2017年11月20日月曜日

UDI(機器固有識別子): ルールが十分であるとはいえない現状

FDAがUDIの形式及び内容に関する
ドラフトガイダンスを発表

Jennifer D. Newberger
Hyman, Phelps & McNamara, P.C

医療機器(クラス II)へのUDI適用が義務付けられる期日の2カ月前である2016年7月26日、UDIの形式及び内容という最も基本的な概念に関連したドラフトガイダンスが発表されました。具体的には、業界及びFDA認定の発行機関に対し、UDIの形式及びその内容を「明確化すること」及び「UDI発行システムから生成されたUDIが、ルールに準拠していることをより確実なものとすること」を目的とすることが述べられています。

2013年9月にUDIルールが最終化されるとまもなく、第一号となる発行機関がFDAによって認定されています。それ以降、発行機関は、製造業者と協力してクラス III及びクラス IIのUDI発行に関する取り組みを実施してきました。不適合とみなされるUDIが発行されていることをFDAが認識しているといった記載はドラフトガイダンスにはありませんが、それがこのドラフトガイダンスの含意ではないかと思われます。例えば、ドラフトガイダンスには「FDA認定各UDI発行機関は、UDI付与を目的とするシステムの開発及びオペレーションに際し、製造業者がFDA認定発行機関のシステムを使用することにより、UDI表示要求事項に準拠するUDIを作成することが確実となることが至って重要である」という内容が示されています。



ウェブセミナー: Working on a Post-Inspection FDA 


認定UDI発行機関からUDIを取得済である製造業者には、ドラフトガイダンスにおける上記内容が、UDIの表示要求事項を満たしていないUDIが実際に発行されていると読み取れることから、不安を抱くこともあるかもしれません。しかしドラフトガイダンスでは、製造業者に発行されたUDIの適合性を確認すべきだとか、要件を満たしていないUDIが発行されているといった内容をFDAが認識しているとの記載もありません。万が一、基準を満たしていないUDIをFDAが認識しているのであれば、ガイダンスにそのような内容が記載され、不十分なUDIの是正方法に関してもう少し、直接的なガイダンスを製造業者及びUDI発行機関に向けて示すはずです。

また、ドラフトガイダンスには、UDIルールの最終化以降に発表されたルールやガイダンスでは述べられていない新しいコンセプトが紹介されています。しかし、「データデリミター(Data Delimiter)」や「UDIキャリア(UDI Carrier)」などが紹介されている一方で、これらは発行機関が既に使用されているものなのか、それともUDIの形式及び内容の生成における全く新しい方法であるのかは、明確ではありません。しかし、既に発行済のUDIの順守状況を踏まえて、FDAが認識している課題に対する是正方法として、このようなコンセプトが現段階で紹介されているのかもしれません。しかし、このような点について、ドラフトガイダンスでは明確には述べられていません。

FDAは、このような最終段階においてガイダンスを発行した理由や、法規制を満たしていないUDIの可能性、新しい用語が導入された理由について、もう少し明確に説明する必要があると思います。また、製造業者が発行機関から取得したUDIが要求事項を満たしていない場合、それらの対応に要する猶予期間をFDAは与えるべきであり、UDIの取得に積極的に取り組んできた企業に対する法的措置は取るものではないと思います。

※本記事は著者の許可を得て、転載しています。

著者のご紹介
Jennifer D. Newberger
クライアントである医療機器メーカーの薬事戦略構築や製品アプリケーションの準備、ラベリング、広告、プロモーションに関する法令順守、強制措置などでサポートを行っています。ヒト組織に由来する製品に関するFDA規制の専門家として、コンビネーション製品に関する問題にも取り組んでいます。また、FDAに対する薬事スケジュールや契約、対応に関するコンサルティングを行い、医療機器メーカーを代表してFDAとの話し合いに出席するといった活動にも携わっています。薬事分野では、IDEや510(k)、de novo 、PMA申請、ファイリングの準備、法令遵守では、MDRやリコールQSRに関し企業へのアドバイス、大企業から中小企業まで、事業の立ち上げをサポートしています。前職では、FDAのCDRH(Center for Devices and Radiological Health)でポリシーアドバイザーとしての経験を有していたことから、当局内部のプロセス及びプライオリティを熟知しており、医療機器に関するルールが発令された際に、このような行政側の視点を意識したアドバイスを提供しています。

関連記事:
"Need Help Navigating UDI? FDA Can Help"
"The Future of Medical Device Registries"

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2017年11月15日水曜日

ISO、複数の規格に対する変更を実施

B. Christine Park CQA, CQM/OE Consultant


様々なISO規格が改定、移行期日までに対応を


品質マネジメントシステムやその他の規格の改定に伴い、期限内での対応が求められています。ここ数年で改定された主な規格は以下の通りです。


これら3つの規格は、過去数年の間に改定され、多くの企業が用いる重要な規格です。規格が改定される場合、企業には新しい規格への移行期間として、通常は3年という期間が設けられています。上述の規格においても3年以内の移行が求められています。3年と聞くと時間は十分にあると思うかもしれませんが、実際にはそう長くありません。時は刻一刻と過ぎていきます!今すぐ自社の事業に関連する改定箇所や要求事項を確認してみましょう。

