2018年1月10日水曜日

サプライヤー適格性評価の重要性

Robin Nozick
Business Development Consultant
BC Solutions, LLC

私は、血液事業で運用されるソフトウェアに係るビジネスに30年以上従事し、世界中の血液バンクとの活動を続けてきました。その経験から今回は、バリデーションの重要な要素でありながらも、不適切なプロセスがとられているケースが多い「サプライヤーに対する適格性評価」について、お話したいと思います。

新しいコンピューターシステムを導入する場合、システムの選定に多くの時間を費やします。その選定プロセスにおいて作成される提案依頼書(RFP)は、検討中のシステムが自社の要求事項を満たしているかを確認する上で重要なツールです。そして、「各システムの使いやすさ」は、ユーザーのデータ入力や操作間違いを防ぐといった点で重視されているポイントの一つでしょう。しかし、ソフトウェアの開発や導入、サポートを行うサプライヤーのGMPポリシーに関しては、十分に検討されていないケースを良く見かけます。これが、ソフトウェアの機能に対する確認ではなく、企業としての組織体系や責任、手順、業務プロセス、リソースなどの確認を意味しています。

サプライヤー適格性評価とは何か?

まず、FDA の「GMP(21 CFR Part 211)」では、サプライヤー適格性評価はバリデーションプロセスの一つと考えられています。開発やサポート、メンテナンス、販売に関わっているサプライヤーは、GMPなどの品質関連規制への順守が求められており、その状況を確認するために用いられるプロセスが適格性評価です。その為、血液バンクでコンピューターシステムを使用する場合であれば、サプライヤー適格性評価は、そのシステムが運用される前に実施すべき業務の一つとなります。

では、なぜ全米の血液バンクでは、サプライヤー適格性評価がほとんど行われてないのでしょうか? 一つ目の理由は、血液バンクのIT部門の担当者が医療機器関連業務に精通しておらず、GMPプロセスを熟知していないということが挙げられます。血液バンクのスタッフは、試薬や器具、テストキットなどに対して行う適格性評価と、コンピューターシステムに対して実施する適格性評価の関連性を正しく理解していないケースも多いです。





2つ目の原因として考えられるのは、バリデーションを目的とした活動を購入プロセスの遅い段階で実施しているという点です。システム選定後に実施しているケースや、契約書に署名した後にコンサルタントなどから指摘されて実施しているケースもあり、これでは手遅れとなります。「ISBT Guidelines for Validation of Automated Systems in Blood Establishments」では、システムの購入が最初に決定された時点でサプライヤーの適格性評価を開始すべきだとしています。

3つ目は、サプライヤーの適格性評価とは、サプライヤーがクライアントに対して、わざわざ実施を促すものではないという点です。社内のデザインレビューやコードレビューが記載されたプログラミング手順をチェックすべきだと、クライアント候補となる企業にサプライヤーからアドバイスすることはないですし、ソフトウェアの障害や機能強化によるシステムアップグレードの際、変更管理や苦情管理、教育管理などの手順を確認するよう推奨することもないでしょう。

最後はRFPの内容に関わることですが、RFPには機能や仕様の確認事項が多く含まれている一方で、各サプライヤーのGMP順守状況を確認する項目は、含まれていたとしても不十分なケースが多い点です。その為、システムの機能性比較には十分な役割を果たしていても、GMPに対する適合性比較を行うには、あまりにも質問内容が簡素であるケースがよくあります。

この業界にシステムを提供しているサプライヤー企業であれば、品質管理システムに関わる様々なポリシーが既に文書化されており、システムの使用目的だけでなく、GMPの順守状況も採用段階で確認することが可能です。このようなポリシーには、一般的に次のような内容が含まれています。

  • 1.関連する全てのGMP要件を順守していること
  • QMSにライフサイクル活動が取り入れられていること
  • GMP規制対象となるシステムは要求事項を満たし、想定する業務プロセスが手順に沿っていること
  • 必要に応じて、計画や報告等が含まれるバリデーションを実施すること
  • システムのライフサイクルを通じ、法令順守を維持すること

