2018年1月10日水曜日

FDAガイダンス データインテグリティに関するQ&A


FDAは、データインテグリティに関する違反が
著しく増えていると認識しています。
David Jensen
Marketing Communications
MasterControl

データインテグリティに関するcGMPの違反が急増しており、FDAは注視しています。そのため、当局は、この問題に焦点を当てたQ&A形式のドラフトガイダンス “Data Integrity and Compliance with cGMP(データインテグリティ及びcGMPコンプライアンスに関するガイダンス ).” を作成しました。このガイダンスの目的は、よくある質問の回答と、医薬品製造におけるデータインテグリティの役割について明確にすることです。

しかし、ガイダンスの内容は推奨事項に留まり、要求事項ではありません。
規制下にある企業(特に紙ベースで管理している企業)にとっては、難しく思えるかもしれませんが、紙媒体記録は、廃棄や紛失が容易であるため、管理問題がFDAから指摘されることがよくあります。その他にも、組織でのブランクフォームの取り扱いや監査証跡などの問題があり、こうした問題に対しては、エンタープライズ品質マネジメントソフトウェア (EQMS)を採用することにより、ガイダンスに準拠した業務が可能となります。
今回は、ガイダンスへの質問に対するFDAの回答を要約しながら、EQMSの導入による業務改善への効果をご説明いたします。

#1 FDAではデータインテグリティをどのように定義していますか?
薬事監査でよくあるのは「文書化されていなければ、実施されていない」という指摘です。これは、データインテグリティに関するガイドラインで、さらに詳しく記載されています。「データは、Attributable(帰属性)、Legible(判読性)、Contemporaneous(同時性)、Original(原本性)あるいは真の写しであり、Accurate(正確性)であること(ALCOA)が求められています。要するに、FDAはデータの信頼性と正確性を提唱しており、企業がデータインテグリティのリスクを管理するためには、有意義かつ効果的な戦略が必要なのです。



Companies need to implement meaningful, effective strategies to manage data #DataIntegrity says @MCMasterControl http://bit.ly/2nNb8o6



#2 メタデータとは何ですか?
メタデータとは、データを理解するために必要な前後関係を示す情報であり、データについてのデータと評されます。例えば数値の“3”は、単位の“mg”という追加情報がなければ、それ自体は意味を成しません。関連性の意味から、文書ではタイトル、著者、日付/時間のタイムスタンプなどを伴うことが求められます。メタデータは、データを類型化したり、説明したりする構造化された情報であり、検索や使用、管理を容易にするものです。
完全性を確保する目的において、文書のメタデータ変更に関する追跡及びレビューが可能であることが求められます。メタデータが変更される場合には、常に、変更理由を入力してデータがアップデートされるようにします。EQMSを用いることで、よくある改定プロセスにおけるメタデータ不一致という問題が解消されます。文書が改定される場合に、文書番号、改定番号、文書の基本的情報であるメタデータが変更されると、メタデータ情報もアップデートされるのです。

#3 監査証跡とは何ですか? 
監査証跡とは、電子記録の生成、修正、削除に関する経過の再現を可能にする、安全性が確保され、コンピューターによって作成され、タイムスタンプのついた電子記録と定義されています。監査証跡は、記録の「いつ、誰が、何を、なぜ」の履歴のことです。
EQMSでは、すべての変更を自動的にトラッキングします。更新前のフィールド値、変更日時、変更者名、変更理由が記録されますので、監査証跡に必要な情報はすぐに利用できる状態となります。

#4 電子コピーは、紙ベースまたは電子記録の正確な複製物として使用することはできるのですか?
ガイダンスでは、電子コピーを紙または電子記録の正式な複製物として使用可能であるとしています。ただし、その電子コピーが関連するメタデータを含み、もともとの記録の静的または動的性質を保ち、オリジナルデータの内容や意味を引き継いでいることと定められています。製造業者は、紙の印刷物または静的記録を維持することが認められていますが、電子記録の中には動的記録もあるため、印刷物や静的記録ではオリジナル電子記録の動的内容は保存されていません。このような場合、FDAはcGMP要件を十全に満たしていないと判断するでしょう。
EQMSでは、関連するメタデータを含むオリジナル記録を保持します。EQMSで記録を保存する場合、無期限または一時的な記録の保管を目的にEQMSを構成することが可能です。必要があれば、削除したデータ復元することもできます。



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#5組織のコンピューターの各ワークフローはバリデートされている必要がありますか?
ガイダンスでは、製造および管理記録原本(MPCR)といったワークフローは、バリデーションを通じて、コンピューターシステムの目的と一致するものであるかを確認し、コンピューターシステムのバリデーションの際には、その使用方法についてもバリデーションを行わなければ、ワークフローが正しく機能しているか判断できないとされています。
バリデーション経験にもよりますが、EQMS導入により、バリデーションプロセスのスピードアップが図れます。バリデーションプロセスは手動で行うことも可能で、社内構築システムを使ったバリデーションにかかる時間を短縮することができるのです。

#6 cGMPコンピューターシステムへのアクセスはどのように制限されるべきですか?
コンピューター化されたMPCRや他の記録の変更、及び電子記録へのラボデータの入力は、権限を与えられた個人に限定する必要があります。FDAは、可能であれば、仕様、プロセスパラメータ、製造及び試験方法(例:設定またはデータの変更制限の許可)の変更権限を制限するテクノロジーを導入することを推奨しています。
EQMSでは、自動トラッキングやシステム上のユーザー認証を目的とした様々なセキュリティーレベルの設定が可能です。ソフトウェアがすべての署名の組み合わせをトラッキングするため、ユーザーIDや署名の組み合わせの重複や再割り当ては起こり得ません。ユーザーID及びパスワードはすべて暗号化され、システム上で他のユーザーが使用することは不可能となります。

#7電子データは、どの時点からcGMP記録になるのですか?
データがcGMP要件を満たすように生成されたとき、すべてのデータはcGMP記録となります。データインテグリティに関するガイダンスには、製造プロセスのcGMP要件に従い、作業やプロセスが実施されたと同時に、データは文書化もしくは保存されなければならない旨が記されています。また、記録及び維持されるすべてのデータは、修正・破棄はできないようにする必要があります。
EQMSは、入力時、常に自動保存するという設定が可能です。自動化することにより、データのトラッキングやアップデートは自動で行われるため、cGMPへの遵守は容易になります。これにより監査の際の記録の特定や取り出しに素早く対応することが可能となります。
データインテグリティに関するガイダンスは、データインテグリティの影響度から、cGMP要件の範囲を超えるものとなっています。ガイダンスに拘束力はありませんが、査察や強制措置執行の際に、規制当局はガイダンスを基に判断する傾向にあります(2)。EQMS導入により、要件への準拠はより簡単、かつ確実となります。

著者のご紹介
David Jensen
MasterControl社マーケティングコミュニケーションスペシャリスト
20年以上、プロフェッショナルディベロプメント、ビジネス、規制環境に関するテクノロジーやマーケティング、パブリックリレーションに関するテーマで執筆を行っている。Weber State Universityにてコミュニケーション学士号を取得しWestminster Collegeにて修士号を取得している。

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