新ISO 9001:2015 及び他の規格は「全10章」の章立てになり、シンプルかつ標準化することを目的に再構成されました。一方で、ISO 13485:2016 の章立ての改定は容易ではなく、新しい規格の発行に間に合わないとされました。その為、ISO13485:2016の章立ては従来のままとなり、ISO13485技術委員会により本文書に新しい概念が数多く盛り込まれました。





注目すべき重要な改定点がいくつかあります。
  • QMSは、経営戦略及び事業目的と一致するものであること
    QMSは、ビジネス活動の一環であることが期待される一方で、これまでは一般的に、別の活動として管理されてきました。本アプローチによって、組織全体で一貫性が強化される契機となることが期待されます。品質を強化することは、より良い企業運営につながるものなのです。
  • 組織の状況の把握と判断
    「規模に見合った戦略の実践」:経営陣は、継続的に品質システムに対して取り組むことで、自社のマネジメントシステムの課題やニーズを把握することができます。
  • マネジメントシステムに対する経営陣のコミットメント
    経営陣は、品質の確保を目的として、QMS及び従業員へのコミットメントを示すことが要件となっています。経営陣が積極的に関わり、QMSが優れた企業運営の手法であると認識されていけば、コスト削減につながり、安定した企業運営が実現できます。
  • プロセスアプローチの適用
    不適切な運用管理の場合、業務間の連動が正しく機能しないケースも多く、結果として、再作業などの無駄が発生します。企業のQMSや経営手法にプロセスアプローチを導入することで、部門や個人の孤立化といった組織の細分化を防止し、安定した企業運営に繋げることができます。
  • マネジメントシステムと予防処置
    「予防処置」の考えは、リスクの特定や軽減といったマネジメントシステムの目的と並列であることから、是正処置とは切り離し、システム全体を対象とした活動に変更となりました。予防処置を例外として扱うのではなく、リスク評価と組み合わせた適切な管理体制が必要です。
  • 文書化した情報
    「文書化された手順」や「記録」という用語は、「文書化した情報」に変更されました。要求事項として求められているのは、手順書や作業指示書などの管理、または、実施した業務の証拠としての記録の管理です。ただ、「情報」という言葉の定義は広義な為、企業側で解釈を決めることができます(※この変更はISO 13485には含まれません)。
  • 改善機会の発見
    リスクベース思考に関連することですが、改善機会と想定結果をリスクベースで評価し、適切な判断をすることが期待されています。
  • QMSに対する変更の管理
    QMSの計画的な運用が求められており、その運用に影響を与えるような変更を実施する場合、必ずリスク評価を行い、変更内容が適切に導入されたことを保証できるような枠組みが必要となります。
  • 組織としての知識
    「組織としての知識」という概念が発表されました。これは、人や組織に変更があった場合でも、事業運営に影響を与えないよう、組織として知識を管理することが求められています。

QMSが既に確立されている企業でも、この機会を予備調査として、現在の対応状況をご確認いただければと思います。文書や記録を確認することで、この新規格にどの程度、準拠しているかを把握できます。また、あまり複雑化せず、シンプルに必要な作業だけを行い、対応を目指すという考えも重要です。そして、新規格への対応も実現し、企業戦略と一致したQMSが構築できれば、それは、事業運営として非常に有益な成果になることを確信しています。


著者のご紹介
Christine (Chris) Park

医療機器、IVD、バイオテクノロジー/医薬品分野におけるR&D及び製造の経験から、品質システムや品質管理(CAPAや苦情、監査など)に対するコンサルティングを提供している。また、薬事申請のサポートとして、技術書類の作成やレビュー、リスクアセスメント、変更管理なども直接的に支援している。現在は、AAMI TC210規格委員会のメンバーとして積極的に活動しながら、改訂版のISO 9001:2015やISO 13485:2016、FDAの連邦規則集改訂 (820、 210/211、食品)の導入や移行のための企業向けコンサルティングを行っている。

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2017年11月13日月曜日

SEMICON JAPAN 2017出展のお知らせ

マスターコントロールは、エレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会「SEMICON Japan 2017」に出展致します。



世界中のソフトウェアやデバイスメーカーが出展する「World of IoT」ゾーンにて、IoT時代に求められる品質マネジメントシステムの在り方や、品質管理や品質保証といった業務の効率性改善を支援するソリューションをご紹介しています。

皆さまのご来場を心よりお待ちいたしております。



SEMICON Japan 2017 開催概要

会期:
2017年12月13日(水曜日)~12月15日(金曜日) 10時~17時

会場:
東京ビッグサイト 東展示棟・会議棟

出展ゾーン/小間番号:
WORLD OF IOTゾーン/3752

主 催:SEMI (Semiconductor Equipment and Materials International)