次に挙げる質問は、GMPに対する順守状況を確認する為に、血液事業に携わっている企業がシステムサプライヤーに確認すべき内容です。

  • 現行製品に対するDHF(Device History File)やDHR(Device History Record)、DMR(Device Master Record)がありますか?
  • システムの設計仕様書はありますか?
  • 設計仕様がシステム上に実装されていることを保証する方法はありますか? システム受け渡し前に最終バリデーションは実施されていますか? 機能強化された箇所は、新規バージョン/アップグレードとして実施されていますか?
  • 開発や導入、メンテナンスといった業務に対するSOPはありますか?
  • 文書管理システムは適切に導入されていますか?
  • システムの設定変更が可能な場合、変更管理はどのように実施されていますか?
  • システムセキュリティポリシーはありますか? そのポリシーはHIPAA基準を満たしていますか?
  • システム開発における品質設計(製品及びプロセス)の重要性は、どのように理解していますか?
  • サプライヤーは設計開発に関わる様々なプロセスや課題に対する適切なリソースを有していますか?(例:新製品に対する評価、設計部門担当者及び責任者に対する教育・再教育、コンサルタントの仕様、設計プロセスに対する評価、製品検証、第三者認定や評価、特許管理など)
  • リスク管理プロセスは文書化されていますか?

それでは、サプライヤー選定の時点で十分な適格性評価を実施していない場合、どのような問題が起こるのでしょうか?多くの問題が起こる可能性がありますが、一番の問題は、サプライヤー側でGMP不適合となる問題があったとしても、既に数千万円から数億円以上の額に相当する契約が締結されてしまっており、その順守状況に関わらず、システムを購入しなければいけない状況に陥ることです。

例えば、サプライヤーが適切な変更管理プロセスを構築していなければ、機能強化や障害対応といった仕様変更をメーカーが実施した時点で、血液事業施設にとっては管理不能な状態に陥ってしまう可能性があります。業務プロセスが著しく管理不能な状態に陥っているケースでは、結果として、サプライヤーもクライアントを失うことになり、ビジネスが立ち行かなくなります。そうなると、血液事業施設はシステムで見つかったバグを直すことができず、再び患者を危険な状態にさらすリスクが発生します。これは、血液事業が目指すゴールではありません。

システムを購入する際は、機能性を評価することだけに留まらず、サプライヤーがそのシステムに対して品質をどのようにして確保しているのかについて、サプライヤー適格性評価を通じて確認することにより、最悪な自体を防ぐことができます。この点こそが、GMPの目的であり、血液事業施設においても安全なシステム運営を実現する最良の手段となるのです。


著者のご紹介
Robin F. Nozick
Robinは、輸血及びドナーサービスに関連する臨床試験所に25年間従事し、様々な血液バンクのコンピューターシステムのエンドユーザーに向けた教育や導入、バリデーション、テスト、教育に携わってきました。また、アフリカとウクライナでPEPFAR (President's Emergency Plan for AIDS Relief) に従事、AABB情報システム委員会にも6年間所属。2000年には、the International Society for Blood Transfusion’s Working Party on Information Technology’s Validation Task Forceに共同議長として参加し、「The ISBT Guidelines for Validation and Maintaining the Validation State of Automated Systems in Blood Banking」を発行しました。現在は、BC Solutions LLC.でビジネスディベロプメントコンサルタントとして活躍し、バリデーションやLIS分野での専門的なサポート及び情報提供を行っています。詳しい情報は、BC SolutionsオフィシャルWebサイト(www.bcsolutionsrfn.com)、または、Eメール(rnozick@bcsolutionsrfn.com)でご連絡ください。

本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。

FDAガイダンス データインテグリティに関するQ&A


FDAは、データインテグリティに関する違反が
著しく増えていると認識しています。
David Jensen
Marketing Communications
MasterControl

データインテグリティに関するcGMPの違反が急増しており、FDAは注視しています。そのため、当局は、この問題に焦点を当てたQ&A形式のドラフトガイダンス “Data Integrity and Compliance with cGMP(データインテグリティ及びcGMPコンプライアンスに関するガイダンス ).” を作成しました。このガイダンスの目的は、よくある質問の回答と、医薬品製造におけるデータインテグリティの役割について明確にすることです。

しかし、ガイダンスの内容は推奨事項に留まり、要求事項ではありません。
規制下にある企業(特に紙ベースで管理している企業)にとっては、難しく思えるかもしれませんが、紙媒体記録は、廃棄や紛失が容易であるため、管理問題がFDAから指摘されることがよくあります。その他にも、組織でのブランクフォームの取り扱いや監査証跡などの問題があり、こうした問題に対しては、エンタープライズ品質マネジメントソフトウェア (EQMS)を採用することにより、ガイダンスに準拠した業務が可能となります。
今回は、ガイダンスへの質問に対するFDAの回答を要約しながら、EQMSの導入による業務改善への効果をご説明いたします。

