります。実際、ウェブスター辞典では、エクセレンスを「非常に優れた品質」と定義しています。つまり、品質マネジメントシステムの目的が「高い品質」であると強調したい場合には、エクセレンスという用語を使用する方が使いやすいのです。


なぜパフォーマンス エクセレンスなのか?

パフォーマンス エクセレンスという用語は、単に製品の仕様を満たすというレベルから、「バリュー・チェーン全体を通じて大きな成果を生み出し、顧客の期待に応える」という考え方にシフトする上で、非常に重要な概念となります。なぜなら、それは「品質に係る業務」から「業務の品質」へ注目すべきポイントへシフトしているからです。


パフォーマンス エクセレンスは新しく誕生した用語のようにみられますが、実際は、そうでもありません。例えば、1951年初版の「Juran’s Quality Handbook」の現在の副題は、「The Complete Guide to Performance Excellence」です。また、優れた品質に与えられる「Malcolm Baldridge National Quality Award」は、「Achievements in Performance Excellence(パフォーマンス エクセレンスにおける著しい業績)」に対して授与されるものと紹介されています。今こそ、パフォーマンス エクセレンスという用語の概念を、より明確に打ち出していく時期なのではないかと私は思います。


著者のご紹介
Mickey Garciaは、University of Floridaにてメディカルエンジニアリング学士号、Stanford UniversityにてMBAを取得後、Johnson & Johnson社で製造部門オペレーション及びシステムエンジニアとしてキャリアをスタートし、自動化生産システムの設計やバリデーションの責任者として活躍、また、シックスシグマブラックベルト品質改善プロジェクトも主導しました。その後、ライフサイエンス分野のソフトウェア企業において、QMSやECM、MES、 PLMなどの製品戦略もリーダーとして主導しました。2014年からマスターコントロールに入社し、現在は、Product Managerとして、医療機器業界向けソリューションの戦略立案や企画を担当しています。


本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。

2016年11月7日月曜日

教育の有効性 ~QbD(Quality by Design)アプローチ~

様々な教育が社内では展開されていますが、
その有効性はどのように検証していますか?
Holly DeIaco-Smith, MS
HDS Consulting

コンサルタントという立場だと、クライアント全体で何が効果的に機能しているのか、共通の問題点とは何かを把握できるという利点があります。そのため、事例のガイダンスや共有する問題を回避するための実践的アドバイスの提供を目的として、プロジェクトにご一緒させて頂く機会が多くあります。

最近の例として、「教育の有効性を検証するための最善の方法とは何ですか?」といった質問をクライアントから受けました。「教育の有効性をどのように定義していますか?」と、コンサルタント的には定番の返事を返したところ、「はっきりとは分からないのですが、さまざまな監査で指摘されます」との回答がありました。


教育の有効性とは何か?
では、教育の意味を掘り下げて、定義するところから始めてみましょう。「効果的な教育」というと、担当者が教育で新たなスキルや知識を学んで、業務などを改善・向上することが頭に浮かびます。

基本的には、教育の有効性とは、教育を実施した結果、組織内における担当者の知識やスキル、行動パターンがどの程度、改善されたかで図ります。

簡単に言えば、教育の目的が実際に達成されているかということです。教育で予定された内容をすべて習得できているか?参加した担当者は、教育で学んだことを翌日の業務から活かすことができているか?ということなのです。

特に、GMP規制を受ける環境下では、教育の有効性が頻繁に取り上げられています。しかし、曖昧な部分が多いともいえます。いわゆる、教育の有効性が何であるか、どのように導入すればいいのか、有効な教育というものに対し規制当局は何を求めているかといった内容を、誰もが明確に理解できずにいるのです。規制の内容を見ても(後述する規制をご参照ください)非常に漠然としています。内容を要約すると、「組織は教育の有効性を定期的に評価するプログラムを持つこと」といった内容が述べられており、解釈する上でかなり曖昧な部分があります。この点に加えて、概念の実践に関しては、限られた実用的情報しかない点、また監査で指摘されたが内容は不明確であるといった現状を加味して、考えていきましょう。


本記事に関連するホワイトペーパー


教育の有効性についての認識


規制要件の観点からみた傾向
規制当局による教育の有効性への注目度は高くなっています。しかしながら、FDAが教育の有効性について指摘することは、組織の再教育(所見の結果やCAPA関連の場合が通常)が機能していないと再三に渡って実証される場合を除き、ほとんどありません。以下に示すサイクルについては、ご存じだと思います。


1. 監査の所見で、根本原因は人為的要因によると指摘を受ける。

2. 該当人員の再教育を実施する。

3. 逸脱が再発する。

4. 根本原因は人為的要因によると特定される。

5. 再教育を再び実施する。

6. そしてまた逸脱が再発というサイクルが繰り返される。

このような場合の典型として、根本原因の適切な分析が行われていないことが推測できますが、これは別のトピックとしましょう。

最近、元FDA担当者に、「製薬企業が有効な教育を行っているというデータの根拠や証言を示す資料として何を求め、何を以って適合との判断を下しているのでしょうか」といった質問をしてみました。その回答は、「根本原因である人為的要因の発生率が少しずつ低減され、安定していることです」というものでした。つまりこれは、査察で焦点になるのは、結果がベースになっており、教育関連の頑健なプロセスが構築されているかではないということです。


品質上の観点からみた傾向
ISO9000の旧バージョンでは、当初、教育ニーズの特定、教育の実施、記録の保管(適格性の一部として)に焦点が当てられていました。しかしながら、最新版では、力量及び教育の有効性に関する文言が追加されています。「6.2.2 力量、教育・訓練及び認識」では次のような記述があります。 

組織は、次の事項を実施しなければならない:
  • 製品要求事項への適合に影響がある仕事に従事する要員に必要な力量を明確にする。
  • 該当する場合には、その必要な力量に到達することができるように教育・訓練を行うか、又は他の処置をとる。
  • 実施した処置の有効性を評価する。

この文言は、規制当局と同様、ISO9000で注目すべき対象は、プロセスから成果へと移行していることを示唆しています。


過程から成果への移行
適切な担当者を対象に、妥当性のある教育が実行されていると示すプロセスや、文書化が整備されていることなどを証明するだけでは通用しません。こうした基本的な要件に翻弄されている企業も多いことかと思います。自身の業務や役割とは無関係な作業手順書(SOP)を読まなければならない状況に陥っている担当者に聞けば、きっとこの意見に賛同することでしょう。つまり、実施した教育に対する「有効性を定期的に評価」することが求められているのです。しかし、これは具体的には何を意味しているのでしょうか?

こうした規制上の要求事項をどのように解釈したらいいのか、役立つガイダンスがあれば良いのですが、残念ながら何もありません。定着しているカークパトリックの評価法を用いて、教育の有効性を測定することは可能です。カークパトリックの評価方法は優れたモデルですが、プロセスだけでなく成果においても整合性を確保することが求められる環境にどれだけ当てはまるでしょうか。施設レベル及び大規模な組織全体で教育を見渡し、「確かに整合性を確保しつつ、高い品質の教育を運用し、その結果として技能と適格性を有する人員を確保し、結果的に事業に対してより品質の高い成果(臨床データ、患者の安全性、医薬品など)を生み出しています」と言えるためにはどうすべきなのでしょうか?




何から手をつけたらいいかわからない方のために、教育の有効性評価へ簡単に適用できる方法をご紹介したいと思います。


教育の有効性への2段階アプローチ





教育の有効性の確保
組織は、教育の設計、開発、提供方法の最善策・事例における重点実施項目から教育の有効性を確保することが可能です。これはまさにQuality by Designアプローチであり、担当者が教育に参加するより前のタイミングで発生します。

  • 方法は?
成人対象の学習や教育の設計、開発、提供におけるベストプラクティスを標準の教育方法論に組み込むことで、組織は「適切なタイミングで適切な人員に対し、適切な指導者による適切な教育を実施し、その結果として適切な成果を挙げる」といった目標を達成することが可能となります。

  • どのようなもの?
Quality by Designアプローチの例を以下に示します。



*注:これはすべての教育プロセスの総合的な知見を示すものではありません。


教育の有効性の評価
組織は、教育完了後、教育の定期的なレビューを通じて、その有効性を評価することができます。

  • 方法は?
定期的な評価は、個々の施設レベルで実施されることが多いのですが、複数の施設を有する大規模なグローバル組織を見越した密接な連携のもとで実施することもできます。教育の有効性の評価は、担当者が教育に参加した後に実施し、特定の定期的レビューに位置付けることができます。

  • どのようなもの?
定期的レビューの実施については次のとおりです。
      • 選ばれた教育に対し監査を実施
      • レビュー結果を文書に記録
      • 教育の有効性確保のための継続的改善