公式ウェブサイト:
http://www.semiconjapan.org/jp/

2017年11月7日火曜日

Masters Forum 2017へのお礼

先日は、多くの方々にMasters Forum 2017へご来場いただき、誠にありがとうございました。

本年度は、イベント5周年ということもあり、3セッション同時開催というフォーマットにて開催した一方、不安もあったのですが、結果として、私たちが想定した以上に多くのお客様にご来場いただき、社員一同、感謝いたしております。当日は至らない点も多々あったかと思いますが、そのような点も含めて、次回以降、よりクオリティーの高いイベントとして運営できたらと考えております。

また、概要等が決まりましたら、追ってご連絡いたしますが、2018年も11月6日(火)に開催を予定しています。

よりコンテンツを充実させ、ご来場いただける全ての方々にとって、実りある時間を過ごせるようなイベントとして企画できたらと考えておりますので、引き続き、よろしくお願いいたします。

Masters Forum 2017 イベント事務局

2017年9月19日火曜日

QAについて:プロサッカーとの類似点及び意外に知られていない4つのポイント

QAとプロサッカーには多くの共通点があります。
何が頭に浮かびますか?
Beth Pedersen,
Marketing Communications, MasterControl


1979年は様々な重大な出来事があった年でした。ソニーからウォークマンが発売され、マイケル ジャクソンが自身の成功の先駆けとなるソロアルバム「Off the Wall」を発売、マーガレット サッチャーが英国史上初めて女性首相に選ばれました(サッチャー女史についてはこの後もう少し詳しく説明いたします)。

しかし、品質分野で働いていた方々は、1979年と聞くと、別の出来事を思い出すはずです。この年は、FDAの21 CFR Part 58 (1)に「Quality Assurance(QA)」という文言が盛り込まれ、最初のGLP規制として認識されました。

加えて1979年は、QAの専門家であり、現在はスコットランドに拠点をもつGxPコンサルティング会社のTMQA社ディレクターを務めるDr. Andrew WaddellがQA分野での事業を開始した年でもあります。

同氏は、欧州で開催されたマスターコントロール ユーザー向けイベント「2016 Masters Conference」で、“The Challenges Facing Today’s Quality Assurance (現在QAが直面する課題)”と題した基調講演を行いました。Waddell氏は、ユニークな人生経験と37年にわたるQA分野での経験からまだあまり知られていない、QAの5つの側面について評価を行い、およそ40年が経過した規制が抱える問題解決にチャレンジし、品質業務における輝かしい未来について言及しています。


よく知られていないQAに関する5つの認識



1.  品質保証と品質管理の違い

Waddell氏がエジンバラ大学ヒト病理学の教授を務めながら研究者であったころ、別のキャリアに進むきっかけとなる出来事がありました。発端は、1979年5月にサッチャー氏(2)が首相に就任したことであり、「サッチャー政権が支出の削減を行い、医療分野での仕事の魅力が半減してしまった」とWaddell氏は述べています。それから1か月後にFDAからGLPが発令され、大手CROからWaddell氏にQAにおける新概念導入への参加要請がありました。

規制対象業界の発展に伴い、QAに対する認識は変わり、QAとは何であるか、また何がQAではないのかについての誤った認識が、専門家である監査担当者の間でも生じてしまうことが度々ありました。こうした誤った認識のひとつに、QA(品質保証)と品質管理(QC)は同じであるという考え方です。定義上、「保証」とは確信を提供するという意味ですから、QAに当てはめれば、品質に関する要件を満たすという確信となります(3)。一方、QCは試験に着目し、実際に品質要件を満たすものであるというエビデンスを提供することとなります。





「QA=品質管理と考えるのは根本的な間違いです」とWaddell氏は述べています。「我々の目的は、何かを見つけることではありません。我々の仕事は、品質に関する要件を満たしていることを保証し確信を提供することなのです。」

監査とは、こうした確信を提供する目的でQA分野にて使用されるツールのひとつなのです(4)。


2.  品質の二面性
品質とは何ですか?その答えはシンプルではありません。品質を完璧に定義する1行の文章は存在しないかもしれませんが、Waddle氏は文献から古典的な品質の定義を2つ紹介しています。

品質:明確に定められた基準に関するコンプライアンス
品質:顧客満足(顧客への感動提供)

問題は最終製品自体にあるのではない、それを規定する基準に問題があるのです。「基準が不適切であれば基準を満たしたところで品質は確保されません」とWaddell氏は述べています。

二番目の定義は一般的に使われていますが、やはり問題があります。スコットランドにあるタイヤ販売ショップとのWaddell氏の体験談を挙げています。顧客を100%満足させることがショップの方針であることを理由に、タイヤの価格を定価よりもずっと低い金額にしてくれないかと尋ねてみたという話です。価格が下がることで顧客を喜ばせることはできるかもしれませんが、ビジネス的には誤っています。もちろんショップのマネージャーは拒否していました。

Waddell氏は、いずれの定義も不十分であると述べています。「どちらの定義にも満足できません。理由は、品質には常に2つの側面があるからです。第一になすべきことを実行するということ、第二に正しい方法で実施するということです。