#1 FDAではデータインテグリティをどのように定義していますか?
薬事監査でよくあるのは「文書化されていなければ、実施されていない」という指摘です。これは、データインテグリティに関するガイドラインで、さらに詳しく記載されています。「データは、Attributable(帰属性)、Legible(判読性)、Contemporaneous(同時性)、Original(原本性)あるいは真の写しであり、Accurate(正確性)であること(ALCOA)が求められています。要するに、FDAはデータの信頼性と正確性を提唱しており、企業がデータインテグリティのリスクを管理するためには、有意義かつ効果的な戦略が必要なのです。



Companies need to implement meaningful, effective strategies to manage data #DataIntegrity says @MCMasterControl http://bit.ly/2nNb8o6



#2 メタデータとは何ですか?
メタデータとは、データを理解するために必要な前後関係を示す情報であり、データについてのデータと評されます。例えば数値の“3”は、単位の“mg”という追加情報がなければ、それ自体は意味を成しません。関連性の意味から、文書ではタイトル、著者、日付/時間のタイムスタンプなどを伴うことが求められます。メタデータは、データを類型化したり、説明したりする構造化された情報であり、検索や使用、管理を容易にするものです。
完全性を確保する目的において、文書のメタデータ変更に関する追跡及びレビューが可能であることが求められます。メタデータが変更される場合には、常に、変更理由を入力してデータがアップデートされるようにします。EQMSを用いることで、よくある改定プロセスにおけるメタデータ不一致という問題が解消されます。文書が改定される場合に、文書番号、改定番号、文書の基本的情報であるメタデータが変更されると、メタデータ情報もアップデートされるのです。

#3 監査証跡とは何ですか? 
監査証跡とは、電子記録の生成、修正、削除に関する経過の再現を可能にする、安全性が確保され、コンピューターによって作成され、タイムスタンプのついた電子記録と定義されています。監査証跡は、記録の「いつ、誰が、何を、なぜ」の履歴のことです。
EQMSでは、すべての変更を自動的にトラッキングします。更新前のフィールド値、変更日時、変更者名、変更理由が記録されますので、監査証跡に必要な情報はすぐに利用できる状態となります。

#4 電子コピーは、紙ベースまたは電子記録の正確な複製物として使用することはできるのですか?
ガイダンスでは、電子コピーを紙または電子記録の正式な複製物として使用可能であるとしています。ただし、その電子コピーが関連するメタデータを含み、もともとの記録の静的または動的性質を保ち、オリジナルデータの内容や意味を引き継いでいることと定められています。製造業者は、紙の印刷物または静的記録を維持することが認められていますが、電子記録の中には動的記録もあるため、印刷物や静的記録ではオリジナル電子記録の動的内容は保存されていません。このような場合、FDAはcGMP要件を十全に満たしていないと判断するでしょう。
EQMSでは、関連するメタデータを含むオリジナル記録を保持します。EQMSで記録を保存する場合、無期限または一時的な記録の保管を目的にEQMSを構成することが可能です。必要があれば、削除したデータ復元することもできます。



関連ホワイトペーパー:
詳細は無料ダウンロードをご利用ください。


#5組織のコンピューターの各ワークフローはバリデートされている必要がありますか?
ガイダンスでは、製造および管理記録原本(MPCR)といったワークフローは、バリデーションを通じて、コンピューターシステムの目的と一致するものであるかを確認し、コンピューターシステムのバリデーションの際には、その使用方法についてもバリデーションを行わなければ、ワークフローが正しく機能しているか判断できないとされています。
バリデーション経験にもよりますが、EQMS導入により、バリデーションプロセスのスピードアップが図れます。バリデーションプロセスは手動で行うことも可能で、社内構築システムを使ったバリデーションにかかる時間を短縮することができるのです。

#6 cGMPコンピューターシステムへのアクセスはどのように制限されるべきですか?
コンピューター化されたMPCRや他の記録の変更、及び電子記録へのラボデータの入力は、権限を与えられた個人に限定する必要があります。FDAは、可能であれば、仕様、プロセスパラメータ、製造及び試験方法(例:設定またはデータの変更制限の許可)の変更権限を制限するテクノロジーを導入することを推奨しています。
EQMSでは、自動トラッキングやシステム上のユーザー認証を目的とした様々なセキュリティーレベルの設定が可能です。ソフトウェアがすべての署名の組み合わせをトラッキングするため、ユーザーIDや署名の組み合わせの重複や再割り当ては起こり得ません。ユーザーID及びパスワードはすべて暗号化され、システム上で他のユーザーが使用することは不可能となります。