重要事項:最低限実施しなければならない評価の定義
定期的レビューの実施前に、特に組織の拠点が複数の場合には、必要最低限実施すべき評価項目を明確にしましょう。 例として、教育の有効性を評価する施設/場所/組織が、最低限採用している評価方法を以下に示します。




個人的には、このように必要最低限の評価を用いることで、教育の有効性の是非を実感できると思っていますが、より多くのデータを示すための評価方法は他にもあります(フォローアップ評価、担当者の技能証明、年1回行う達成度(パフォーマンス)の評価など)。注意点としては、やりすぎないということです。

選ばれた教育に対し監査を実施
評価法を定め定期的レビューを行う準備が整ったら、どの教育を評価すべきでしょうか。私は、監査のアプローチを推奨しています。監査のアプローチでは、定期的レビューの際に、多大な労力を費やすことなく教育の有効性について、極めて正確な判断をすることができるからです。定期的レビューで実施例を挙げてみましょう。

1. 有効性の評価に合理的と思われる教育のパーセンテージまたは最小値を決定します。教育は、各種を織り交ぜるよう(最低ハイリスクやハイインパクトトピック向けの講師主導型の教育を1つと自修型教育を1つ等)にしてください。脚注:* Read and Understand (AKA Read & Sign) “Training” is not considered a self-study.

2. 最低限の評価にて教育の有効性を評価する。「担当者の評価完了」に関する2番目の測定に移りましょう。アプローチの例は次の通りです。

  • 選択された教育別に全セッションを通じた参加者総数の25%(あるいは、各組織で適切な割合)に対し評価スコアを抽出する。
  • 評価スコアをチェックする。
  • 次の考察を行う
    • チェックした担当者評価スコアの内、目標達成率について、達成期待値未満である割合は?この場合、組織のスコアから不適合状態であると考えられます。
    • 25%以上か
    • 特定の教育で不適合評価の割合が25%以上であれば、その理由を特定します。
    • 根本原因分析を行い、施設内でどのように、誰が、いつまでに修正するかについて文書に記録します。

必ずしもこの手順に従って評価する必要はありません。1つの例ですが、この例では、教育の有効性の評価が、部分的ですが見えるようになります。次のステップでは、監査や教育の結果、その後のアクションを文書に記録し、これらを用いて継続的改善プロセスへ反映します。

成熟した教育管理が有効性には必要
現実的に、教育の有効性には教育管理の成熟度が考慮されます。「教育の有効性を確実にする」という記載で、標準的な教育の方法があると言ったことを覚えているでしょうか?方法は、完全なものである必要はありませんし、フレキシブルであって良いのですが、一貫性と基準の採用が要求されます(例、維持に関する基準 – 担当者に期待する読み込み、理解する手順書の数の制限、教育時間の制限)。組織は、教育プロセスの完成度を十分に高める必要があります。最善の方法に繋がるような完成度の高い教育機能が欠けているにも関わらず、なぜ、教育の定期評価の構築に多大な労力を費すのでしょうか?そこからは常に同じ結果、つまり非効果的な教育が導かれるしかないのです。

【結論】
事前に十分な時間を費やし、教育の設計、開発及び提供を行ってください。これにより担当者は成果を挙げてくるはずです。教育の有効性を最も良く示す方法として、逸脱の減少になります。

教育の有効性を確保するうえで、成果に基づいたアプローチが欠けていては、担当者の業務レベルは向上・改善されず、品質もまた同じ道筋を辿ることになるでしょう。

法規制に関する参照- GMP


オーストラリア
Therapeutic Good Administration (TGA) - Australian code of good manufacturing practice for human blood and blood components, human tissues and human cellular therapy products Section 208.
「継続的教育を行うこと。 実践的有効性を定期的に評価すること。」https://www.tga.gov.au/book/personnel-and-training

European Union
The Rules Governing Medicinal Products in the European Union
Volume 4 – EU Guidelines for Good Manufacturing Practice for Medicinal Products for Human and Veterinary Use, Chapter 2: Personnel
Section 2.11 Training
“GMPの理論及び実践に関する基本訓練以外に、新規雇用人員は彼らに割り当てられた職責に対し適切な訓練を受けること。継続的教育を実施しその実践的有効性を定期的に評価すること。教育プログラムが準備されており適宜製造部門の長または品質管理部門の長のいずれか一方が承認していること。訓練記録は保存しなければならない。」

European Medicines Agency – EMA(欧州医薬品庁)
COMMISSION DIRECTIVE 2003/94/EC, Article 7
Personnel
「人員は、特に品質保証及びGCPについて必要な場合は、治験中の医薬品の製造のための特定の要求事項に関し、その概念及び適用について、導入時または実施中教育を受けること、そして教育の有効性について検証すること。」

Health Canada(カナダ保健省)- GMP
C.02.06 Personnel
1. 「継続して行われる教育の有効性を定期的に評価すること。」

World Health Organization(世界保健機関)(WHO)
WHO – Annex 2 - WHO good manufacturing practices for pharmaceutical products: main principles
Section 10: Training
“10.2 GMPの理論および実践に関する基本訓練以外に新規雇用人員は割り当てられた職責に対し適切な訓練を受けること。継続的に訓練も実施し、実効性は定期的に評価されること。承認された教育プログラムが準備されていること。”


著者のご紹介
Holly Deiaco-Smithは、企業診断に関するコンサルティングを20年に渡って従事してきた経験により、クライアントの皆様がさらなる成功を実現させるために、改善の支援を行っています。Big 4でAccenture及びIBMグローバルサービスのコンサルティングを経験し、最善方法論、最先端の実践手法、クライアントコンサルティング業務に関する基礎を築きました。Holly女史は、教育的技術でMSを取得、Six Sigmaに精通し、 Myers-Briggs Type Indicators Steps I & II.の管理及び解釈の認定を受けています。
戦略的な計画、工程改善など、主に、最先端の実践手法、組織改革、大人を対象にした学習の設計・開発と行動変化管理などの経験を有しています。企業にとって、優秀な人材開発の必要性が必須となっている現在、クライアントの学習戦略における定義や改善の支援を行っています。
クライアントと共に共同で考えるユニークな手法と管理改善への注目度の高さによって、秀逸なサービスと結果を提供しています。お問い合わせは、610-871-2316 またはhjdeiaco-smith@hdsconsulting.comをご利用ください。HPアドレスwww.hdsconsulting.com


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2016年8月24日水曜日

Quality Managerが品質文化を創造する6つの方法

「品質」に対する共通認識を持つことが、品質文化を育てる唯一の方法です
Beth Pedersen
Marketing Communications Specialist, MasterControl Inc.


Quality Manager(品質責任者)は、非常に大変な役割です。製品やサービスのライフサイクル全体において、一定の品質と安全性を確保する責任があり、様々な経験や知識を駆使して、対応することが求められます。その為、日々の業務も、品質に関わる様々な分析や測定、評価といったことが中心となり、食事中など勤務時間外でも品質のことを考えているといった方も少なくないと思います。そのような多忙な毎日が続いていくと、品質について熟考する時間も取りにくいかと思いますが、本稿では、言葉の基本に戻って、顧客からの要望や義務といった見方ではなく、本来の「品質」の概念について、検討したいと思います。


まず、「品質」の意味に注目してみましょう。「品質」という言葉には数多くの定義がありますが、American Society for Quality(ASQ)における定義は以下の通りです。

個人またはセクターで独自の定義が存在する主観的な言葉。専門的な利用方法としては、次の2種類が挙げられる。


       1. 明示または黙示のニーズを満たすような性能に関わる製品またはサービスの特徴
       2. 欠陥や不備を伴わない製品またはサービス


Joseph Juran氏によれば、品質とは「使用する上での適合性」であり、また、Philip Crosby氏は「要求事項への適合性」としています。

欠陥や不備を伴わない高品質の製品及びサービスを届けるためには、組織的な努力を結集させる必要があります。しかし、品質という用語に「個人やセクター独自の定義がある」のであれば、どのようにして一貫した品質を確保できるでしょうか。ASQ 及び Forbes Insights*1の調査では、品質文化の必要性が指摘されており、品質について組織で共通の理解を深め、共通言語で表現し、全従業員が品質重視の行動を取るといった環境を備える必要性があります。


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企業文化を変えることは容易ではなく、一人で実現できるものでもないですが、品質文化へと大きく踏み出すためにできることを、いくつかご紹介します。


