著者: Lisa Weeks, Marketing Communications, MasterControl Inc.
シンプルな舌圧子から生命維持に役立つ製品まで、「医療機器」という言葉は広範な領域を網羅し、医療機器業界は安定して成長を遂げています。世界的な高齢化、勃興する市場、増大する規制、ヘルスケア・プロバイダーの合併、消費化は、同業界を劇的に変えてきています。当記事では、この業界変革の5つのトレンドを紹介し、製造業者がいかにそれに対応するかを考察していきます。トレンド#1:世界的な高齢化
世界の平均寿命は延び、人々はより健康になっていっています。アメリカ合衆国保険福祉省によると、先進国での「60歳以上」の人口は2050年までに人口比で23%から32%に増加すると見込んでいます。事実、高齢者の割合は「15歳以下」の人口を既に上回っています。(1)先進国での高齢者の割合が増えれば、医療機器の需要も増加します。特に、予防のための診断機器に顕著です。確かにこれは医療機器業界にとって喜ばしきことですが、注意も必要です。医療機器の販売の大部分は政府の健康補助金で成り立っており、利益率が低いのです。このような大規模で利益率の低い環境では、製造業者は品質マネジメント・プロセスを含む内部プロセスを合理化する必要があり、コストの削減と効率性の向上を求められます。
トレンド#2:新興市場の勃興
国内での利益率の低さから、アメリカの医療機器製造業者は、中国、インド、ブラジルといった新興市場での販売拡大に期待をかけています。40年以内に、これらの市場はG6(アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、日本)を上回り、今後50年の市場を牽引していくことでしょう。(2)競争は地域の医療機器製造業者から徐々に始まっていますが、現在では、新興市場の消費者マインドは欧米のブランド製品に対して目が向いています。欧米の医療機器製造業者にとって、長期的な成功は保証されているも同然です。始まりつつある発展途上国での医療機器市場で成功するには、欧米の医療機器製造業者は現在のビジネスモデルと販売戦略を見直す必要があります。地域の手続きと矛盾をきたす可能性がり、参入障壁になりかねないからです。多くの医療機器製造業者にとっての課題は、彼らが地域の規制に関する知識が足りていないことに起因します。新興市場での異なる規制を学んでいくのは難しい問題ですが、地域での成功には不可欠です。
This article is a summary from the Whitepaper: Five Trends Transforming the Medical Device Industry in 2014. To get the full details please download your free copy.
トレンド#3:増大する規制
医療機器業界に対する規制の監視は常に厳しいです。業界のステークホルダーだけでなく、消費者も、より安全な製品を求めており、規制体は彼らの要求に応えるよう強いられています。グローバルな医療機器コンサルティング企業であるEmergo Groupによる近年の調査では、QA/RAプロフェッショナル及び上級経営者は「規制環境の変化」を2014年の最大の課題であると認識しています。2013年の新興市場での規制承認の獲得が簡単であろうと困難であろうと、2014年はさらに困難になるだろうとの見通しです。特に中国では、回答した41%の企業が機器の登録に前年より困難が伴うだろうと予想しています。35%の回答者は、アメリカ市場はさらに難しくなるだろうと考えています。注:これらの調査は2,527の回答者から寄せられたものです。(3)規制の多くが2014年の医療機器業界に影響を与えようとしています。しかし、上位の3つを見てみましょう。
· 医療保険制度改革
200億ドルに上る医療機器業界への課税を含む2010年の医療保険制度改革(ACA)は、「多い方が良い」という哲学のもとにより充実したヘルスケアの推進に臨んでいます。2013年1月1日施行の増税に対する反対者は、雇用創出、患者看護、イノベーションの妨げになると主張しており、ベンチャー企業が資金を得にくくなると予想しています。PricewaterhouseCoopers and the National Venture Capital AssociationによるMoney Treeレポートによると、ベンチャーキャピタルによる医療機器ベンチャー企業へのファンドは2013年に21億ドル減額しており、前年と比べて17%減となっていると報じています。(4)さらに、ワシントンDCを拠点とする販売組合AdvaMedは、この増税により最大で45,000人の雇用が奪われると試算しています。
増税の提唱者は、ロビイストは増税の影響を歪めていると主張しています。彼らは健康保険の拡大は医療機器の需要を伸ばし、増税の効果を相殺すると述べています。さらに、健康保険改革はイノベーションを加速し、よりコスト効率の高いケアを提供できると主張しています。
· FDAの510(k)論争
医療機器業界で用いられている承認プロセスであるFDAの510(k)申請プロセスは、論争の的となっています。510(k)が低リスクの医療機器に対して既にFDAの承認を与えている場味、「実質上同等」と見なされる同じような機器も承認にほとんど調査を必要としなくなるのではないか、という懸念があります。消費者弁護のグループは、35年以上前に作られた今よりもっと簡易な機器は、時代遅れで危険であり、効果的でないと主張しています。消費者の懸念に答えて、FDAは510(k)に対して60を超える変更を施し、製造業者に製品の安全性の証拠を求めるよう促しました。製造業者は、このような変更は市場に対する障害でしかなく、重大な遅延を招くと主張しています。彼らはまた、ミネソタ大学ロースクールのRalph F. Hall, JD教授によって実施された調査を参照して、このような変更を不要だと述べています。Hallの調査はクラス1の安全性リコールの多く(55%)は製造ミスなどの市場に出てからの問題であり、510(k)申請の99.78%は市場に出る前のリコールを出していないと主張しています。Battelle Memorial InstituteとAdvaMedによる異なる調査では、1998年以降FDAの510(k)に認可された47,000の機器のうち、わずか0.16%しか重大なリコールを引き起こしていないと示しています。
· UDI法令
