医療機器のソフトウェアへの依存度の高まりを踏まえ、 ソフトウェアに対する規制要件は一段と 厳しさを増していくものと考えられます。 |
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各国、各産業を取り締まる規制当局が数多く存在するなか、世界の法的環境や規制要件の改正・改変をすべて把握するということは製造業者にとっては難しい課題です。中国国家食品薬品監督管理総局(CFDA)は、医療機器関係ソフトウェア登録技術審査指導原則(2015年第50号通知)を2015年8月5日に発表しました。この原則は、中国語版のみの提供で、医療機器メーカーあるいはそのパートナーが開発したスタンドアロンソフトウェアあるいはソフトウェアコンポーネントに関する文書作成要件に関する大幅な変更が示されています。
中華圏UL Medical Regulatory Advisory Services (MRAS)シニアマネージャであるTim Lin氏は、規制が世界的に変化していることを製造業者が把握できていない場合に起こりうる結果として、設計の不備、要件を満たすソフトウェア文書を作成することができないプロセス、また最悪な例としては申請の棄却を挙げています。
医療機器メーカーが新しい要件を理解し必要な措置を講じることができるよう、同氏はUL paper内で新しい原則について説明を行い、中国国内の機器メーカーに対し、販売承認申請書提出の際に実施すべきことについて3つの提案をしています。
改正の概要
新しい規制にはCFDAの現行の考え方が盛り込まれ、2012年4月28日発令のガイダンスに基づき策定されています。ソフトウェアのアップデート版や修正版登録に関する要件と併せ、文書要件に関し、より詳細な要件が示されています。
CFDAは、ソフトウェアの安全性及び有効性を確保するうえでは、開発段階においてリスクマネジメントや品質保証、ソフトウェアライフサイクルプロセスを適用することが重要であるとの考えを示しています。医療機器で使われるスタンドアロンソフトウェアの一部やコンポーネントとして使用されるOTSソフトウェア、完全採用型のOTSソフトウェアにも、2015年第50号通知に定められる新しい要件が適用されます。
基本前提事項
ソフトウェア安全性分類クラスA、B、Cの割り当てを受けるうえで、申請者は、登録時に次の情報を含むソフトウェアの説明書を提出します。
- 基本情報‐ソフトウェアの識別、安全性上の分類、アーキテクチャドキュメント及び設計図、ハードウエアトポロジー、動作環境、使用目的、禁忌、登録履歴
- 導入プロセス‐開発の概要、リスクマネジメント、要件仕様、ライフサイクル、ベリフィケーション&バリデーション、欠陥管理、改訂履歴、臨床評価
- コアアルゴリズム
適用されるソフトウェアの安全性分類に応じて、必要な書類の分量や内容が異なります。
新たに追加された事項―ソフトウェアアップデート
ソフトウェアアップデートは、現行の規制では文書化が義務づけられており、CFDAによる審査の対象となります。医療機器の安全性及び有効性に影響がある大幅なバージョンアップ(適応保守及び完全化保守など)と、それらに影響がない軽微なバージョンアップでは、規制上の取り扱いが異なります。ソフトウェアの大幅なバージョンアップの場合、医療機器メーカーは修正版としてCFDAへの申請が必要ですが、軽微なバージョンアップであれば品質管理システムの一環として文書化が義務付けられるものの、許可更新時または修正時にCFDAによる審査が実施されるのみとなります。
2015年第50号通知ではまた、ソフトウェアバージョンやOTSソフトウェアの文書化要件ならびに、ソフトウェア及びソフトウェアコンポーネントの登録要件についての概要が示されています。
ULからの3つのアドバイス
中国での有害事象発生リスクの増加をうけ、CFDAはより厳しい医療機器規制を作成し、対応策の一環としています。規制要件は幅広い範囲での医療機器ソフトウェアを取り扱っているため、新しい原則への取り組みが困難になることが予想されます。ULでは、2015年第50号通知を満たすために以下の提言を掲載しています。
- 製品設計段階において規制要件に準拠するソフトウェア開発プロセスを導入すること。
- 開発段階におけるソフトウェア開発活動をすべて文書化すること。
- ソフトウェア設計が終了するまでに、規制要件に基づいた文書作成を完了すること。
最終的には、頑健なソフトウェアライフサイクルプロセスで文書化をしっかりと行うことが、審査時間を短縮し医療機器の市場導入を早める鍵となります。
Lin氏によるCFDAの新しい医療機器ソフトウェア要件の詳細をご覧になりたい方は、こちらをクリックしてUL paperにアクセスください。
UL社は46か国に事業所を設け、製品の安全性および適合性試験のエキスパートとしてグローバルにサービスを展開しています。ULの専門チームは、新しい規制要件の理解や、社内薬事業務チームにかかる負担の軽減など、規制対象企業の皆様を常にサポートいたします。詳しくはhttp://ul.com/まで。
著者の紹介
Beth Pedersen
ユタ州Salt Lake CityにあるMasterContorl本社のマーケティングコミュニケーションスペシャリスト。
マイクロソフト社、ノベル社、NetIQ社、SUSE社、Attachmate社含む企業ソフトウェアサイトで技術やマーケティングに関する執筆活動を行っている。University of Wisconsin, Madisonでライフサイエンスコミュニケーション学士号、およびIT University of Copenhagenでデジタルデザイン及びコミュニケーションの修士号を修得。
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