1. 品質について定義する

品質という言葉には、上述のものを含めて数多くの定義があります。一番重要なのは、社内でどのように定義するか、あるいは顧客が品質をどのように定義するかということです。品質の意味について他部門の責任者と意見を交わし、品質を定義してみてください。可能ならば、顧客ニーズや顧客にとっての品質とは何かについて、顧客とのコミュニケーションを図ってみてください。もし無理であれば、顧客情報を見直して顧客の立場に立ってみるとよいでしょう。既に組織における品質が定義されている場合には、従業員への周知を徹底し、職務ごとに品質が持つ意味とは何かを社員と話し合ってみてください。

品質の定義が定まったら、企業全体の目標や価値観が要約されている短文で覚えやすい理念を作成しましょう。頻繁にこの理念を復唱し、これを指針として業務にあたり、従業員にもこのやり方を推奨してください。理念の例をいくつか挙げてみましょう。「我が社における最優先事項は品質です。全社員が責任をもって実行します」や、「品質とは安全で効果的な製品を届けることであり、我々の原動力です。」品質の定義や理念は、単に標語にすればよいというのではなく、説得力があることが大切です。 


2. 従業員の手本となる

従業員や組織に備わってほしいと思う品質を、まずはご自身が実践してください。自らの仕事やチームに誇りを持つことです。他者に一定レベルの品質を求めるのであれば、自身も同様の高い基準を保つ必要があります。周知の事かもしれませんが、従業員の手本となるということは、効果的なリーダーシップ術のひとつであり、驚くほどの変化をもたらします。従業員と同様、管理者も変革(品質への取り組み方の変更)に抵抗を感じることがありますが、それでも品質への取り組みの強化に挑戦してみてください。そしてチームにおける変革を決して軽視しないようご注意ください。もっと正確に言えば、変革に誠実に取り組み、それが個々の職責にどのような意味をもたらすのか、従業員との率直なコミュニケーションが欠かせないのです。

品質を取り締まるのではなく、生活の一部にするのです。各部門の取り組みは会社のために役立つことをなすためであるという確固たる信念を管理者が持つことで、社員は企業の品質の定義や目標を信じ、納得できるようになるのです。単に管理能力だけでなく、管理者の指導力というものが、社員が正しいことを正しく行うことへの後押しとなります。なじみのある古い格言に「有言実行」とありますが、まさにその通りなのです。


3.品質に対する動機づけや「ゲーム感覚」での取り組み

品質改善の取り組みへのアイデアを集めるために、小規模でも切磋琢磨する場を設けてみましょう。評価を行い、実行できる可能性が最も高いアイデアや事業への影響力が高いと思われる内容を提案した従業員あるいは部門を表彰するとよいでしょう。提案されたアイデアや評価結果は社内で発表します。こうすることにより、品質に関する意識を公に称賛できるだけでなく、他の社員のモチベーションを向上させることができるのです。別の言い方をすれば、各々の業務や仕事ぶりの品質が、企業の品質目標にどのように貢献できるかということを全社員に問いかけることになる訳です。こうしたやり方は、品質を維持するために作られた規則を押し付けるよりも社員の心を掴み、品質に対する自覚を持つために、非常に有効な手段となります。

品質に対する「動機づけ」の手段には、品質評価基準に関わる社内表彰や認証制度、優秀な業績を残した社員を社員自身が直接推薦する機会を設けたり、社員個人への報酬、ボーナスの支給や昇格など、他にもいろいろあります。


4. 品質向上を目的とする要員の確保

Quality Managerの数多くの業務の中でも、雇用は重要なものだと考えられます。雇用という非常に大切な場面で、自社で成長を見守りたいような品質への価値観を既に身に着けた人材を選ぶ権限があるわけです。面接の際には、新卒であれば、品質を理解しているか、また経験者の場合には、前職における具体的な例を挙げてもらうなど、品質に関連する質問をいくつか訊ねてみてください。

入社時の会社説明では、品質に関する企業の方向性、価値観や目標を説明してください。企業にとっての品質の重要性や社内での品質の話題を中心に話すとよいでしょう。可能であれば新入社員教育の場に上級管理者も加わると、社内の様々な立場からみた品質の重要性が伝わると思います。


5. 「品質の共有化“Quality Share”」ミーティングの開催

一日、一週間、あるいは月に1度(スケジュール次第)、部門内の人員が集まり、出席者が順番に、品質に関する事象や部門にとって有益な経験談を報告する場を設けるとよいでしょう。例えば、業務関連、あるいは業務とは無関係なことでもかまいません。これは、品質に関連する事象を特定する訓練になり、品質の視点からの発想が身に付きます。業務と関係する品質の事象が共有できることで、費用負担を生むミスの繰り返しを回避することができるのです。部門内の人にとっては事象を聞く良い機会になるだけでなく、互いに学び合い、部門内で共有の土壌が認識できますし、認識の相違が見つかれば足並みをそろえる良い機会となります。時々、数分程度の会議を開催するだけでも、オープンで前向きな話し合いができ、他の重要な議題に発展する可能性もあるのです。


6. Lean Six Sigma認定

品質を考える際には、ビジネス運営を改革するための方法論で広く知られるツールを使うことも良いアイデアだと思います。リーン式哲学では、運営や文化、指導力について、無駄を排除し、顧客にとって価値あるものを強化する必要性を述べています。Six Sigmaでは、経営における管理能力や品質改善への取り組みに注目しています。いずれか一方あるいは両方の認定を受ければ、部門や組織全体に対して効果的な働きかけができるでしょう。

品質管理部門の管理者は、日々、品質(またはその欠如)に取り組んでいらっしゃるわけですから、品質の重要性はすでに気づいているはずです。企業では、品質プロセスへの取り組みや品質関連の規則や基準へ適合させるべく熱心に取り組んでいると思いますが、義務とされることを文化へ変更することで本物の利益が生まれるのです。品質の在り方を組織の一部とするために何ができるのか社内で考えてみてください。方針を僅かに変える、つまり、Quality Managerは品質を監視するものといった考え方から、管理者は積極的に品質を育てるものと考えを変えることで、品質管理の価値観の改変にどう役立つのか、実際に体験してみてください。


本レポートは、ASQ/Forbes Insightで発表された2014年に実施された調査に基づくものです。詳細はhttp://asq.org/culture-of-quality/にアクセスしてください。

[1] ASQ and Forbes Insights. “Culture of Quality: Accelerating Growth and Performance in the Enterprise.” http://asq.org/culture-of-quality/. Accessed December 31, 2015.


【その他の情報元】

CEB. “Building a Culture of Quality.”

HBR. “Creating a Culture of Quality.” https://hbr.org/2014/04/creating-a-culture-of-quality

LNS Research. “The Do’s and Don’ts of Changing a Quality Culture.”

LNS Research. “Quality Management Strategy: Building a Better Culture.”

ご自身の組織には品質重視の文化はありますか?皆様のコメントをお待ちしております。


著者のご紹介
Beth Pedersenは、マスターコントロールのマーケティングコミュニケーションスペシャリストで、Microsoft社やNovell社、NetIQ社、SUSE社、Attachmate社の企業向けソフトウェアに関する経験から、テクニカル分野及びマーケティングに関する執筆活動を行う。University of Wisconsin-Madisonでライフサイエンスコミュニケーション学士号、及びIT University of Copenhagenでデジタルデザイン及びコミュニケーションの修士号を取得。


本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。

2016年3月22日火曜日

品質監査:継続的改善への近道として


公衆安全衛生における唯一の方法、それは品質の確保です。
Beth Pedersen Marketing Communications Specialist, MasterControl Inc.