3.  適用される規制は「開発スペクトル(Development Spectrum)」で規定

開発スペクトルは、アイデアの段階から販売製品に至るまでのイノベーションプロセスを示しています。スペクトルの片側は「開発」フェーズで、オリジナルのアイデアを作り上げ、無限大の可能性を探っていきます。このフェーズでは「なすべきことを実行する」ことになります。このタイミングでは、何を創造し、どのような特徴が製品の付加価値となりうるのかを決定していきます。

スペクトルのもう一方側は「証明」フェーズで、ここでは正確性が必須となり、規制や安全に関する要件、顧客からの期待を確実に満たすことが求められます。あなたの素晴らしいアイデアが製品化された後は、製品の正確な動作の確保が必要となります。つまり、Waddell氏がいう上述の言葉「正しい方法で実行する」ことが求められるのです。




革新的なビジネスで創業した小規模企業のような場合には、発掘フェーズのすべての時間を新しいアイデアや製品の開発に費やしてしまいます。こうした企業にとっての品質とは、オリジナリティーや斬新さとなります。しかし、製品を販売するためには、既に多くの製品を販売しているような企業と同じ品質関連規制を遵守する必要があります。こうした企業が注力しているのは、一般的に、堅牢性やコンプライアンスとなります。ですから、革新的事業を展開する多くの企業は次第に解決困難な状況へと陥り、規制遵守が非常に難しくなってしまうのです。

「規制は、堅牢性、予測可能性、確実性などの特性に支配されますが、lifeという言葉はまた違ったものです」とWaddell氏は述べています。「Lifeという言葉はスペクトラムであって、新しいアイデアから販売製品に至るまでのひとつの旅を表します。同時に、品質システムにも反映されるべきものとなります。」


4.  監査担当者の担う役割は様々

監査担当者の仕事内容は明確かもしれませんが、見かけより多くの責任が課せられています。監査業務に加えて、次の役割を担わなければならないからです。

  • 心理学者監査時、規制、治験実施計画書、モニタリングレポートやデータの記録といった監査の専門的な側面に監査担当者は多くの時間を費やします。また、監査対象の場所はどこか、使用されるツールは何か、どのような情報を収集すべきかといった手順的な側面もより細かく見ています。Waddell氏の経験では、専門的または手順上の問題が理由で監査が上手くいかなかったことは、ほとんどないということです。むしろ個人に原因があることの方が多いと言います。「監査実施時の面談では多くの方とお会いしますが、その方々のパーソナリティも様々です。その為、監査担当者はカメレオンのように、その様々なパーソナリティを受け入れ、監査を受ける側の立場に合わせる必要があるのです。」

  • 技術者膨大な量の情報を取り扱っている拠点への監査の場合、従来の監査方法が効果的とはいえません。「多くのケースで、情報やプロセス、システム、手順というものは、必要だからでなく、生成が「可能」であるがために生成されているのです」とWaddell氏は述べています。「紙の山」の管理を避ける為、テクノロジーを用いることを推奨しており、テクノロジーの知識を有する監査担当者への期待が高まっています。

  • 伝道者リスクマネジメントというのは新しい概念ではありませんが、Quality GurusにはじまりTotal Quality Management、Six Sigmaなど、近年品質における革新的な動向がみられます。Waddell氏は、リスク管理を行うことには賛成しているのですが、コスト削減のためのツールに限定してリスク管理を使用することには、警鐘を鳴らしています。「リスク管理は良い事だと思います。ただし、リソースをスマートに適用する目的で使用することが条件となります」とWaddell氏は述べています。「この目的で従来のQA手法を用いるのは問題でしょう。我々は、価値の確認の難しい記録の山の確認に多くの時間を費やすことがあります。」リスク評価のバリデーションを行い、それが意図する目的にかなっていることを確認し、監査担当者は模範を示し企業をサポートしていくことが重要となります。


5.  プロサッカーとQAの様々な共通点

以前はプロサッカーの審判であり、現在はスコットランドサッカー協会のメンバーでもあるWaddell氏は、2つの異なる分野の比較をしています。Waddell氏によれば、サッカーの審判も監査もルール (例:FIFA 試合規則とFDA GLP)と実際の行動を照らし合わせてみることが目的であるので、基本的な類似点が数多くあると言います。プロサッカーチームはすべてが同じというわけではありません。ですから、個々のサッカークラブからのニーズやレベルに応えることができるように、協会のライセンス認定はレベル化されています。Waddell氏はQAがサッカーから学べることがいくつかあると述べています。

第一に、サッカーの審判は、目にした出来事を軽度(minor)、重大(major)、危険(critical)に分類するようなことはしません。QA分野でも同じであれることをWaddell氏は望んでいます。品質監査について、「私は正しいか、誤りかということを論ずるよりも、軽度か重大かに分類することにより多くの時間を費やしてしまっています」と述べています。「実際に問題に取り組むことよりも、グレード分けを論じることにエネルギーが注がれてしまうのです。」

さらに、プロサッカーでは、ルールを守ること、そして審判からの指摘への対応はすべて監督の責任となります。どのように行動するかについて審判からアドバイスすることはなく、ルールを守り様々な問題を是正することは各クラブに一任されているのです。