#7電子データは、どの時点からcGMP記録になるのですか?
データがcGMP要件を満たすように生成されたとき、すべてのデータはcGMP記録となります。データインテグリティに関するガイダンスには、製造プロセスのcGMP要件に従い、作業やプロセスが実施されたと同時に、データは文書化もしくは保存されなければならない旨が記されています。また、記録及び維持されるすべてのデータは、修正・破棄はできないようにする必要があります。
EQMSは、入力時、常に自動保存するという設定が可能です。自動化することにより、データのトラッキングやアップデートは自動で行われるため、cGMPへの遵守は容易になります。これにより監査の際の記録の特定や取り出しに素早く対応することが可能となります。
データインテグリティに関するガイダンスは、データインテグリティの影響度から、cGMP要件の範囲を超えるものとなっています。ガイダンスに拘束力はありませんが、査察や強制措置執行の際に、規制当局はガイダンスを基に判断する傾向にあります(2)。EQMS導入により、要件への準拠はより簡単、かつ確実となります。

著者のご紹介
David Jensen
MasterControl社マーケティングコミュニケーションスペシャリスト
20年以上、プロフェッショナルディベロプメント、ビジネス、規制環境に関するテクノロジーやマーケティング、パブリックリレーションに関するテーマで執筆を行っている。Weber State Universityにてコミュニケーション学士号を取得しWestminster Collegeにて修士号を取得している。

本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。

2017年12月27日水曜日

年末年始の営業時間に関するお知らせ

マスターコントロールでは、2017年12月29日(金)から2018年1月3日(水)にかけて冬期休暇の為、休業いたします。



1月4日(木)からは、通常通り営業しておりますので、どうぞよろしく御願いいたします。

2017年11月27日月曜日

CFDAにおける医療機器ソフトウェアに関する規制

医療機器のソフトウェアへの依存度の高まりを踏まえ、
ソフトウェアに対する規制要件は一段と
厳しさを増していくものと考えられます
Beth Pedersen
Marketing Communications MasterControl


各国、各産業を取り締まる規制当局が数多く存在するなか、世界の法的環境や規制要件の改正・改変をすべて把握するということは製造業者にとっては難しい課題です。中国国家食品薬品監督管理総局(CFDA)は、医療機器関係ソフトウェア登録技術審査指導原則(2015年第50号通知)を2015年8月5日に発表しました。この原則は、中国語版のみの提供で、医療機器メーカーあるいはそのパートナーが開発したスタンドアロンソフトウェアあるいはソフトウェアコンポーネントに関する文書作成要件に関する大幅な変更が示されています。

中華圏UL Medical Regulatory Advisory Services (MRAS)シニアマネージャであるTim Lin氏は、規制が世界的に変化していることを製造業者が把握できていない場合に起こりうる結果として、設計の不備、要件を満たすソフトウェア文書を作成することができないプロセス、また最悪な例としては申請の棄却を挙げています。

医療機器メーカーが新しい要件を理解し必要な措置を講じることができるよう、同氏はUL paper内で新しい原則について説明を行い、中国国内の機器メーカーに対し、販売承認申請書提出の際に実施すべきことについて3つの提案をしています。




改正の概要

新しい規制にはCFDAの現行の考え方が盛り込まれ、2012年4月28日発令のガイダンスに基づき策定されています。ソフトウェアのアップデート版や修正版登録に関する要件と併せ、文書要件に関し、より詳細な要件が示されています。

CFDAは、ソフトウェアの安全性及び有効性を確保するうえでは、開発段階においてリスクマネジメントや品質保証、ソフトウェアライフサイクルプロセスを適用することが重要であるとの考えを示しています。医療機器で使われるスタンドアロンソフトウェアの一部やコンポーネントとして使用されるOTSソフトウェア、完全採用型のOTSソフトウェアにも、2015年第50号通知に定められる新しい要件が適用されます。