GxP規制対象の企業、またはISO認証を取得した企業であれば、監査の重要性は理解されていると思います。事業に関わる規制や基準は頻繁に変更される一方で、その変更点を常に理解し、順守する体制を整え、その状況を常に明示できるようにしておかなければなりません。

規制要件への対応や間近に迫った監査への準備に追われていると、監査組織が企業にもたらす価値を見失ってしまう可能性があります。そして、単純ですが、確認や評価を行わずにどうやって改善を実行することができるのかという、非常に重要な疑問にたどり着きます。

監査という言葉の響きは強力で、ポジティブなイメージが浮かびにくいものです。 監査とは、その性質上、問題点を洗い出す業務であり、問題点にはペナルティが課せられ、時には厳しい処分や費用を伴う場合もあります。監査の準備をする上で頭を悩ますのは、膨大な文書管理や証拠収集、署名や承認の入手、担当者の教育記録、関係部門の調整など、他にもまだまだあります。

監査がうまくいかなかった場合の影響などを考えると、監査のことを考えるだけでも恐ろしくなるのも当然です。Walt Murray氏は、マスターコントロールのQuality and Compliance Consulting (QCC) Services(業務コンサルティングの提供部門)のディレクターとして在籍し、25年以上にわたり442件の監査を実施し、監査における様々な状況を数多く経験してきました。


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その内のひとつの例を挙げましょう。監査対象のある企業は、既存の工場が新規OTC医薬品を製造する契約を締結済であり、製造開始前には、21 CFR Part 211に遵守した体制の確立が必要でした。監査の目的は、技術、製造、洗浄業務を評価すること(=新製品の生産)と関連していました。被監査企業がこうした業務活動の証拠や記録文書を提示できない時点で、Murrayはこの企業が監査基準をクリアすることができないことを悟っていました。

さらに事態を悪化させたのは、作業場が製造業務に適していないことでした。さらに、状況改善に向けた企業の対策を示す計画書が一切提示されなかったことも加わった為、Murrayは監査開始前に強制的に監査を中止しました。その結果、被監査企業と新規医薬品の製造委託契約を締結していた企業は契約解除を決め、数名の従業員が職を失いました。

ただ、信じられないかもしれませんが、Murray氏が関わった監査では、監査の始まりこそ前向きな状況ではなかった場合でも、最終的には圧倒的多数の企業で前向きな結果に繋がったとのことです。監査で指摘が見つかるということは、変更や改良、改善が義務付けられます。その為、監査に対する不安は、「監査」の特長の一つ程度に考えるべきです。

「大抵の人が監査を恐れる理由は、監査担当者が求めているポイントを理解していないことにあります」とMurray氏は述べています。「監査担当者は、常に、企業による規制の遵守及び適合能力のどこに不備があるかに意識を向けているのです。」


品質管理への道

1987年以降、国際標準化機構(ISO)がISO 9000基準を発令し、製造業者や他業種にとっても品質監査が最重要課題として位置付けられ、ISO、アメリカ食品医薬品局(FDA)、その他の規制当局において監査の重要性は高まり続けています。現在、ISO 9001、ISO 14001、ISO 13485、21 CFR Part 820、21 CFR Parts 210-211、21 CFR Part 606、OECD Principles of Good Laboratory Practice、ICH Q7 Good Manufacturing Practice Guide for Active Pharmaceutical Ingredientsなど(これらはごく一部ですが)、数多くの基準や規制が存在し、監査はその規制の下で品質評価や改善を実現するメカニズムとして機能しています。

確認や評価を実施し、最終的に判定を下すといった体系的取り組みの中隔が監査です。監査では、製品、サービス、試験、プロセスやシステムに主眼がおかれます。GxP規制対象企業やISO認証取得企業に特に関係する監査としては、特定の規制・規格などに対する適合性の監査と業務に対する監査の2種類が存在します。特定の規制・規格などに対する適合性の監査では、活動やプロセス、システムが特定の要求事項を満たしているかどうかを評価し、その結果はコンプライアンスや認証取得に直結します。 業務監査の着眼点は、組織が一連の規則を遵守しているかであり、規則の有効性、及び組織の目標達成における規則の適合性に注目しています。

監査の最終的な結果は、監査対象製品やサービス、アクティビティやプロセスに関連するシステムに関する所見、指摘事項、及び結論を含む報告書です。この報告書は、規制対応が確立されているか、あるいは改善を行うべきかが示されています。つまり、問題点を克服するチャンスとなるのが監査なのです。

後手の対応と分類される不適合報告や品質管理試験、顧客苦情処理、逸脱処理のような他の品質管理手法と比べ、監査は問題発生前に処理することができますし、さらに詳細な情報に基づいた判断をすることも可能です。監査にはこのような性質がありますので、恐怖の種以外のなにものでもないと捉えず、むしろ監査こそが継続的改善のチャンスであると認識すべきでしょう。

監査を通じて評価を行い、要件でなくても企業にとって有益なプロセスを理解することにより、現行プロセスの改善が可能となり、より適切なマネジメントや規制遵守にも繋がるので、監査は重要な管理ツールとなるのです。GxP規制対象企業やISO認証取得企業として、特定の規制・規格などに対する適合性の監査や業務に対する監査の結果が「適正」と判断されることが最重要であることは確かですが、「品質監査」を単に行政処分やFDAの監視リスト掲載を回避する方法と捉えるのではなく、企業が業務改善を行う上で、効果的な手段は監査の他にないと認識していただきたいです。


著者のご紹介
Beth Pedersenは、マスターコントロール米国本社のマーケティングコミュニケーション部門のスペシャリストです。マイクロソフトやノベル、NetIQ、SUSE、Attachmateといった企業のWebサイトで、技術やマーケティングに関する執筆活動を行っています。University of Wisconsin, Madisonでライフサイエンスコミュニケーションの学士号を取得し、IIT University of Copenhagenでデジタルデザイン及びコミュニケーションの修士号を修得しています。

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2016年3月9日水曜日

ISO 9001:2015:経営手法に対する特効薬として

管理業務の悩みで寝不足になってませんか?
ISO 9001:2015が助けになるかもしれません!?
Matt Leiphart
Cavendish Scott, Inc.


ISO 9001:2015は、管理職の方々の日々の悩みへの解決策になるかもしれません。新しいISO 9001の最大の変更点は、経営陣に対して、問題を未然に防ぐための取り組みを求めています。問題を回避するシステムが備わっていれば、経営者には安心感が生まれ、細かな配慮を行き届かせてシステムを育成することができますので、安心して眠ることもできるのです。

私も長年、管理職を務めた経験があり、組織の責任者というのは、常に次に挙げるような内容を考えているかと思います。

  • 目標達成
  • 大切なお客様の満足度の維持
  • 進捗状況の監視
  • 効果的な業務管理

目標を達成するということは、想定される結果を考慮しながら組織全体の方向性を定め、障害となりうる課題への対応を行うことです。ISO 9001:2015の第4.1項では、組織の目標、戦略的方向性や意図する結果を考慮し、目標達成に関連する組織内外の問題を特定することが述べられており、これを「組織目標(Organizational Context)」と呼んでいます。この分野において、不明な点が多かったり、発生している問題が不明確または対応中である場合は、経営者に不安を与える要因ともなります。

また、製品やサービスに影響を及ぼす顧客以外の利害関係者を特定し、彼らの要求事項を把握する必要もあります。経営面から考慮すると、こうした利害関係者は成功に欠かせない存在と認識されており、ISO 9001:2015第4.2項では、利害関係者の要求について記載されています。ISO 9001:2015は、経営者に対し、こうした利害関係者のニーズを満たす取り組みを支援する内容となっているため、経営者も安心して取り組むことができるでしょう。



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成功の鍵は、リスクベースの考え方にあります。組織目標や利害関係者の要求事項を理解するということは重要ですが、新しい規格の内容はそれだけに留まりません。組織固有の問題や要求事項、リスクやチャンスに対し、マネジメントシステムを整備していくことにあるのです。重要度に基づき取るべき行動を決定し、頑強な評価プロセスによって定期的なモニタリングを実施します。別のアプローチが必要となれば、そこで修正をします。第4項の評価については、第6.1項及び6.2項にも述べられていて、リスクとチャンスを明確にして目標を設定するとしています。現行のISO 9001が航海に必要な船舵のように方針が規定されているとするならば、ISO 9001:2015には、風向計やコンパス、地図、スピーカーが加えられ、より具体化された方法が規定されているということです。

次に、モニタリングの変更点についてお話しします。ISO 9001では常に、測定及びデータ分析に関する内容が用いられていましたが、新規格では全く新しい基準の概念が取り入れられています。モニタリングや測定、分析、評価における要求事項は、規格全体にわたって記載されています。2008年版と同様、要求事項が直接的に記載されている項目は第9.1項の1つのみです。2008年版とは異なるのは、2015年度版ではモニタリングや測定、分析、評価を行わなければならない対象について、別の項目でも規定している点です。第9.1項以外の要求事項は、25箇所以上ありました。以前は、「重要と判断する箇所をモニタリングし、測定を行う」としていた記載が、現行の要求事項ではより規範的であり、包括的かつ全般的な内容となっています。

運用管理に関しては、新ISO 9001で大幅に変更された点はなく、運用管理に関する細かな表現などが変わり、経営者をより支援する内容となっています。計画的、非計画的、いずれの変更もその管理に関する新しい要求事項があります。ISO9001:2015では、「知識(Knowledge)」を特定し、利用できるようにしておかなければならないこととしています。

「力量(Competence)」とは、今までトレーニングの考慮の際に注目されていたテーマです。コミュニケーションプロセスについては、より明確に要求事項が定義されています。アウトソーシングやコンサルティング、委託などの外部ソースからのサービス提供に対する管理についても、今回詳細に規定されています。不適合の管理については、不適合製品だけにとどまらず、「不適合の過程出力(nonconforming process outputs)」が含まれています。こうして強化された内容は、いずれも経営者にとって根本的な変更を求めるものでなく、2008版の盲点に着目した結果、現行の改定に至ったものとなります。それではここで、経営者の皆様の為のまとめ項目です。