最後に、問題の報告は、素早く効果的に行われています。サッカーの場合、審判を行った日のクロージングミーティングで、審判は試合中の問題点をシンプル且つ迅速な形で報告します。従来のGxPモデルでは、回答が必要となる場合、レポーティングに数週間かかってしまうこともあります。

プロサッカーの例に倣い、QAでも法令遵守の構造により広く多様性を持たせることを提案しています。「入門レベル」から始め、次第により厳しい基準を満たすことが出来るようになれば、より高いレベルで行動できるようになるはずなのです。

1979年、Waddell氏がヒト病理学の専門家から初のGLPスペシャリストとなり、21 CFR Part 58を読んだ際に「これは悪魔崇拝儀礼のようだ」と感じたそうです。しかし、じっくりと目を通すと考えは変わっていったというのです

「我々にルールは必要なかったのです」とWaddell氏は言います。「実際、品質というのは直感的なものであり、我々にとっての品質とはGLPそのもの、つまり、信頼性及びデータの一貫性の確保に取り組む環境を確保することなのです。」

Waddell氏のプレゼンテーションはこちらから


Dr. Andrew Waddell 
TMQAディレクターを務め、品質管理全般で30年以上にわたる経験からまたこの分野の専門家として国際的に認知され品質保証(QA)の調査に関する教育を行っている。QAシステムの研究及び開発が専門で、様々な「Good Practice」規則に関するコンサルタント及び監査担当者として活躍。国際会議で定期的にQAに関する規制及び監査に関するプレゼンテーションを行っている。

同氏は、2001年、国際的な大手QAリサーチ関連企業であるTMQA社を設立。本社はスコットランドのエジンバラにあり、スロバキアのBratislavaにも拠点がある。TMQAでは、GCP、GLP、GMP、GVP、GC関連規制に関するトレーニングや監査、コンサルタントを行っている。TMQA社のユニークな特長は、コンサルタントや契約者からは独立した同社スタッフ独自の豊富な経験と多様なサービスを提供していることである。
Waddell氏は以前、FIFAのエリートリストに名を連ねたサッカーの国際審判で、スコットランドサッカー協会のプロ委員会(Scottish Football Association’s Professional Game Board)のメンバーでもある。スコットランドライフサイエンス協会の諮問委員会(Advisory Board of the Scottish Lifesciences Association)のメンバーでもある。


著者のご紹介
Beth Pedersen
ユタ州ソルトレイクシティにあるMasterControl本社マーケティングコミュニケーションスペシャリスト。Microsoft社 Novell社 NetIQ社 SUSE社 Attachmates社などの企業に向けたものも含め、ソフトウェア関連でテクニカル分野及びマーケティング分野で執筆を行っている。University of Wisconsin-Madisonライフサイエンスコミュニケーションで学士号を取得し、IT University of Copenhagenデジタルデザインで修士号を取得している。


引用元:
1) 21 CFR Part 58. https://www.accessdata.fda.gov/scripts/cdrh/cfdocs/cfcfr/CFRSearch.cfm?CFRPart=58

2) Margaret Thatcher Foundation. http://www.margaretthatcher.org/essential/biography.asp

3) ISO 9000:2015. http://www.iso.org/iso/catalogue_detail?csnumber=45481

4) ISO 19011. http://www.iso.org/iso/catalogue_detail?csnumber=50675

関連記事:
2016 Masters Conference in Amsterdam Sheds Inspiring Light on Quality
Quality by Design Part 1: You Can’t Design Something You Don’t Understand

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2017年7月26日水曜日

「改善」は気づかい

同僚のホゼとピーターが改善の道へと
第一歩を踏み出す。
Dan Markovitz
Markovitz Consulting

ピーターとホゼは、長年一緒に働いています。パンチプレス機のオペレーションを任されているピーターは63歳ですが、一日の終わりにはビルの間を抜け、75ヤード離れたゴミ捨て場まで50ポンドの廃棄物を引きずって運んでいます。

ホゼはピーターより20歳ほど若いため、ピーターが腰を痛めないように、できるだけゴミは自分が運ぶようにしていますが、仕事上、毎回という訳にもいきません。

現在、この会社の改善に取り組んでいるのですが、まずはシンプルに困っていることから改善していきましょうと提案しています。いくつもの座学を受ける、5S活動を実践するなど、ビジネスを「大きく変える」ことにチャレンジするのではありません。ただ、昨日こうであったことが必ずしも今日もそうでなければならない!という必要はないということに気付いてもらいたいのです。誰もが状況をより良く、よりシンプルに変化させることができるのだということを知ることが、改善への第一歩だと思います。

ピーターとホゼは無口な人間です。キックオフミーティングやトレーニングプログラムにおいても、彼らが何かを発言することはありませんでした。変化を拒んでいるのか、あるいは長年のクロックパンチングに従事するなかで、仕事に関する最小限の要求以外、何かを求める気力を失ってしまっているのかもしれません。