基本前提事項

ソフトウェア安全性分類クラスA、B、Cの割り当てを受けるうえで、申請者は、登録時に次の情報を含むソフトウェアの説明書を提出します。

  • 基本情報‐ソフトウェアの識別、安全性上の分類、アーキテクチャドキュメント及び設計図、ハードウエアトポロジー、動作環境、使用目的、禁忌、登録履歴
  • 導入プロセス‐開発の概要、リスクマネジメント、要件仕様、ライフサイクル、ベリフィケーション&バリデーション、欠陥管理、改訂履歴、臨床評価
  • コアアルゴリズム

適用されるソフトウェアの安全性分類に応じて、必要な書類の分量や内容が異なります。


新たに追加された事項―ソフトウェアアップデート

ソフトウェアアップデートは、現行の規制では文書化が義務づけられており、CFDAによる審査の対象となります。医療機器の安全性及び有効性に影響がある大幅なバージョンアップ(適応保守及び完全化保守など)と、それらに影響がない軽微なバージョンアップでは、規制上の取り扱いが異なります。ソフトウェアの大幅なバージョンアップの場合、医療機器メーカーは修正版としてCFDAへの申請が必要ですが、軽微なバージョンアップであれば品質管理システムの一環として文書化が義務付けられるものの、許可更新時または修正時にCFDAによる審査が実施されるのみとなります。

2015年第50号通知ではまた、ソフトウェアバージョンやOTSソフトウェアの文書化要件ならびに、ソフトウェア及びソフトウェアコンポーネントの登録要件についての概要が示されています。


ULからの3つのアドバイス

中国での有害事象発生リスクの増加をうけ、CFDAはより厳しい医療機器規制を作成し、対応策の一環としています。規制要件は幅広い範囲での医療機器ソフトウェアを取り扱っているため、新しい原則への取り組みが困難になることが予想されます。ULでは、2015年第50号通知を満たすために以下の提言を掲載しています。

  • 製品設計段階において規制要件に準拠するソフトウェア開発プロセスを導入すること。
  • 開発段階におけるソフトウェア開発活動をすべて文書化すること。
  • ソフトウェア設計が終了するまでに、規制要件に基づいた文書作成を完了すること。

最終的には、頑健なソフトウェアライフサイクルプロセスで文書化をしっかりと行うことが、審査時間を短縮し医療機器の市場導入を早める鍵となります。

Lin氏によるCFDAの新しい医療機器ソフトウェア要件の詳細をご覧になりたい方は、こちらをクリックしてUL paperにアクセスください。

UL社は46か国に事業所を設け、製品の安全性および適合性試験のエキスパートとしてグローバルにサービスを展開しています。ULの専門チームは、新しい規制要件の理解や、社内薬事業務チームにかかる負担の軽減など、規制対象企業の皆様を常にサポートいたします。詳しくはhttp://ul.com/まで。


著者の紹介
Beth Pedersen
ユタ州Salt Lake CityにあるMasterContorl本社のマーケティングコミュニケーションスペシャリスト。
マイクロソフト社、ノベル社、NetIQ社、SUSE社、Attachmate社含む企業ソフトウェアサイトで技術やマーケティングに関する執筆活動を行っている。University of Wisconsin, Madisonでライフサイエンスコミュニケーション学士号、およびIT University of Copenhagenでデジタルデザイン及びコミュニケーションの修士号を修得。

本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。

2017年11月20日月曜日

UDI(機器固有識別子): ルールが十分であるとはいえない現状

FDAがUDIの形式及び内容に関する
ドラフトガイダンスを発表

Jennifer D. Newberger
Hyman, Phelps & McNamara, P.C

医療機器(クラス II)へのUDI適用が義務付けられる期日の2カ月前である2016年7月26日、UDIの形式及び内容という最も基本的な概念に関連したドラフトガイダンスが発表されました。具体的には、業界及びFDA認定の発行機関に対し、UDIの形式及びその内容を「明確化すること」及び「UDI発行システムから生成されたUDIが、ルールに準拠していることをより確実なものとすること」を目的とすることが述べられています。

2013年9月にUDIルールが最終化されるとまもなく、第一号となる発行機関がFDAによって認定されています。それ以降、発行機関は、製造業者と協力してクラス III及びクラス IIのUDI発行に関する取り組みを実施してきました。不適合とみなされるUDIが発行されていることをFDAが認識しているといった記載はドラフトガイダンスにはありませんが、それがこのドラフトガイダンスの含意ではないかと思われます。例えば、ドラフトガイダンスには「FDA認定各UDI発行機関は、UDI付与を目的とするシステムの開発及びオペレーションに際し、製造業者がFDA認定発行機関のシステムを使用することにより、UDI表示要求事項に準拠するUDIを作成することが確実となることが至って重要である」という内容が示されています。