  • 一歩引いて、全体像を眺めてみてください。そして、組織内外の課題のうち、意図した結果や目標、戦略的意図を実現する上で組織にとって役立つ、あるいは妨げるとなる可能性のある課題を特定します・・・できていれば、チェックマークをつけてください。

  • 組織が影響を及ぼす(または影響を及ぼす可能性のある)関係者を特定してください。このような利害関係者の要求事項を定義し、その利害関係者や要求事項がマネジメントシステムに関係するのか、意識的に判断して行く必要があります・・・できていれば、チェックマークをつけてください。

  • リスクやチャンスのうち、全体的な状況に影響を及ぼすものや、組織内外の問題、利害関係者の要求事項に関係するものを特定してください。 計画的にリスクに対し安全対策を講じ、チャンスを最適化した後に、リスクとチャンスに関するモニタリングの方法を決定します・・・できていれば、チェックマークをつけてください。

  • 作業方法は指定された手順に準拠し、関係周辺の管理を行ってください。やらなければいけないことを1つずつ着実になしていくだけです。予測できる変更と予測できないない変更をプロセスに組み入れておけば、逸脱があった場合も、要求事項で求められる水準を維持しつつ結果を得ることが可能です。・・・できていれば、チェックマークをつけてください。

結果に焦点を当てたマネジメントシステムでは、組織の重要度の高い利害関係者に着目し、運用管理やモニタリング方法も組み入れて追跡可能な状態となる(必要に応じて迅速に追跡を実施する)ことができるのです。あなたの最高責任者に是非お伝えください。快眠のために枕をオーダーする代わりに、ISO 9001:2015を是非お読みくださいと。


著者のご紹介
Matt Leiphartは、1992年以降、ISO 9001等、マネジメントシステム規格にかかわる業務に従事。 13年間、コンサルティング会社の代表を務め、マネジメントシステムの評価ではスコアリング方式を採用。第三者組織の監査役であり、審査機関のリーダーとしての管理理システムの監査技術のトレーニングプログラムをこれまでに数多くの人々に提供した実績を誇る。様々な経験を踏まえ、継続的な改善やビジネス目標達成のためのツールとして、マネジメントシステム規格を最大限に活用するといったユニークな視点に基づいたアイデアを提供。現在は、Cavendish Scott, Inc.で、附属書SL及びISO 9001:2015への対応に向けた新たなトレーニングプログラムを開発し、コンサルティングを行っている。

Cavendish Scott, Inc.は、30年以上にわたり、ISO 9001に関する規格のコンサルティング、トレーニングプログラム、監査に取り組んでまいりました。長期にわたり、規格が進化していくのを見ていると、検討中の規格がどのような方針で最終化されるのか、非常に楽しみです。弊社では、トレーニングプログラムやコンサルティングソリューション、監査、ギャップ分析、プロジェクトプランニングパッケージなど、クライアントの皆様をサポートするサービスを提供いたしております。経営者に向けたリスクベースの思考のメリットについての講習会も開催しております。
Cavendish Scott, Inc.は常に、正確で専門性の高い、効果的なマネジメントシステムソリューションの創造に励んでおります。杓子定規に処理するのではなく、皆様の企業が付加価値のある認証を獲得できることを弊社が保証します。詳しい情報はこちらから。

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2016年2月23日火曜日

プロジェクト完了後のシステム運用における4つの秘訣

ユーザーがソフトウェアを使い始めると様々な疑問が湧いてきます。
こうした疑問をすべて解決できますか?
Stephanie Jones
Senior Professional Services Consultant, MasterControl Inc.

2015年4月9日の記事では、スムーズなシステム導入を実現する上での8つのポイントについて、ご紹介させていただきました。今回は、導入を行った企業の担当者が去った後、システムを運用していく上でのポイントをご紹介したいと思います。

ユーザー、また導入サービスを提供する企業側の担当者として、何百件ものソフトウェア導入に携わってきた経験上、問題になりがちな課題が一つあります。それは、効果的なシステムとして作り上げるには、システムの導入だけでなく、システム運用にも注力し続けなければいけないという点です。


例えば、エンドユーザーが新しいシステムの利用を開始すると、システム管理者に対して質問が殺到することになります。システム管理者とはいえ、システム管理者向け教育は数か月前であり、またそのトレーニングでは想像を超える情報量を習得しなくてはならず、一生懸命理解しようとしてもほんの一部しか理解できず圧倒された経験がある方も少なくないと思います。ここでは、導入後最初の問題を冷静に対処できるよう、いくつかの提案をしたいと思います。

解決策①:問題を記録しカテゴリー別に分類
トリアージプロセス(緊急時に最善の作業をするため、緊急度に応じて優先順位を決める過程)を通じて、報告された全ての要求や問題を記録・分類します。分類はカテゴリー別に行いますが、関心の高いもの「HOT」か、そうではない「NOT」といった具合にシンプルにすべきです。「HOT」とは、事業を停止させるような内容であり、これ以外の場合は「NOT」に分類します。また、以下のようなサブカテゴリーを追加することで、より具体的に分類することも可能です。

1. 既知の問題(=解決策を既に知っている)
2. ユーザートレーニング関連
3. SOP関連
4. 未知の問題(=解決策を知らない)

 最初の3つのサブカテゴリについては何をするべきかご存知だと思いますので、関心の高いもの「HOT」のカテゴリーから対応を行い、時間があれば「NOT」の問題を対応していきましょう。



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解決策②:電話会議を活用
導入終了後の最初の2週間は、導入を行った企業の担当者やテクニカルサポートと、前述の「未知の問題」への対処方法について、電話会議をリクエストすることをお勧めします。このようなサポートを契約時の要件として含めることで、障害修正のスピードまで確約は取れないにしても、より密接なサポート体制を構築することが可能となります。また、時間の節約にも繋がりますので、フラストレーションが軽減できるかもしれません。

解決策③:導入担当者の出張サービスまたはリモートでのフォローアップ
落ち着きを取り戻し、ユーザーが新しいシステムに慣れてきたあたりで、導入担当者とのフォローアップを予定することをお勧めします。このフォローアップは、ユーザートレーニングであがった質問への回答、導入目的の再確認、未解決の「NOT」に該当する課題などへのサポートが目的です。この打ち合わせは、内容次第ではリモートまたは出張してもらう形が選択できると思いますが、少なくとも一日は必要です。

解決策④:自分自身で解決
マスターコントロールでは、お客様Webサイトなどを通して、ツールや教育資料、FAQ、お客様同士での意見交換フォーラムなどを提供しています。このようなサービスは他のベンダーでも用意されていると思いますので、導入プロジェクトの期間に限らず、活用をお勧めします。

今回、ご紹介したポイントは、ユーザーからの質問やリクエストの管理といった日々の業務に活用していただけたら幸いです。また、システム導入・運用に関連する進捗を経営陣にタイムリーに報告する上でも助けになると思いますので、全体として業務をスムーズにまわすことに繋がればと考えています。


著者のご紹介
Stephanie Jonesは、2011年にマスターコントロールに入社以来、導入コンサルタントとして業務に従事しています。企業システムに関する経験は30年以上にも及び、プロジェクト管理や業務プロセス分析、ソフトウェア導入、データ変換、コンピュータシステム・バリデーション、規制・規格対応など、多彩なスキルを有しています。実体験から得た彼女の専門知識は、特に製薬及び食品製造業で秀でており、非常に優れた問題解決力及び対人スキルは彼女の強みであり、企業規模の大小を問わず何百もの導入成功を実現しました。


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2016年1月18日月曜日

MFG DAY 2015: 米国製造業の動向に注目

David R. Butcher
Marketing Communications
MasterControl Inc.