ですから、掲示板に張り出されたホゼの改善案カードを見て私は驚きました。加工現場のごみ箱にキャスターを付けたいというのです。ホゼにこの提案について尋ねると、「ピーターが心配です。彼は63歳です。ごみ収集箱までゴミを引きずって腰を痛めて欲しくないのです」とだけ答えました。

節約経営の指導者や(私のような)節約に関するコンサルタントをしている者は、大抵、コスト低減、増収、リードタイムの短縮、品質の向上などについてをお話します。しかし、これらは日常業務とはかけ離れており、改善がそこでなぜ重要なのかという理由を働く人の視点から語られていなかったのです。企業の利益を第一に考えるよりも、より働きやすく人の役に立つ改善を考えることの方が、重要で嬉しいことでしょう。新郷重夫氏は、4つの改善の最終目標は、優先度の順に「よりシンプルに、より良い品質で、より早く、より安く」と述べています。

ホゼがゴミ箱に取り付けたキャスターは、企業業績への影響はゼロです。しかし、改善への第一歩です。そして、それよりも重要なことは、これは、ホゼの気づかいが示されているということだと思います。

複写厳禁 The Lean Post掲載記事

改善の道へ第一歩を踏み出せましたか?下のコメント欄にご意見をお寄せください。


著者のご紹介
Dan Markovitzは、リーン式の新しいアプローチの指導及び実践により、より迅速、より堅牢な組織運営のためのアドバイスをしている。長年、リーン方式の考えを伝えるためのトレーニング講師を務め、lean journeysへのアプローチ方法を開発し、企業がリーン式の実践を再び活発に行うためのサポートを行っている。米国及び欧州で活躍。WL Gore社、Abbott Vascular社、NYU Medical Center、the New York City Department of Health, CamelBak社、Clif Bar社、Industrial Revolution、Goodyear Tire社を顧客に持つ。

He is a faculty member at the Lean Enterprise Institute and teaches at the Stanford University Graduate School of Business, the Stanford Continuing Studies Program, and the Ohio State University’s Fisher School of Business.

Lean Enterprise Instituteの講師であり、Stanford University Graduate School of Business、 Stanford Continuing Studies Program及び Ohio State University’s Fisher School of Businessで教壇に立つ。
Shingo Research 賞受賞のA Factory of One 及びBuilding the Fit Organizationの著者でもある。Lean UK SummitやReykjavikで開催されたLean Island Conference、LEI Transformation Summit、 Shingo International Conference、その他数多くのAME Conferencesにて発表の経験を有す。

Markovitz氏は日本に4年在住した経験があり、日本語が堪能。Wesleyan University にてBAを取得、及びStanford University Graduate School of BusinessのMBAを取得しています。連絡先;dan@markovitzconsulting.com.

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2017年6月12日月曜日

SCIOコンセプト:費用対効果のよい臨床試験の実施



過去20年間における新医薬品の開発費用は物価上昇率より7.4%
上昇しており、こうした上昇は臨床試験が主な要因とされています。
Dr. Candida Fratazzi M.D.
Founder/CEOBBCR Consulting
(Boston Biotech Clinical Research)


新薬開発には膨大な費用がかかることはよく知られています。2014年の米タフツ大学医薬品開発研究センターで実施された調査から、「新規処方医薬品1品目の販売承認の取得までにかかる税引前費用は、平均2兆5580億ドルと算出された」とDr. Henry G. Grabowski やDr. Ronald W. Hansenによる報告があります。過去20年間における新医薬品の開発費用は物価上昇率よりも7.4%上昇しており、この一因となっているものに臨床試験が挙げられます。しかし、バイオテクノロジー関連の研究費用が増大しても臨床開発の成功率が上がっているわけではありません。むしろ、バイオテクノロジー業界におけるイノベーションの大きな支障となり、医薬品や医療機器の価格高騰へと繋がり、消費者にも影響を及ぼしています。将来の医療に役立つライフサイエンス製品を開発し、開発プロセスのコストパフォーマンスを高める為の最善策を考える必要があるのです。


「共通認識」とは?

バイオテクノロジー関連企業では、販売候補の新製品が創出されると非臨床試験プロセスにおける開発が行われます。開発候補品のバリデーションが完了すると、イン・ヴィトロ研究または動物を対象とする安全性及び有効性に関する試験が行われ、次に臨床試験へと移行して第1相、第2相、第3相試験が実施された後に、当局による製品販売承認へと進みます。何十年もの間、この業界に属するすべての企業が治験に対し同じ道筋を辿ってきました。

そこで、臨床治験計画届(Investigational New Drug: IND)や医療機器に対する適用免除(Investigational Device Exemption:IDE)の計画の仕方に着目することが重要となります。またそれは本稿で紹介する質問に対する回答の鍵となるものでもあるのです。




バイオテクノロジー/製薬企業では基礎研究が完了すると、IND/IDE申請書提出のための作業に移ります。被験者に対する一定レベルの複雑性や侵襲性のリスクを示した医療機器のみがIDE申請を行うことになります。