近年のUDI(unique device identification)法令では、製品安全性に対してFDAがより焦点を当てていることを示しています。UDIコンプライアンスは、医療機器製造業者に、各機器に対して個体識別システムを適用することを求める予定です。このシステムは偽造防止とサプライチェーンの安全性と効率性を目的としています。FDAは、UDIシステムの導入を今後7年間で行うとしていますが、クラス3の機器に関しては2014年の9月中に行うことを目的としています。これは、各機器のデータを集めFDAの新しいGlobal Unique Device Identifier Database (GUDID)に提出するには比較的短い期間です。規制の中でも、一つだけ明確なことがあります。規制への対策は要約できます。膨大な記録を維持し、追跡、変更管理、文書管理を可能にする良い品質マネジメント・ソリューションは、製造業者の業務を合理化します。規制に迅速に対応し、市場へのリリースを加速します。
トレンド#4 ヘルスケア企業の合併
ここ数年、驚異的な速度で進んでいる病院の合併は、医師と病院の看護のありかたを変えました。独立の病院は巨大なヘルスケアシステムに買収され、より大規模なヘルスケアの提供が見込まれています。
企業は製品ラインの拡大などとともに、合併を戦略として使っています。また、彼らは買収をより急激な成長と高いマージンを得るたえにも使用しています。しかし、合併は複雑性と、リスクの増大ももたらします。この移行を乗り切るには、医療機器製造業者は、文書管理、設計管理、根本原因分析、サプライヤー品質といった品質プロセスの領域を支援する、商用ソフトウェアに投資する必要が出てきます。膨大なレポーティング・ツールを獲得することで、製品の測定可能な成果を得ることができるようになり、彼らはより良い臨床上の価値を持てます。
トレンド#5 消費化
まだ新しいトピックですが、医療機器の消費化はここ数年で大きな勢いを持ってきました。この傾向は2014年も変わらないでしょう。新しいテクノロジー(例:スマートフォンやソーシャルメディア)は、コストへの注目と消費者の期待値を上げました。このようなツールの例のひとつが、AliveCor社の ECG Heart Monitorです。AliveCorのフリーアプリを使用することで、心臓の状態を記録することが出来るようになりました。このようなモバイル機器は、簡単に使うことができます。指や胸をモニターに押し当てるだけで、ECGに簡単に記録することが可能であり、治療者にすぐにメール送信することができます。治療者は患者のECGデータを、Webベースのアプリケーションで閲覧・追跡することが可能です。
AliveCor社の ECG Heart Monitorは、消費者製品と医療機器の最初の結婚の例となるでしょう。糖尿病の分野を中心に、今後も多くの機器の登場が予想されます。2020年までに、メディケアは患者の70%以上の併存症を見込んでおり、2014年は消費化された医療機器が進展する年となるでしょう。
医療機器業界は前例のない課題を2014年に迎えますが、それは多くの機会があるとも言えます。2014年、あなたはどんなトレンドが登場すると思いますか?なにがあなたの最大の課題となり、それにどうやって対処する予定ですか?
Lisa Weeks はMasterControl Inc.のMarketing Communications Specialistであり、テクノロジー、ライフサイエンス業界、その他規制環境について後半に執筆を行っています。彼女は、McNeil Pharmaceuticals,、SAP AG、SCA Molnlycke Health Care、Crozer-Keystone Health Systems、NovaCare Rehabilitation/Select Med.といった企業で、20年にわたって幅広い業務に従事してきました。
References
2 Maria Fontanazza, “The U.S. Medical Device Industry in 2012: Challenges at Home and Abroad,” Medical Device and Diagnostic Industry (MD+DI) [online], July 17, 2012; available from the Internet http://www.mddionline.com/article/medtech-2012-SWOT
3 “Outlook for the Medical Device Industry in 2014,” wwww.emergogroup.com, January 2014; available from the Internet http://www.emergogroup.com/research/annual-medical-device-industry-survey4, 10 Arlene Weintraub, “Device Startups Struggle With Obamacare Excise Tax,” Entrepreneur [online], April 15, 2014; available from the Internet http://www.entrepreneur.com/article/233020
5 D. Furchtgott-Roth and H. Furchtgott-Roth, “Employment Effect of Tax on Medical Device Industry, AdvaMed Resource Center [online], www.advamed.org, August 30, 2011; available from the Internet http://advamed.org/res/290/employment-effect-of-tax-on-medical-device-industry
6 “IOM Committee Releases 510(k) Workshop Report,” Institute for Health Technology Studies, InHealth [online], October 18, 2010; available from the Internet http://www.inhealth.org/wtn/Page.asp?PageID=WTN000968
7 Maria Fontanazza, “Cost Pressures, New Media Technology Drive Consumerization of Medical Devices,” Medical Device and Diagnostic Industry (MD+DI) [online], October 11, 2012; available from the Internet http://www.mddionline.com/article/consumerization-medical-devices
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