近年、米国の製造業に対する国民の認識は変化し、製造環境は近代的になってきている一方で、知能、技術、能力が熟練していない労働者向けに設計された暗く、危険で、時代遅れの施設といった誤ったイメージが広く定着しています。

2015年10月2日に開催されたManufacturing Day (MFG DAY) 2015は、一般にも開放されたイベントで、製造業者を全米から集い、前述のような世間一般の製造に対するイメージを払拭するため、連携した取り組みの推進を目的としています。製造業の現状として、高性能な自動化技術や産業ロボット、3Dプリンターなどの高度な技術力や製造業で働く卓越した専門スキルをもつ技能者などを紹介し、広く世間に発信しています。

MFG DAYは年に一度開催され、国内製造業者によって会社訪問や工場見学、職業ワークショップなどのイベントが行われます。毎年10月の第一金曜日は、アメリカ、カナダ、メキシコ全土から製造者が集まり、地域住民や工業系大学とタイアップして、充実した需要の高い製造業キャリアの選択につながるべく、企業施設を公開したりワークショップなどイベントを開催したりしています。昨年、MFG DAY に開催された1,675件以上のイベントには約40万人の参加者が集いました。

MFG DAY の目的は、現代の製造業の可能性を広く世間に示すことであり、製造業に従事することへの関心度を高めることにあります。



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製造業は、米国経済にかかせない産業の一つです。米国では、製造業が年間2兆1000億ドルを生み出しており、これはGDP構成比で12.5%、1200万人以上の直接雇用者が雇用総数の8.8%を占めています。また、製造業に$1投資する毎に経済における付加価値は$1.37とのデータもあり、このような高い相乗効果を生み出すセクターは他にはありません。

強力な製造業が米国経済や雇用者数向上の土台となっているにもかかわらず、製造業への入職に関しては、概して他の産業より人気が低い状況が続いています。

Manufacturing Institute(MI)とDeloitte社が実施した6年間にわたる一連の調査では、「強い経済の維持に最も重要な国内産業は製造業である」と米国民は認識している一方、就きたい職業ランキングでは人気がないことが継続的に示されています。MIとDeloitte社による最近の調査(2015年)の結果でも、回答者のわずか37%しか子供を製造業に就かせたいと考えていないことがわかりました。

一方、業界に親しみをもつことが良い印象へと繋がることも、この調査結果で示されています。工業界をよく知る人は、製造業に対して好意的な見方をする傾向があり、製造業に子供を就職させたいと思う人の数は、製造業を知らない人に比べて2倍となっています。




MFG DAY運営組織委員会: Fabricators & Manufacturers Association (FMA)、National Association of Manufacturers (NAM)、Manufacturing Institute (MI) 及びNational Institute of Standards & Technology's (NIST) Manufacturing Extension Partnership (MEP)


【参照】

1) MFGDAY.com

2) Economic Policy Institute

3) U.S. Department of Labor

4) National Association of Manufacturers

5) The Manufacturing Institute and Deloitte

6) National Institute of Standards & Technology, Manufacturing Extension Partnership



著者のご紹介
David Butcherは、10年以上にわたり工業界のB2Bサイトでビジネスやテクノロジーに関する動向に関する執筆活動を行っている。現在は、MasterControl社にてマーケティング・コミュニケーション部門スペシャリストとして活躍。これまでに、ThomasNet News' Industry Market Trends 社で編集者やTechnology Marketing Corp.'s Customer Interaction Solutions社で編集アシスタントとしての経歴をもつ。ニューヨーク州立大学でジャーナリズムの学士号を取得


本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。

2015年7月14日火曜日

Why Do You Do What You Do? ~その仕事の目的とは?~


マスターコントロールの多くのお客様は、厳しい規制環境の中で、
重要な製品やサービスを世界中に提供しています。
Jon Beckstrand
CEO, MasterControl Inc. 

これまでに「何のためにその仕事をしているのか?」という質問を自分自身に問いかけたことはありますか?また、品質管理業務の手順やSOPに没頭している状況や、進行中のCAPAタスクに関する白熱した社内会議の中で、自らの業務の目的に疑問を抱いたことはありますか?

弊社がまだ従業員50名程度だった頃、自分自身にこのような質問を投げかけることはありませんでした。しかし、当時と比べ会社も大きくなり、世界中で事業を展開するようになった今、この質問の重要性が増しているように感じています。

また、TED(カンファレンス)で発表されたSimon O. Sinek氏の「ゴールデンサークル」に関するコンセプトを聞き、改めて、自分が取る行動の背景にある目的について考える機会にもなりました。Sinek氏は、人々は「何を(What)」ではなく、「なぜ(Why)」を重要視していると理論づけています(1)。

自社の企業目的は当然、常に認識していますが、「ゴールデンサークル」の影響もあり、近年では「目的やビジョン」の確立を特に意識して、取り組んでまいりました。2014年のMasters Summitにて、弊社の目的についてお話した際にも、お客様に上記の質問を投げかけ、私自身の考えを発表させていただきました(2)。

QMS分野におけるリーディングソリューションをお客様に提供することに、私たちがなぜ懸命に取り組んでいるのか?それは、お客様の素晴らしい製品の早期市場展開及び低コスト化実現に貢献し、こうした製品からの恩恵を一人でも多くの人々に受けていただきたいとの願いがあるからです。



本記事に関連する動画:『マスターコントロールとは?

厳しい規制環境下の企業

弊社製品をご利用いただいているお客様の多くは、厳しい規制環境の中で、重要な製品やサービスを世界中の人々に提供しています。その中で、Oil States Industries社やSynCardia Systems社、国際エイズワクチン推進構想(IAVI:International AIDS Vaccine Initiative)をご紹介いたします。

Oil States Industries社は、石油ガス産業の素材や掘削機器などの製造メーカーで、2010年に発生したBP社のメキシコ湾原油流出事故発生時に、海上の原油回収に使用された機器がOil States Industries社の製品です。

SynCardia Systems社は、人工心臓を開発している医療機器メーカーで、重症心不全に対して心臓移植までの生命を維持するために用いられる(完)全置換型人工心臓を製造しています。

国際エイズワクチン推進構想(IAVI)は、安全で効果的なエイズワクチンを世界中に普及することを目的に、リサーチャーとのパートナーシップによる臨床試験を実施する非営利団体です。

優れた製品を「より速く、より多くの人々に、より高い品質で」提供するという各企業の目的は、私たちの目的でもあります。このような重要な目的を達成する為、私たちの業務も、ソフトウェア開発や障害修正から、もっと大きなものへと発展することができます。


影響の大きさを認識

弊社のお客様が生産する製品を合計すると、推定で約280,000点に達します。こうした製品一つ一つのコスト引き下げ及び生産のスピードアップは、市場に大きな影響を与えます。医療機器メーカーのお客様で、変更管理プロセスを46日から6日に短縮した事例がありました。このお客様の製品は、毎日100名以上の新規の患者さんに使用されていたので、40日の変更管理プロセスの改善は、変更によって不具合や問題点が改良された製品が4,000名の患者さんに使用される問題を防ぐことに繋がりました。これは一例ですが、お客様と弊社の共同作業によって、世界中の多くの人々の生活に影響を与えることができます。

皆さんも、「なぜその仕事に携わっているのか」と自分自身に問いかけてみてください。ドイツの哲学者であるFriedrich Nietzscheの「He who has a why to live for can bear almost any how(生きることの理由を持つ者は、ほとんど、どのような類の「生き方」でも耐えることができる)」という言葉があります。自分自身の中で、業務の目的が明確になると、机上に山積みとなっている監査の指摘事項や、現在担当しているバリデーションプロジェクトに気力を失うようなことも軽減されるのではないでしょうか。


Jonathan Beckstrand
Jonathan Beckstrandは、University of Utahにて会計学修士課程、Brigham Young Universityにて法学部を卒業後、信用組合のソフトウェアシステム開発部門の法務部門としてキャリアをスタートし、その後、米国シカゴエリアのソフトウェア・ストラテジー・コンサルティング会社において、シニア・コンサルタントとして従事。その後、シリコンバレーに移り、KPMG社のM&A(企業合併買収)部門にてデューデリジェンスを担当(30社を超えるインターネットやテレコミュニケーション、ソフトウェア企業への買収、投資など)。Jonathan Beckstrandは、現在、米国ユタ州ITサービス組織の取締役会、ユタ州弁護士団にも所属しています。

2002年に社長兼CEO(最高経営責任者)に就任してから、マスターコントロールの成長力は勢いを増し、様々な新しいソリューションをリリース、社内外問わない革新を推進し、規制対象企業への品質マネジメントシステム(QMS)向けソフトウェアとサービスのリーディング・プロバイダーとしての地位を築きました。


2014年Masters Summitにおけるプレゼンテーションはこちら


参照

(1) Simon Sinek is the best-selling author of “Start with Why: How Great Leaders Inspire Everyone to Action.”

(2) The Masters Summit is MasterControl’s premier educational conference for customers. Nearly 400 people attended the seventh Masters Summit, held on Oct. 8-9, 2014, at the Snowbird Resort in Utah.

本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。

2015年6月9日火曜日

ISO 9001:2015 改訂版に向けた5つの取り組み


ISO 9001:2015への対応が必要となる企業のみなさま、
移行計画は万全ですか?

Terrance Holbrook
MasterControl Inc.