IND申請では、フォーム1571、1572、3674、CMC情報、毒性情報、イン・ヴィトロ研究及び動物モデル試験に関連する過去の試験からの情報について、FDA(食品医薬品局)へ提出することが求められています。さらに(1)治験計画 (2) 治験薬概要書 (3)治験実施計画書といった臨床関連情報の提出も必要となります。

IDE申請の場合、過去の研究、リスク分析、機器に関する情報、製造、ラベリング・モニタリング手順、環境への影響に関する調査についてなど、初期の調査研究で得られた前臨床情報の提示が求められます。しかし、IDE申請を進めるという企業の意向が決まり次第、 (1)治験計画 (2)治験医師に関する情報 (3) IRB に関する情報 (4)治験実施計画書のFDAへの提出が求められます。

上述のプロセスは数十年間行われてきたものです。こうしたプロセスのどこで臨床試験の実施が困難になるほどの高額な費用が掛かっているのでしょうか。また、臨床試験を適切に実施するための解決策には何があるのでしょうか。

1. 医薬品または医療機器バイオテクノロジー企業としては、
  •  製品の損失となるミスを回避する
  • 開発にかかる費用の削減及び期間の短縮化を図る
  • 被験者の安全性を確保するために臨床試験を最適化する
2. 患者としては、
  • 治療費が低くより良い治療法を求める
  • 適切な治療を受ける
3. 社会全体としては、
  • 優れた治療を個人に提供する
  • ヘルスケアにおける持続可能性を向上する
  • イノベーションを推進し、社会への付加価値を創造する

ガイドラインに示されているように、IND/IDE申請はいずれも治験計画、治験薬概要書、治験実施計画書の提出が求められています。審査を受けるバイオテクノロジー企業は、主に臨床計画書においてとなりますが、治験薬概要書、治験実施計画書においても開発中の製品の根拠を示す必要があります。IND/IDEには臨床開発ストラテジーに関する記述や、規制当局からの質問に対する回答も提出しなければなりません。

次に、費用対効果の低い臨床試験を引き起こしてしまう、犯しがちなミスをご説明します。


「犯しがちなミス」とは?

臨床試験費用を効果的に活用できないといった状況を生む、多くの企業が犯しがちなミスとはどのようなものでしょうか。それは、クリニカルストラテジーの価値を認識していないがために、マイルストーンに基づいた意思決定が行われ、開発目標やギャップを見失ってしまうということです。

臨床試験全体を遂行するに十分な計画をしていると確信している医薬品及び医療機器企業が大半ですが、多くの場合、IND/IDE申請は第1相試験の実施計画書に限定されています。これでは、規制当局による製品レビューは完璧ではありませんし、治験依頼者となるバイオテクノロジー企業は、臨床研究の開発手段について別の方法を模索したり、適切であるだろうその他の選択肢を検討したりすることに制限がかかってしまいます。同様に、臨床開発のいずれの段階でも、単一部門よりも複数の部門で協力し合うことが非常に重要です。多くの場合、薬事文書の準備や提出に関する業務は薬事知識を有する人員に、試験実施計画書の作成は一意に臨床試験実施担当者に任せてしまい、関連する医療ニーズを的確に理解しないで計画書作成の意思決定がされているのが現状です。

治験依頼者である企業は、大抵、IND/IDE申請に向けて第1相試験の計画書を準備することで十分だと捉えており、ストラテジーもないままにIND/IDE申請を行ってしまいます。分かりやすい例を挙げてみましょう。
多くの場合バイオテクノロジー企業では、第2相試験からエンドポイントのバイオマーカーや製品の差別化について検討を開始します。しかし、このような検討は計画作成の初期段階の「クリニカルストラテジーの計画」として検討すべき内容であり、これによりバイオテクノロジー企業は、適時に必要なデータを入手することが可能となるのです。


図 A: Synthropy調査結果


図Aは第2相試験の不成功原因について示すもので、第2相試験の不成功例の少なくとも29%が臨床開発開始時のストラテジーが不十分である、あるいはストラテジーを立てていないことに起因していることが分かります。

そのような場合には、「ストラテジー」の概念が「プロセス」の概念と混同されてしまっているのです。この場合の「プロセス」を定めるという行為は、地図を見ながら山に登ってはいるが、最適なルート、障害物、時間、安全性についての手掛かりは全くない状態と類似しています。一方で、「ストラテジー」を考えるということはハイキングにかかる時間や、適切な持ち物、遭遇するかもしれない問題や危険をすべて把握し、最悪の場面に遭遇した場合の解決策も準備している状態となります。

薬事規制の道筋が明確になれば、経済的にも科学的にも最も適切なアプローチを積極的に選択することができ、タイムリーなリソースプランニング、そして何より臨床試験成功への最善の策の見極めに確信が持てるようになるのです。


図 B:クリニカル/薬事的ストラテジーの基礎及びフェーズにかかる影響


IND/IDE申請における規制に基づいた臨床試験の薬事的ストラテジーの策定に必要な要素を図Bにまとめました。こうしてみると、包括的なクリニカル/薬事的ストラテジーを策定し、製品に応じてカスタマイズすることは、第1相/第2相以降も臨床試験開発のあらゆる段階に効果が波及するであろうことがわかります。


臨床計画とは?