ウェブセミナー: Working on a Post-Inspection FDA 


認定UDI発行機関からUDIを取得済である製造業者には、ドラフトガイダンスにおける上記内容が、UDIの表示要求事項を満たしていないUDIが実際に発行されていると読み取れることから、不安を抱くこともあるかもしれません。しかしドラフトガイダンスでは、製造業者に発行されたUDIの適合性を確認すべきだとか、要件を満たしていないUDIが発行されているといった内容をFDAが認識しているとの記載もありません。万が一、基準を満たしていないUDIをFDAが認識しているのであれば、ガイダンスにそのような内容が記載され、不十分なUDIの是正方法に関してもう少し、直接的なガイダンスを製造業者及びUDI発行機関に向けて示すはずです。

また、ドラフトガイダンスには、UDIルールの最終化以降に発表されたルールやガイダンスでは述べられていない新しいコンセプトが紹介されています。しかし、「データデリミター(Data Delimiter)」や「UDIキャリア(UDI Carrier)」などが紹介されている一方で、これらは発行機関が既に使用されているものなのか、それともUDIの形式及び内容の生成における全く新しい方法であるのかは、明確ではありません。しかし、既に発行済のUDIの順守状況を踏まえて、FDAが認識している課題に対する是正方法として、このようなコンセプトが現段階で紹介されているのかもしれません。しかし、このような点について、ドラフトガイダンスでは明確には述べられていません。

FDAは、このような最終段階においてガイダンスを発行した理由や、法規制を満たしていないUDIの可能性、新しい用語が導入された理由について、もう少し明確に説明する必要があると思います。また、製造業者が発行機関から取得したUDIが要求事項を満たしていない場合、それらの対応に要する猶予期間をFDAは与えるべきであり、UDIの取得に積極的に取り組んできた企業に対する法的措置は取るものではないと思います。

※本記事は著者の許可を得て、転載しています。

著者のご紹介
Jennifer D. Newberger
クライアントである医療機器メーカーの薬事戦略構築や製品アプリケーションの準備、ラベリング、広告、プロモーションに関する法令順守、強制措置などでサポートを行っています。ヒト組織に由来する製品に関するFDA規制の専門家として、コンビネーション製品に関する問題にも取り組んでいます。また、FDAに対する薬事スケジュールや契約、対応に関するコンサルティングを行い、医療機器メーカーを代表してFDAとの話し合いに出席するといった活動にも携わっています。薬事分野では、IDEや510(k)、de novo 、PMA申請、ファイリングの準備、法令遵守では、MDRやリコールQSRに関し企業へのアドバイス、大企業から中小企業まで、事業の立ち上げをサポートしています。前職では、FDAのCDRH(Center for Devices and Radiological Health)でポリシーアドバイザーとしての経験を有していたことから、当局内部のプロセス及びプライオリティを熟知しており、医療機器に関するルールが発令された際に、このような行政側の視点を意識したアドバイスを提供しています。

関連記事:
"Need Help Navigating UDI? FDA Can Help"
"The Future of Medical Device Registries"

本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。

2017年11月15日水曜日

ISO、複数の規格に対する変更を実施

B. Christine Park CQA, CQM/OE Consultant


様々なISO規格が改定、移行期日までに対応を


品質マネジメントシステムやその他の規格の改定に伴い、期限内での対応が求められています。ここ数年で改定された主な規格は以下の通りです。


これら3つの規格は、過去数年の間に改定され、多くの企業が用いる重要な規格です。規格が改定される場合、企業には新しい規格への移行期間として、通常は3年という期間が設けられています。上述の規格においても3年以内の移行が求められています。3年と聞くと時間は十分にあると思うかもしれませんが、実際にはそう長くありません。時は刻一刻と過ぎていきます!今すぐ自社の事業に関連する改定箇所や要求事項を確認してみましょう。

新ISO 9001:2015 及び他の規格は「全10章」の章立てになり、シンプルかつ標準化することを目的に再構成されました。一方で、ISO 13485:2016 の章立ての改定は容易ではなく、新しい規格の発行に間に合わないとされました。その為、ISO13485:2016の章立ては従来のままとなり、ISO13485技術委員会により本文書に新しい概念が数多く盛り込まれました。





