2017年11月20日月曜日

UDI(機器固有識別子): ルールが十分であるとはいえない現状

FDAがUDIの形式及び内容に関する
ドラフトガイダンスを発表

Jennifer D. Newberger
Hyman, Phelps & McNamara, P.C

医療機器(クラス II)へのUDI適用が義務付けられる期日の2カ月前である2016年7月26日、UDIの形式及び内容という最も基本的な概念に関連したドラフトガイダンスが発表されました。具体的には、業界及びFDA認定の発行機関に対し、UDIの形式及びその内容を「明確化すること」及び「UDI発行システムから生成されたUDIが、ルールに準拠していることをより確実なものとすること」を目的とすることが述べられています。

2013年9月にUDIルールが最終化されるとまもなく、第一号となる発行機関がFDAによって認定されています。それ以降、発行機関は、製造業者と協力してクラス III及びクラス IIのUDI発行に関する取り組みを実施してきました。不適合とみなされるUDIが発行されていることをFDAが認識しているといった記載はドラフトガイダンスにはありませんが、それがこのドラフトガイダンスの含意ではないかと思われます。例えば、ドラフトガイダンスには「FDA認定各UDI発行機関は、UDI付与を目的とするシステムの開発及びオペレーションに際し、製造業者がFDA認定発行機関のシステムを使用することにより、UDI表示要求事項に準拠するUDIを作成することが確実となることが至って重要である」という内容が示されています。



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認定UDI発行機関からUDIを取得済である製造業者には、ドラフトガイダンスにおける上記内容が、UDIの表示要求事項を満たしていないUDIが実際に発行されていると読み取れることから、不安を抱くこともあるかもしれません。しかしドラフトガイダンスでは、製造業者に発行されたUDIの適合性を確認すべきだとか、要件を満たしていないUDIが発行されているといった内容をFDAが認識しているとの記載もありません。万が一、基準を満たしていないUDIをFDAが認識しているのであれば、ガイダンスにそのような内容が記載され、不十分なUDIの是正方法に関してもう少し、直接的なガイダンスを製造業者及びUDI発行機関に向けて示すはずです。

また、ドラフトガイダンスには、UDIルールの最終化以降に発表されたルールやガイダンスでは述べられていない新しいコンセプトが紹介されています。しかし、「データデリミター(Data Delimiter)」や「UDIキャリア(UDI Carrier)」などが紹介されている一方で、これらは発行機関が既に使用されているものなのか、それともUDIの形式及び内容の生成における全く新しい方法であるのかは、明確ではありません。しかし、既に発行済のUDIの順守状況を踏まえて、FDAが認識している課題に対する是正方法として、このようなコンセプトが現段階で紹介されているのかもしれません。しかし、このような点について、ドラフトガイダンスでは明確には述べられていません。

FDAは、このような最終段階においてガイダンスを発行した理由や、法規制を満たしていないUDIの可能性、新しい用語が導入された理由について、もう少し明確に説明する必要があると思います。また、製造業者が発行機関から取得したUDIが要求事項を満たしていない場合、それらの対応に要する猶予期間をFDAは与えるべきであり、UDIの取得に積極的に取り組んできた企業に対する法的措置は取るものではないと思います。

※本記事は著者の許可を得て、転載しています。

著者のご紹介
Jennifer D. Newberger
クライアントである医療機器メーカーの薬事戦略構築や製品アプリケーションの準備、ラベリング、広告、プロモーションに関する法令順守、強制措置などでサポートを行っています。ヒト組織に由来する製品に関するFDA規制の専門家として、コンビネーション製品に関する問題にも取り組んでいます。また、FDAに対する薬事スケジュールや契約、対応に関するコンサルティングを行い、医療機器メーカーを代表してFDAとの話し合いに出席するといった活動にも携わっています。薬事分野では、IDEや510(k)、de novo 、PMA申請、ファイリングの準備、法令遵守では、MDRやリコールQSRに関し企業へのアドバイス、大企業から中小企業まで、事業の立ち上げをサポートしています。前職では、FDAのCDRH(Center for Devices and Radiological Health)でポリシーアドバイザーとしての経験を有していたことから、当局内部のプロセス及びプライオリティを熟知しており、医療機器に関するルールが発令された際に、このような行政側の視点を意識したアドバイスを提供しています。

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