臨床計画という用語は、単に一連の事象を示す言葉ではありません。総合的分析結果を示すものであり、「薬事的な臨床開発ストラテジー」を策定するものです。個人的には「臨床改革ストラテジー(SCI:Strategic Clinical Innovation)」と呼んでいます。これには第1相試験から概念実証試験(proof-of-concept study)までが関与してきます。研究的試験の根拠、治験対象母集団の選択、IND/IDE申請後の臨床試験デザイン、動物における毒性データから予測される開発上のリスク、あるいは同一製品また同一クラスに分類される製品を使用した過去に実施されたヒト試験などの情報が必要とされます。

SCIO(Strategic Clinical Innovation Organization)コンセプトのバリュープロポジションは、臨床研究へのアプローチの合理化、トライアルモデルへのストラテジーの導入と費用対効果向上の実現です。ストラテジーがイノベーションの鍵であるといった考えを基に、IND/IDE申請における医薬品開発プロセスを改め、臨床試験開始前の段階で製品に適したクリニカル/薬事的ストラテジーを導入することで、臨床研究全般におけるイノベーションが可能となります。SCIOコンセプトで重要なのは、非臨床試験からIND/IDE申請及びヒト試験までの移行の時期に時間をかけることです。SCIOコンセプトを導入することは革新的ソリューションとなり、企業では医療や市場のアンメットニーズ(未だ満たされていない医療ニーズ及び市場ニーズ)、継続的薬事イノベーション、医療需要を満たすことを目的とし、非臨床データの評価を行うようになります。SCIOコンセプトでは、薬事的なバックグラウンドと科学的、医学的知識との融合、及び将来の医薬品のあるべき姿を十分に理解することも必要となります。

今日における臨床研究の実施や臨床試験デザインの決定は複雑かつ多大な労力のいる作業となっていますので、一般的な段階的アプローチではなく、包括的なストラテジーに従って進めることが重要となります。SCIOコンセプトでは一元化された総合的なストラテジーの策定が導かれ、そのなかで関連部門が製品開発及び臨床試験の双方の最適化に関与して行くこととなります。最終的には、薬事的な臨床試験ロードマップが作成され、デザイン重視の試験が計画され、試験デザインの合理化を図り、臨床計画において各試験に一意的な目的が設定されることとなるのです。これによって、データセットが完成されないがために費用や時間をかけて同じことを繰り返さなければならない状況を回避することが可能となります。

これは非常に重要なこととなります。なぜなら、臨床試験に関する適切な薬事的ストラテジーやロードパップを策定せず、この段階を省略してIND/IDE申請書を提出すれば、製品開発にとても重要な規制当局による有用なフィードバックやアドバイスを受ける機会を逸してしまうからです。投資者側にとっては、規制当局からの製品開発計画への薬事的フィードバックやお墨付きをもらえるということは何より歓迎されるものです。さらに、臨床試験に関する薬事的ストラテジーやロードマップが策定するということは、ライフサイエンス製品開発で一番費用のかかる臨床試験の費用対効果を最大限にできるということなのです。




臨床試験の開始までに臨床試験の薬事的ストラテジーを策定し、ライフサイエンス製品の開発を最適化させれば、費用対効果を著しく高めて臨床試験にかかる費用と時間を最大30%削減することが可能となります。また臨床試験の被験者数の縮小、達成可能なエンドポイントの選択、PoCの特定などのさまざまなベネフィットが想定できるのです。臨床試験を実施するための費用、時間、リスクを考える際には、臨床計画及び臨床試験デザインに対するセカンドオピニオンは貴重であると考えます。


結論

臨床試験に関する薬事的ロードマップやストラテジーの策定は、コストパフォーマンスの高い臨床試験を実施するために必須です。臨床試験におけるバイオテクノロジー企業は、ストラテジーとロードマップを策定することは今日の臨床試験にかかる費用対効果の問題を解決する鍵となることを認識する必要があります。
臨床開発やIND/IDE申請準備にストラテジー策定を組み入れるということを特別な作業と捉えたりせず、ストラテジー策定が最重要事項であり、これによって臨床試験開発が単純化され、非常に大きな利益を与えてくれると認識することで、誰もが犯してしまうミスは回避できるのです。


著者のご紹介
Dr. Candida Fratazzi
バイオメディカル研究分野で25年の経験を有し、SCIOコンセプトを開発。臨床開発におけるイノベーションを積極的に支援することを目的としたBBCR Consulting (www.BBCRConsulting.com) 社を2009年に設立。免疫学の上級学位を取得している。希少疾病の専門家でもあり、のう胞性繊維症、ゴーチェ病、多発性硬化症などの研究に取り組む。バイオテクノロジー、医薬品、医療機器企業のコンサルタントとして、臨床/薬事的な開発ロードパップやコストパフォーマンスの良い臨床試験デザインについてアドバイスを行う。

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