注目すべき重要な改定点がいくつかあります。
  • QMSは、経営戦略及び事業目的と一致するものであること
    QMSは、ビジネス活動の一環であることが期待される一方で、これまでは一般的に、別の活動として管理されてきました。本アプローチによって、組織全体で一貫性が強化される契機となることが期待されます。品質を強化することは、より良い企業運営につながるものなのです。
  • 組織の状況の把握と判断
    「規模に見合った戦略の実践」:経営陣は、継続的に品質システムに対して取り組むことで、自社のマネジメントシステムの課題やニーズを把握することができます。
  • マネジメントシステムに対する経営陣のコミットメント
    経営陣は、品質の確保を目的として、QMS及び従業員へのコミットメントを示すことが要件となっています。経営陣が積極的に関わり、QMSが優れた企業運営の手法であると認識されていけば、コスト削減につながり、安定した企業運営が実現できます。
  • プロセスアプローチの適用
    不適切な運用管理の場合、業務間の連動が正しく機能しないケースも多く、結果として、再作業などの無駄が発生します。企業のQMSや経営手法にプロセスアプローチを導入することで、部門や個人の孤立化といった組織の細分化を防止し、安定した企業運営に繋げることができます。
  • マネジメントシステムと予防処置
    「予防処置」の考えは、リスクの特定や軽減といったマネジメントシステムの目的と並列であることから、是正処置とは切り離し、システム全体を対象とした活動に変更となりました。予防処置を例外として扱うのではなく、リスク評価と組み合わせた適切な管理体制が必要です。
  • 文書化した情報
    「文書化された手順」や「記録」という用語は、「文書化した情報」に変更されました。要求事項として求められているのは、手順書や作業指示書などの管理、または、実施した業務の証拠としての記録の管理です。ただ、「情報」という言葉の定義は広義な為、企業側で解釈を決めることができます(※この変更はISO 13485には含まれません)。
  • 改善機会の発見
    リスクベース思考に関連することですが、改善機会と想定結果をリスクベースで評価し、適切な判断をすることが期待されています。
  • QMSに対する変更の管理
    QMSの計画的な運用が求められており、その運用に影響を与えるような変更を実施する場合、必ずリスク評価を行い、変更内容が適切に導入されたことを保証できるような枠組みが必要となります。
  • 組織としての知識
    「組織としての知識」という概念が発表されました。これは、人や組織に変更があった場合でも、事業運営に影響を与えないよう、組織として知識を管理することが求められています。

QMSが既に確立されている企業でも、この機会を予備調査として、現在の対応状況をご確認いただければと思います。文書や記録を確認することで、この新規格にどの程度、準拠しているかを把握できます。また、あまり複雑化せず、シンプルに必要な作業だけを行い、対応を目指すという考えも重要です。そして、新規格への対応も実現し、企業戦略と一致したQMSが構築できれば、それは、事業運営として非常に有益な成果になることを確信しています。


著者のご紹介
Christine (Chris) Park

医療機器、IVD、バイオテクノロジー/医薬品分野におけるR&D及び製造の経験から、品質システムや品質管理(CAPAや苦情、監査など)に対するコンサルティングを提供している。また、薬事申請のサポートとして、技術書類の作成やレビュー、リスクアセスメント、変更管理なども直接的に支援している。現在は、AAMI TC210規格委員会のメンバーとして積極的に活動しながら、改訂版のISO 9001:2015やISO 13485:2016、FDAの連邦規則集改訂 (820、 210/211、食品)の導入や移行のための企業向けコンサルティングを行っている。

本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。

2017年11月13日月曜日

SEMICON JAPAN 2017出展のお知らせ

マスターコントロールは、エレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会「SEMICON Japan 2017」に出展致します。



世界中のソフトウェアやデバイスメーカーが出展する「World of IoT」ゾーンにて、IoT時代に求められる品質マネジメントシステムの在り方や、品質管理や品質保証といった業務の効率性改善を支援するソリューションをご紹介しています。

皆さまのご来場を心よりお待ちいたしております。



SEMICON Japan 2017 開催概要

会期:
2017年12月13日(水曜日)~12月15日(金曜日) 10時~17時

会場:
東京ビッグサイト 東展示棟・会議棟

出展ゾーン/小間番号:
WORLD OF IOTゾーン/3752

主 催:SEMI (Semiconductor Equipment and Materials International)

公式ウェブサイト:
http://www.semiconjapan.org/jp/