品質マネジメントシステム(QMS)規格であるISO 9001:2008は、今年後半に予定される改訂版ISO 9001:2015の発行に伴い、大きく変更されることが発表されています。この改訂では、構成及び基本要件の変更も予定している為、既にISO 9001を認証済みの企業に限らず、新規認証を計画している企業にとっても重要です。


改訂版の要求事項にスムーズに対応する準備は万全ですか?
また、これらの要求事項を積極的に捉え、変更という課題をチャンスに変える自信はありますか?

ISO 9001:2015のDIS版(国際規格案)によると、他のISOマネジメントシステム規格との整合性を高める為に、新たな上位構成が使用されています。また、マネジメントシステムの基礎として、リスクベース思考がさらに強調されている点、企業及び顧客の成果達成が重視されている点、文書化に関する要求事項が緩和されている点、ならびにトップマネジメントのコミットメントや関与に関する要求事項が強化されている点が主な変更点となります。

多くの規制関連の専門家やアナリストの間では、上記及び他の変更点による相乗効果によって、2008年のアップデートよりも一層重要な意味を有し、ISO 9001:2000と同様のインパクトをもたらすであろうと評価されています。






もちろん、変更が脅威となることも想定できますし、その管理が困難な場合もあります。しかし品質管理の担当者が変更点を効果的に管理することによって、苦痛が軽減され、変更を受け入れやすい雰囲気がつくり出されますので、効率よく新たな「通常業務」状態に移行することが可能となるのです。

改訂版への移行が必要な企業は、変更への対応規模がQMSの成熟度や組織体制の効果・効率など、さまざまな要因により影響を受ける可能性があります。しかし、変更の管理が重要な鍵となることは、すべての企業に共通しているのです。

変更管理とは、変更に対処する組織的な活動であり、ISO/DIS 9001の要求事項の1つです。QMSの変更が必要な場合、計画的かつ体系的方法で、変更を実施することが定められています。

全ての業種や企業で採用できる方法は例にないですが、導入後にカスタマイズすることで、その管理能力を高め、好機を見出すことは充分可能ですので、その方法をご紹介いたします。

【1】変更点の反映
改訂版への移行を障害として捉えるよりも、既存QMSのシステムを強化できるチャンスと考えてみましょう。これはリスクベース思考がISO/DIS 9001でより重視されていることからも、ヒントを得ることができます。リスクは一般的にネガティブなものとして理解されがちですが、リスクベース思考では、チャンスとして捉えることができます。すでに成功を収めている企業では、直観的にリスクベースアプローチを採用していることが多いのです。これは予防という観点からの事前対策や継続的な改善といったメリットに着眼したものとなります。品質管理の担当者である皆様も、改訂版の要求事項への対応は、業務の最適化及び優れた結果を生み出す過程であると考えましょう。

【2】変更点の共有
一般的に、変更管理を効果的に運用している企業では、早い段階から明確かつ頻繁に、今後の変更管理に対する取り組みの予定や目標、目的が社内で共有されています。各自が業務及び自分自身が受ける影響を把握し、可能な限り移行を合理的に進められるように、移行計画の当初からその手順を認識していることが重要です。もちろん、良好なコミュニケーションとは単に伝えるということではなく、コミュニケーションが双方向であること、関連するすべてのフィードバックに耳を傾けていることが重要となります。こうすることで、変更によるスタッフへの影響に注意を払うことが大切なのです。

【3】従業員の協力
従業員が非協力的な場合、通常でも困難とされる変更管理に対する取り組みが、より一層、難しくなりがちです。しかし、従業員が積極的に取り組むことによって、よりスムーズな移行が実現できます。様々な部門からの声に耳を傾け、早い段階で従業員の専門知識を活用することによって、企業により多くのメリットをもたらすことができます。従業員及び中間管理職は、技術面からの業務知識、潜在的障害及び顧客ニーズに関する知識を備えた重要なリソースです。ISO/DIS 9001では、QMS運用に対するトップマネジメントの積極的な関与が要求事項として増加しており、従業員の協力は特に適切だと考えます。

【4】適切な教育訓練
変更に適応する為には、新しいプロセスに精通することやスキルの熟達が求められます。その点で従業員の教育訓練は効果的な方法であり、変更点や必要なコンピテンシー(能力)についての知識を構築することができます。効果的な教育訓練を提供することにより、変更に対する従業員の不安が緩和され、トップマネジメントとしても、変更を通じて従業員の統率をことに加え、新たなプロセスや役割、そして新しい発想へ、シームレスな移行が可能となります。

【5】段階的な変更  
本年後半に予定される発行から3年間を移行期間とし、既存のISO 9001認証をもつ企業は、2018年後半までにISO 9001:2015の認証を受ける必要があります。変更管理は業務プロセスの一つですので、いくつかの段階を経て実施することもあるのです。改訂されたすべての要求事項を一度に満たす対応より、新しいプロセスや手順、責務を徐々に導入することによって、大きな改訂に対するショックを和らげることができます。つまり変更管理の取り組みの行き詰まりや失敗を経験するよりも、影響を最小限にとどめ、効果的に変更管理を行うことが可能となるのです。

【結論】
ISO 9001の改訂案に伴う主な変更点を適用する時期としては、まだ早いといえますが、改訂プロセスをモニタリングし、提案されている主な変更点の熟知に努め、変更管理プロセスの策定に取り組むことが推奨されます。

BM TRADA(独立品質保証サービス提供機関)が技術情報誌に掲載した内容では、「改訂版への移行プロセスを開始するのは今」であると記されています。「社内の計画策定及びその伝達・連絡は現時点で開始すべきであり、必要に応じて既存の品質マネジメントシステムの修正に必要となる準備を開始します。トップマネジメントは新たな責務を把握し、社内の監査担当者は、改訂版に対する評価を実施する為の準備を整える意味で、教育訓練を受けることが必要となります。」

内容が確定し、改訂版が発行された後、企業では認証取得に向けて、QMSに必要な調整を加えていくことになります。つまりプロセス及びシステム関連文書の改訂を行い、改訂版の要求事項を満たすように対応を進めていきます。まずは実施計画を策定し、上述の手順を考慮することから始めてみてはいかがでしょうか。



Terrance Holbrook
マスターコントロールの医療機器業界向けSenior Product Managerであり、製品の設計、開発及び製品の特徴や機能に関するマーケットリサーチを担当しています。2014年にマスターコントロールに入社する以前は、包装やラベル関係の製造業者の事業運営担当の副理事長を務めていました。製造業における経験は18年以上、医療機器の商品開発においては6年の経験を有しています。Certified Six Sigma Black Belt及びISO 9001:2008 Lead Auditorに加え、リーン生産方式(Lean Manufacturing)及びTQM(総合的品質管理)の資格も保有。Project Management Institute (PMI)のメンバーです。Kaplan Universityでは経営管理学の学士号を修得、Westminster College Gore School of BusinessではMBAを修得しています。


【参照】

(1) "ISO 9001 Quality Management Systems Revision," International Organization for Standardization. http://www.iso.org/iso/iso9001_revisionhttp://www.iso.org/iso/iso9001_revision

(2) "Technical Bulletin: ISO 9001:2015 – Introducing the Changes," BM TRADA, November 2014. http://www.bmtrada.com/getmedia/0e0d4c99-558a-47b0-96c1-1d7de3b2f5ba/ISO9001-2015-Introducing-the-changes.aspxhttp://www.bmtrada.com/getmedia/0e0d4c99-558a-47b0-96c1-1d7de3b2f5ba/ISO9001-2015-Introducing-the-changes.aspx

(3) "Transition Planning Guidance for ISO 9001:2015," International Accreditation Forum, January 2015. http://www.iaf.nu/upFiles/IAFID9Transition9001PublicationVersion.pdfhttp://www.iaf.nu/upFiles/IAFID9Transition9001PublicationVersion.pdf



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2015年4月27日月曜日

教育管理で発生しがちな5つの問題点

Cindy Fazzi
MasterControl Inc.


多くの企業では、品質の概念は電子的な方法ではなく、主に紙媒体で明示されていると思います。あなたならどちらの方法を使用しますか?

規制対象企業である場合、品質基準を書面で掲げているだけでは不十分だということはご存知だと思います。実際に実施し、日々の業務への統合が必要であり、また、監査機関に対して基準や方針が正しく機能していることを証明しなければなりません。

製品管理ディレクターであるMasterControl(1)のDave Hunter氏の言葉を借りれば、「教育とは、品質を理論から現実へと転換させる一助となるものなのです」。
「効果的な教育は企業の品質管理戦略上の基礎部分となるもので、多くの品質問題の発生を防止するものとなるでしょう」。

それでも、大部分の規制対象企業において、品質は教育にではなく、紙を基本とした方針、SOP、作業手順書、マニュアルやその他に表現されています。

規制対象企業と長らく仕事をした経験から、Hunter氏は教育管理における5つの問題点を挙げています。これらの問題点は、自動化されたシステムを採用していない企業で拡大されてしまいます。



                                              
本記事に関連するホワイトペーパー
How Effective Training Management Can Help You Prevent Quality Issues. 


【1】規模と複雑さのマイナス影響

企業には、通常、その事業のさまざまな領域のSOPが定められています。例えば、企業に100人の従業員に適用される12のSOPが定められている場合、このグループの従業員だけで合計1,200もの教育タスクがあることを意味します。更に企業が紙ベースまたは複合型(一部紙媒体及び一部電子媒体)または自社製システムを使用する場合には、この労力は二倍となります。電子メールによる教育資料及びタスクの送信、スプレッドシートによる出欠及びタスク完成の追跡、対面やオンラインによる教育や試験の実施といった作業が伴います。

2】教育に繋がっていない文書改訂

通常、文書やプロセスが変更されると、更新したプロセスに対する再教育が必要となります。文書改訂手順が教育管理に繋がっていない場合、問題を見逃しやすくなり、従業員が旧SOP、マニュアルやその他文書の理解に基づいて職務を遂行してしまう可能性があります。この問題は、文書改訂と教育管理に紙ベースのプロセスまたは異種のシステムを使用する企業で一般に起こりがちです。

【3】不必要な事務上の負担

教育コーディネータは、通常、カリキュラムの作成と準備、教育プログラムの実施を行っています。手動のプロセスでは、大部分の時間とエネルギーが、教育管理の分配、フォローアップ、エスカレーション及びトラッキングに費やされます。また、これと同じくらいの時間が、試験実施、結果の検証、教育管理完了のトラッキングに費やされます。

4】監査及び査察の準備ができていない点

顧客または規制当局担当者による監査の観点から、教育に関し最も重要視されることは、規制に対応する教育記録をとっているかということです。監査員が組織図を見て、無作為に従業員の教育記録の提示を求めた場合に、準備ができていない企業が多く見受けられます。

【5】効果的ではない適格性評価

適格性の評価には注意が必要となる部分があります。多くの企業は、教育プログラムの本質をとらえるテストの作成や実施という点で失敗しています。手動のシステムでは、教育コーディネータは、日常的な業務に大きな労力を費やしているため、カリキュラムの内容に集中する時間がほとんどありません。


【教育コンプライアンス】

教育は、製品品質と安全性に欠かせない要素となっています。だからこそ、さまざまな基準及び規制(製薬企業向けFDA 21 CFR Part 820.25、医療機器メーカー向けFDA 21 CFR Part 820.25及び一般製造業者や他の企業向けのISO 9000 2000)では、良質な管理システムの一部として教育が要求されるのです。

企業がゼロから教育管理を確立しようとしているか、既存のプロセスを改善しているかどうかに関わらず、教育要求事項を全体のコンプライアンスや経営目的と統合しなければなりません。手動または自社製のプロセスを使用している場合は、自動化したシステム(2)への切り替えをご検討ください。教育の土台を選択する際に、最新技術をご活用ください。教育管理の確立及び維持に費やす時間、労力及びリソースは、長い目で見ると作業に付加価値を与えるものです。


【参照】

(1)Dave Hunterは、2002年にMasterControlに入社。彼の広範囲な技術経験は、マイクロソフト、ED、インテル及びTenFoldなど20年以上にも及ぶ。Brigham Young Universityから電気工学学科学士号及びMBAを取得。

(2)MasterControl Training及び教育管理の自動化及び合理化について詳細をお読みになりたい方は、http://www.mastercontrol.com/training_software/にアクセスしてください。


Cindy Fazzi
MasterControlユーザーを対象とするMasterControl Insider(毎月発行)のエディターを務める。主にライフサイエンス業界及びその他の規制対象環境について執筆。オハイオ及びニューヨークのAP通信社における経験は、新人ニュースリポーターから始まり、ライター及びエディターとしての20年に及ぶ。Ohio State Universityのジャーナリズム学科で修士号を取得。



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2015年4月20日月曜日

リスク管理結果の評価

Rod Farrar
Director, Paladin Risk Management Services


Dr. Alan McLucasの著書「Decision Making:Risk Management, Systems Thinking and Situation Awareness(意思決定-リスク管理、そして状況認識)」からリスク管理のパラドックスについての概念をご紹介いたします。

「効果的なリスク管理業務というのは、典型的なパラドックスに振り回されてしまうものです。つまり、日常的にリスクが効果的に管理されていると、不測の出来事は非常に稀にしか発生しません。そのため慎重なリスク管理行動がどれだけ効果的であるかについて、誰も気付かないものなのです。管理担当者の肩をたたいて非常によくやったとは誰も褒めてくれません。しかしその正反対に、十分にリスク管理されない場合、一同が異口同音に非難するのです。」

組織のリスク管理者とは報われない業務である---きっとそんな風に感じたことがありますよね?

このパラドックスは、非常に重要な2つの見解をもたらしています。まず、なにより明白であるのは、組織のリスク管理担当者であるということは、報われない業務を行うことだということです。お褒めの言葉を頂戴することなど滅多にないことですし、逆に成果が結果通りに得られない場合には、最初に厳しい目にさらされるのです。第2の見解として、組織は、リスク管理の成果やリスク管理が組織に与えている価値の評価に慣れていないと考えます。

リスク管理が組織にもたらすメリットを評価することは難しい課題であります。こうした難題の解決には、リスク管理の実績評価にあたり広範囲な要素を考慮する必要があります。
評価は次の3つの分野に分けられます。

a.法令順守:組織が自社のリスク管理方針の指示に従っているかについて評価。

b.定着度:業界のベストプラクティスに対する組織のリスク管理プログラムの定着度を評価。

c.付加価値:組織の目的の達成度及び成果の一因となっているリスク管理の貢献範囲を評価。



本記事に関連するホワイトペーパー:



【法令順守】

組織のあらゆるプログラムと同様、リスク管理プログラムも順法監査の対象となります。この監査は、組織のリスク管理方針に詳述される基本的な要求事項の順守を確実にすることを目的としています。

一部の組織では、リスク管理方針の順守に関する評価は単なる評価にすぎません。リスク管理プログラムの実績を方針の順守に限定しているような場合には、根本的な欠陥があるのです。

リスク管理方針の要求事項すべてを100%順守しているものの、リスク管理が効果的な成果を生じていないケースも実際に考えられるため、注意する必要があるのです。


【定着度の評価】

組織のリスク管理体制の確立における第一ステップは、既存の管理プロセス及びシステムを評価することです。組織のリスク経営管理プロセスの現状を理解するのに最も有効な手段は、リスクマチュリティ評価を実施することです。

Paladin Risk Management Servicesが実施した評価結果を以下に示します。

組織は、リスクマチュリティに関する経時的変化の向上に取り組むべきだと考えます。






【付加価値】

法令順守及びリスク管理プログラムの定着度の評価は絶対的に不可欠なものである一方で、リスク管理が組織の目標達成の一因となっていることに多くの組織は関心を示していません。

皮肉なことに、組織で現在評価されているリスク管理の実績を示す評価基準を使用すれば、リスク管理の貢献度を把握することができるのです。

組織がリスクマチュリティの改善を継続的に行う場合、こうした評価基準に基づく実績も向上していきます。直線的関係を得られることは決してありませんが、リスクマチュリティが増大すれば結果的に実績も向上します。

次の図は、これを可視化した数値指標です。












これらの図表を具体的に説明すると、組織がリスクマチュリティを基準に従って評価する際には、同時に実績の評価に対しても基準に従って評価する必要があるということです。

しかしながら、これは精密科学ではないため、直接的に関係性を証明するのは不可能であることを理解しなければなりませんが、リスク管理の改善と実績の向上には非常に良好な相関関係が明らかになっています。

リスク管理の成果を評価する場合、これこそが企業が最も強く望んでいることなのです。

(※Paladin Risk Management Servicesから著者の許可を得て複製。)


この情報を使用する方法について:
LinkedInフェイスブックに投稿し情報を共有する。
下記にコメントを残してください。
rod@paladinrisk.com.auまでコメントをお寄せください。


Rod Farrar
オーストラリアでリスク管理に関するトレーニング及びコンサルティング・サービスを提供するPaladin Risk Management Services社のDirectorを務める。Paladin社の主要なトレーニングであるDiploma of Risk Management and Business Continuity、Advanced Diploma of Governance, Risk and Complianceには、オーストラリア全域及びインドネシア、ニュージーランド、パプアニューギニア、ソロモン諸島から300名以上が参加する。連絡先:rod@paladinrisk.com.au


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